Interview コンサルタント
インタビュー

クライアントとともに汗を流し、
幸せな事業承継のあり方を考える

常務執行役員 資本戦略事業本部長

税理士 天野 祐一郎

天野 祐一郎 (あまの ゆういちろう)

天野 祐一郎 (あまの ゆういちろう)

常務執行役員 資本戦略事業本部長 / 税理士 (東京税理士会所属)

2002年山田ビジネスコンサルティング株式会社(現・山田コンサルティンググループ株式会社)入社。オーナー企業の事業成長・事業承継コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。業種問わず、プレ事業承継に重きを置き、中堅中小企業オーナーに最適な事業承継スキーム(親族内承継・MBO・M&A)の提供を心がけている。また、後継者不在型M&A、私的・法的整理型M&Aの案件も多数手掛ける。 企業オーナー、業界団体、金融機関向けセミナー講師等多数実施。

山田コンサルティンググループ(以下YCG)入社直後から事業再生コンサルタントとしてスタートし、数多くのM&Aを手掛けてきた天野祐一郎。企業オーナーが、事業承継のみならず経営戦略の選択肢の一つとしてM&Aを活用する現状と、自らの成長を促した苦い経験も含めて、数々の案件から学んだM&A成功のポイントについて語った。

前身の山田ビジネスコンサルティングとともに自らも成長

私は、YCGの前身である山田ビジネスコンサルティング(以下YBC)が創業した2年後、2002年の入社です。税理士の資格が取れる状況にはあったので、会計事務所との選択の中、自分のやりたいことは何かを模索していました。単なる税金計算に終始せず、そこから派生したもっと別の景色が見たい、のめり込めるほどやりがいがある仕事に関わりたい、という漠然とした思いの中で、偶然YBCと出会いました。当時はまだ50人ほどの小規模のコンサルティングファームだったのですが、大変インパクトのある面接を受け、「おもしろい! ここならやりがいある仕事ができそうだ!」と思い、入社しました。
 
当時、YBCのメイン業務は事業再生でした。資金繰りがひっ迫している待ったなしの案件ばかりです。会社の現場に入り込み、お客様とともに昼夜問わず、再生や整理などの道筋をたてる仕事をしていました。業務内容も勤務時間もハードでしたが、やるほどに日々新しい景色が見えてくる、新しいステージに立てることが何よりのやりがいだったと記憶しています。
かつてのように激しい仕事のやり方が許される時代ではありませんし、立場も業務内容も変わりましたが、今でも常に新しいチャレンジができているのは、YCGが変わらずに自分の成長が実感できる場所であり続けているからでしょう。

後継者不足を背景に認知が広まる、経営戦略としてのM&A

私の仕事の中心は、事業承継対策の中でもM&Aに関わる事案です。事業再生に関わる中で、自力での再生は難しいがビジネスに可能性がある会社をどうにかできないか、従業員の方々の雇用を守れないか、という強い思いを抱くようになったのがきっかけです。会社としてもクライアントを支援するラインナップの拡充を進めていたところで、2010年に事業再生のためのM&A部門を、コンサルタント5人で立ち上げました。今もその旗印は掲げており、事業承継系のM&Aに比べると割合は少ないものの、事業再生スキームとしてのM&Aを数多く行っています。
 
M&Aマーケットは拡大傾向にあります。企業オーナーの高齢化と人口減少時代を迎え、後継者不足という社会構造的な問題が、その背景にあります。それだけではありません。たとえ後継者がいたとしても、現在の会社の状況で人材難や市場の縮小という将来の荒波に立ち向かえるのか、といった不安に直面している中堅中小企業は少なくありません。
また、業績の良し悪しとは別に、「日本を飛び出し、海外事業に取り組むためのパートナーを見つけたい」、「自社のリソース不足を何らかの形で補いたい」など、経営面からM&Aを検討する未上場企業が、ここ数年増えています。
 
10年ほど前までのM&Aは、会社が傾いて身売りする「売り手」、経営状況が思わしくない会社を買い取る「買い手」、という上下関係のある取引になることが多く、イメージはあまりよいものではありませんでした。しかし、ここ数年でM&Aが意味する言葉の定義、概念が変わってきたと感じます。M&Aを発展的な経営戦略の一つの選択肢として考える企業が増え、売り手も買い手もともに成長を目指すフィフティ・フィフティの関係性になってきています。

M&Aに求められるコンサルティング力

_DSC0247_縮小M&A市場が活気づくとプレイヤーが増えてきます。中には、企業規模や業績のプロファイルをベースに、売り手と買い手をマッチングさせ、あたかも不動産の売買のように乱暴に「仲介するだけ」といったプレイヤーも多数出現しています。こうした傾向は、中堅中小企業はもちろん、日本全体の経済発展を考えても、あまり望ましくありません。
業種により、現在の状況や将来の市場予測などは大きく異なるものです。対象企業には業種別の専門家が付き、それぞれの成長・発展につながるシナリオにマッチする会社なのかどうかを見極めながら、慎重に進める必要があると考えます。早くても半年から1年と時間はかかりますが、お客様に寄り添いながら双方納得できるシナリオで進めることが私たちのモットーです。
 
YCGは、様々なコンサルティング・メニューで中堅中小企業をサポートしてきた会社です。現在、山田コンサルティンググループ(YCG)、税理士法人山田&パートナーズ、優成監査法人からなる「山田グループ」には、約1,800名の優秀なコンサルタントがおり、それぞれが専門性の高い仕事をしています。10年間で約15,000件を超えるコンサルティング実績は、圧倒的な説得力があると自負しています。このコンサルティング能力をベースに案件を進めますので、将来的な企業成長を目指すM&Aにおいても、非常に高い評価を得ているのだと思います。
 
もう一つ、未上場企業のM&Aにおいては、オーナーの相続税対策、すなわち自社の株式対策も重要です。M&Aと自社株対策が同時に行えるのもYCGの大きな特長です。クライアントの状況分析から、親族内承継、MBO、M&A、IPOなどのあらゆる可能性をシミュレーションすることで、複数のシナリオを提示し、クライアントが納得できる事業承継を選択、実行できるよう環境を整えるのが私たちの仕事です。親族内で事業承継した後、一部事業の発展的M&Aを検討するケースも出てきています。選択肢が複数あるのはクライアントにとって安心だと思います。クライアントファーストでの仕事ができるのも、コンサルティング能力が高い集団が社内にいて、あらゆる可能性を検討できるからです。
また、今後は、業界再編の可能性が高い業種、業態でのM&Aが、より一層加速していくと考えられます。こうした場面でも、当社のコンサルティング機能が力を発揮し、お役にたてると確信しています。

苦い経験が自らを成長させてくれた

新しい景色が見えること、実績を積むごとに自分が立つステージが変わることにやりがいを感じる、と話しました。案件は、一つひとつその性格が異なり、苦労の末の成功も失敗も逆転劇もあります。特にうまくいかなかったことからの学びは大きく、成長の糧となっています。
今でも強く印象に残っているのが、M&A部門を立ち上げてすぐに手掛けた案件です。上場企業によるグループ会社(ノンコア事業)の株式譲渡案件で、買い手が地方の有力企業というケースでした。紆余曲折ありながらも成約寸前までいきながら、結果として不成立。それぞれが持つプライドや思いを調整しきれなかった、苦い経験です。
 
M&Aは、キーマン同士の面談がとても重要です。それぞれの人柄、性格、機微に丁寧に向き合う必要があること、その方々の大事な会社を私たちがどう扱うか、積み上げてきた歴史をどう伝えるか、までを常に問われていることを強く学びました。それと同時に、M&Aは双方対等な関係性で進めていく重要性に気付かされた案件でもありました。私たちの部門が、大きく成長するきっかけとなった出来事として、強く記憶に残っています。

お客様の思いに真摯に耳を傾け、現場でともに汗をかく

_DSC0219_縮小M&Aはビジネスではありますが、人と人とのご縁をサポートすることでもあります。それぞれの企業には、従業員やそのご家族もいらっしゃいます。双方のオーナー様がともに気持ちよく望む成果を得られるよう、私たちはハートの部分で付き合いたい。決して機械的な手続きに流された仕事をしないこと、クライアントに寄り添って仕事をすることが会社のポリシーであり、チームのポリシーです。
 
M&Aが成約した後に、特に配慮していることは、売り手となったオーナー様が引退後に孤独にならないようにすること。そして、双方の従業員の皆様がうまく融合できるよう環境をセットすることです。創業の歴史や文化、ビジネスの捉え方やスピード感の違う別会社が一緒になる時には摩擦が生じて当然です。私たちは、コンサルタントが現場に入り込んで、従業員の皆さんとも一緒に汗をかきながらM&Aを進めていくので、自社だけで融合作業をするよりもスムーズな着地を目指せます。最近はこうしたPMI(経営統合)支援にも力を入れています。
 
M&Aは「やって終わり」ではなく、その後もお付き合いは続きます。クライアントに寄り添う丁寧な仕事で、納得できるM&Aができることが評価され、オーナー様同士のつながりでご紹介いただく案件も少なくありません。数多くの事業再生案件を行ってきた中で、社長の孤独感を目の当たりにしてきました。ですから、オーナー様に寄り添って思いを存分に受け止める心得があります。歴史に裏付けられたYCGならではの手法で、クライアントが後悔しないM&Aをこれからも手掛けてまいります。

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