建設業は、建設業法において「元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう」と定められている(第二条2項)。また建設工事の種類に応じて、建設業は29許可業種に区分されており、工事を総合的に請け負う総合建設業(土木工事業、建築工事業)・部分的に請け負う職別工事業(専門工事業)に大別される。
総合建設業は、一般的にはゼネコン(General Contractor)と呼ばれており、元請負者として発注者から請け負った建設工事全体の総合的な企画・指導・調整を行う。ゼネコンは規模の大きさによって、年間完成工事高1兆円を超す「スーパーゼネコン」、2,000億円強の規模を有す「準大手ゼネコン」、2,000億円未満だが売上上位40社に入る「中堅ゼネコン」、都市圏以外の特定地域において強みを持つ「地場ゼネコン」「地方ゼネコン」等と呼ばれる。
元請業者は、建設物の発注者である施主との間で、工事名称、場所、工期、請負代金等を記載した請負契約を締結する。同時に詳細な事項の約束事を取り決めた契約約款、工事内容を示す設計図書、 工事費用の明細を示す見積書等も揃えるのが一般的である。
請負業者が請け負った工事の一部を第三者(下請業者)に請け負わせる際には、当該第三者との間に下請契約を締結する。下請業者が不当な扱いを受けないよう、下請法や建設業法令遵守ガイドライン等が定められている。
元請業者の基本的な業務の流れは、営業活動から始まり、受注(入札を経る場合も)、実行予算の作成、下請業者を活用し施工、建設物完成後引渡し、となっている。 建設工事は、国や地方公共団体が施主となる公共工事と、民間企業、個人が施主となる民間工事に大別される。
建設業の市場規模(建設投資)は、1992年度に84兆円と頂点に達してから一転、財政逼迫状況を反映した公共工事の発注量の減少・民間設備投資の減少等を背景に縮小傾向が続き、2010年度には42兆円と半減した。
2011年度以降は、東日本大震災の復旧・復興、安倍政権の経済政策、東京五輪に向けたインフラ整備等の影響もあり、足元50兆円前後で推移している。
建設許可業者は、ピーク時(2000年)の600,980業者から468,317業者(2018年3月末時点)と約22%減少している。
建設資材価格は、2015年平均を100とした指数でみると足元では110%程度となっており、高い水準を維持している。
また昨今の建設投資の増加を背景に人手不足も深刻化しており、工事遅延の発生等の影響も出てきている。また、建設業就業者は、全産業平均に比べて高齢化が進んでおり、労働力の確保が課題となっている。
建設業は、市場規模の縮小傾向が続いてきた一方、許可業者数は市場規模ほど縮小しておらず、供給過多の状態と推測される。価格だけでなく、品質や工期の面でも競争が激化している環境下で、現行事業の効率化・高度化、新工法の導入、関連分野への進出等、競合との差別化が求められる。
建設業は長年に渡って、業界の特性により、規模の経済が働きにくい、2社以上の企業が合併し1社になることで公共工事における入札参加機会が限定されるデメリットが大きい、等の理由で業界再編が起こりにくいと言われてきた。しかし、近年では商圏の拡大や人材不足の解消を狙ったM&Aや大和ハウス・積水ハウス等のハウスメーカーによる中堅ゼネコンの買収のように業界の枠を超えた再編の動きが見られる。
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