学習塾とは、主に義務教育課程又は高等教育以上の課程にある児童・生徒を対象として、学校における公教育とは別に、学習指導や進学指導を行う教育施設(大学受験予備校は企業が経営するものに限り、学校法人が運営するものを除く。)をいい、学習塾を経営する企業群を学習塾業界と定義する。
学習塾の運営は、個別指導を中心とするか、集団指導を中心とするか、各社ごとにその特性は異なる。生徒個々人の水準に合った学習指導ニーズの高まりから、かつては集団指導を種得るとしていた大手企業も個別指導を積極的に取り入れるようになった。個別指導を行うには個別の教室と教師の数を増やす必要があるため、固定費増加がネックとなりやすい。そのため、講師をアルバイトで雇用することで人件費を変動費とするなど、費用削減への取組みが進んでいる。最近では、フランチャイズ方式で学習塾を展開する動きもみられる。
前掲の通り、小学生、中学生、高校生の生徒数が減少し続けている。この傾向は下表のとおり、将来においても継続することが予想されている。19歳以下の人口は、2015年の22百万人から、2030年には17百万人、2040年には15百万人、2050年には13百万人、2060年には11百万人になることが予想されている。減少は顕著であり、学習塾業界の生徒獲得競争は、今後さらなる激化が予想される。
学習塾の市場規模は、いわゆるゆとり教育による学力低下への不安等を背景に拡大してきたが、人口減少に歯止めのかからない現状から、近年縮小へと転じている。
有能かつ人気のある講師の存在が、生徒獲得にとって重要な条件となる。経験、能力、人気の面で有能な講師の獲得または育成し、その後のいかに定着させるかが学習塾の競争力を左右する。その他、大きな仕入は基本的にない。
【事業所数及び従業員数の推移】
出典:総務省「事業所・企業統計調査(昭和61年~平成18年)」、 「経済センサス基礎調査(平成21年)」、「経済センサス活動調査(平成24年)」、経済産業省「特定サービス産業実態調査(平成25年、平成27年)」
大手学習塾では、顧客層や事業セグメントの拡大を狙った、提携、再編が相次いでいる。背景には少子化が進むことによる顧客減少の懸念がある。従来は、補修か受験対策かといった目的や、対象年齢層、個別指導と集団指導、通信教育の採否など、各社ごとのターゲットや業態に明確な違いがあったが、近年の提携、再編により、他社のターゲットやノウハウの獲得が進み、顧客層や事業領域を拡大している会社が増えている。また、デジタル教育が急速に一般化しており、eラーニング市場の拡大と合わせて、さらなる再編が進む可能性もある。
売り手のメリット
買い手のメリット
戦略の個別性
有能な人材の確保及び教育水準の確保
財務面