山田コンサルティンググループ株式会社
経営ナレッジ

自動車ディーラーとは、主に自動車を小売する事業である。
自動車ディーラーは新車販売、中古車販売、自動車整備等のサービス・部品販売に分けられるが、各自動車メーカーが株式の一部を保有するメーカー系の正規販売店と正規販売店から仕入れて販売する地場独立系業者に大別される。
自動車ディーラーはメーカーによって営業地域や取扱車種が定められており、資本的に独立したディーラーであっても、人材派遣や販売奨励金等を通じて、メーカーから様々な経営指導等を受けていることが多い。

A)新車販売事業

メーカーから仕入れた新車を販売する事業。仕入価格はメーカーの交渉力が強く、数量もメーカーとの契約に基づき在庫、仕入や登録台数の目標が設けられている。また、台数目標達成度合いに応じたメーカーからの報奨金制度も存在する。

B)中古車販売事業

下取りによって仕入れた中古車を販売する事業。新車に比べてメーカーの制約は少なく、商品個性が強いためディーラーは販売価格に交渉力を持つ。買取の際も仕入価格に交渉力を持っている。

今後、新車販売が大幅に増えることが見込めないため、経営体制の合理化が進んでいる。
M&Aを進めるにあたり、メーカーの意向を無視することが出来ず、同じメーカー系列の近隣のディーラー同士でM&Aが進むことが多い。メーカー資本のディーラーからメーカー以外の資本へ、その逆も中にはみられる。
特殊ケースとして、系列メーカーの垣根を越えたM&Aによる編成もみられる。

• 2021年03月01日 オートバックスセブン＜9832＞、栃木・千葉県でAudi正規ディーラーを3店舗運営するTAインポートを子会社化
• 2021年02月22日 グッドスピード＜7676＞、ハーレーダビッドソンとベスパの正規ディーラーのチャンピオンを子会社化
• 2021年02月17日 VTホールディングス＜7593＞、富士モーター商会と大兵自動車から愛知県津島市内のホンダ販売店を取得
• 2020年11月26日 VTホールディングス＜7593＞、株式追加取得によりホンダ四輪販売丸順を子会社化
• 2019年12月26日 ケーユーホールディングス〈9856〉、メルセデス・ベンツのディーラー・シュテルン横浜東を子会社化

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日産自動車と三菱自動車の資本提携

軽自動車の燃費偽装問題に揺れる三菱自動車に対して、日産は2373億円を出資し、事実上傘下に収める。10月に予定する三菱自の第三者割当増資を日産が引き受けて、三菱自株の34％を取得。三菱グループを上回る筆頭株主になる見込み。
日産と三菱自は、2011年に軽自動車の共同開発を行う合弁会社を立ち上げ、三菱自が生産する車両を2013年から両ブランドで販売してきた。
軽自動車「eKワゴン」「eKスペース」と、日産向けに供給する「デイズ」「デイズルークス」の4車種について燃費データを改ざんし、実際より最大15％良い燃費を届け出ていたことがわかった。きっかけは日産からの指摘で、現行車種までは三菱自が開発を担っており、次期モデルから開発を担う日産が現行車を測定した際、説明できないデータの乖離を見つけた。
調査の過程では別の法令違反も浮上した。1991年以降、燃費を測定するためのデータを測る際、国内の道路運送車両法で規定される惰行法でなく、米国で使われる高速惰行法を採用。惰行法で測定していたのはわずかな車種にとどまった。四半世紀も法令違反を続けたことになる。
軽以外にも疑惑が広がったことで、国内乗用車メーカー最下位でわずか10万台の国内販売は、大幅減が確実視されており、販売台数の9割以上がアジアを中心とする海外で、国内依存度は低いとはいえ、母国市場の撤退となれば、経営へのダメージは大きい。
また三菱自の生産は国内が55％を占め、国内最大の生産拠点である水島製作所（岡山県倉敷市）は日産への供給分が大半。日産から切り捨てられるわけにはいかなかった。
日産にも三菱自を見捨てられない事情がある。1つは軽が国内販売には欠かせない存在となっており、軽に求められる低コスト生産のノウハウは三菱自が優れている。三菱自を見切った場合、自社で軽の生産に乗り出すか、他のパートナーを探すしかない。
もう1つが日系他社に比べて伸び悩んでいる東南アジア市場の開拓だ。タイやインドネシアではSUV（スポーツ多目的車）「パジェロ」やピックアップトラック「トライトン」を擁する三菱自の人気は根強い。それを日産が取り込めれば、東南アジアの勢力図は一変する。