ドラッグストア業界とは、主として医薬品、化粧品を中心とした健康および美容に関する各種商品を中心として、家庭用品、加工食品などの最寄品をセルフサービス方式によって小売する事業所をいう。
一般的にドラッグストアは、医薬品、化粧品、食料品、生活雑貨を卸売業者から仕入れ、消費者に販売している。調剤薬局を併設で運営している場合は、病院が発行する処方箋をもとに調剤を行い、代金の一部を患者から、残りを審査支払機関から受け取ることになる。
ドラッグストアで扱っている医薬品はOTC医薬品と呼ばれる副作用リスクの低い医薬品であり、法律上では、市販薬、一般用医薬品とも呼ばれている。
一般用医薬品は、第一類、第二類、第三類医薬品として分類されており、第一類医薬品の販売には薬剤師が必要であり、第二類、第三類医薬品は登録販売者でも販売可能である。
近年、ドラッグストアに薬剤師が常駐し、調剤薬局の機能を有した店舗も増加の傾向にある。
ドラッグストアの市場規模は、年々拡大しており、2019年の市場規模は推定7兆6,859億円となっている。大手ドラッグストアの台頭により、低価格や、営業時間の拡大など利便性が向上し、市場は急成長したが、近年は全体としての伸びは鈍化している。従来のフォーマットだけでなく、人口減少や超高齢社会といった社会構造の変化を見据え、地域包括ケアシステムに対応した新たなビジネスモデルの構築が必要となっている。
【ドラッグストアの市場規模推移(推定)】
出典:日本チェーンドラッグストア協会
ドラッグストアの店舗数は増加するも、企業数は減少傾向にあり、ドラッグストアの大手チェーンの台頭により、店舗の大規模化、集約化が行われている。大規模店舗ではより多くの品揃えを展開することにより、他社との差別化を図っている。
加えて、2009年6月以降の薬事法改正で医薬品販売規制が緩和されたことにより、一般用医薬品が登録販売者(コンビニなど)でも販売出来るようになったため、今までの「ナショナル・ブランド商品を格安で販売して集客し、医薬品で利益を得る」従来モデルが通用しなくなってきている。
大手流通企業や、大手チェーングループに参加・統合し、プライベートブランドの共同開発、共同仕入れを行うことにより、ナショナル・ブランドに代えて収益率の高いプライベートブランド商品を取り扱うことにより、高い収益率を確保し、更なる新規出店を可能としている。
【ドラッグストアの企業数と店舗数推移】
出典:日本チェーンドラッグストア協会
高齢化の進展に伴う医療費増大の対策として、市販薬やセルフチェッカーを核にしながら、日常生活のなかで病気の予防を行うセルフメディケーションへの取組が推進されており、家計支出は増加傾向にある。
【1世帯当たり年平均1か月間の支出-二人以上の世帯】
出典:総務省「家計調査」
薬剤師法により、薬剤師1人当たりが出せる処方箋の枚数の限定があり薬剤師を確保する必要性があることから、調剤薬局等の大手事業者は薬剤師の確保を積極的に行なってる。薬剤師数は増加しているものの、ドラッグストアや調剤薬局の市場の拡大により、薬剤師数は不足しており、薬剤師の確保は困難になっている。出店候補地はあっても人材面で出店できない状況も生まれている。
【薬剤師数】
出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
中小規模のドラッグストアは単独資本経営からM&A等による大手ドラッグストアチェーンの傘下に入ることで事業再生を行う企業が増加傾向である。よって、大手ドラッグストアチェーンは、M&Aによる既存販売エリアに加えて新規販売エリアへの新規店舗出店を積極的に行っている。
また、M&A等による大手企業グループに参加することで、プライベート商品の共同開発や共同仕入れによる収益力の向上と、人材経営資源と、経営手法の共有による事業基盤の長期的な成長性の拡大が可能となりこれらの取り組みを推進する企業も増加傾向である。
異業種とのM&Aにより、コンビニエンスストアが持つ利便性や、ECサイトによる直販モデルの強化等を主事業に取り入れることで事業の拡大を図る企業もある。
今後は、ドラッグストア業界は医薬品、日用品だけではなく、健康への促進も推奨しているため、地域におけるヘルスケアネットワークの構築も推進したM&A取引も増加することが見込まれる。
売り手のメリット
買い手のメリット
サービス
商品
店舗設計・運営