葬儀業とは、一般的に人が亡くなった際に葬儀を行い、火葬から寺社供養までのプロセスに関わる企業で構成される業界である。
個別のサービス、商品を扱う企業が多数存在し、葬儀社が中心となってそれらの企業をとりまとめ、顧客へサービスを提供する。
葬儀社は葬儀に必要なものをすべてとりまとめ、顧客に提供する位置にある。
葬儀の施工、斎場運営、遺体の搬送等、葬儀にかかわるサービスを一貫して顧客に提供する。
また、近年では顧客のニーズを踏まえてネット葬儀社の存在感が増している。
ネット葬儀社は従来の葬儀社に顧客を紹介し、紹介料を受け取るビジネスモデルが主流で、自社で葬儀を行うことは少ない。
【葬儀業界の商流】
出典:筆者作成
葬儀業界は寡占化が進んでおらず、主要10社の売上高を合計しても全体の20%以下にとどまる。
これは、葬儀業がローカルビジネスであり、主要企業が地域ごとに存在していて、全国に展開する企業が少ないことが起因している。
葬儀業取扱事務所は増加傾向にあり、2011年の1,713か所から2019年の2,496か所へと約45%増加している。
これまでの価格形態が不明瞭なイメージを払拭し、新規参入を図る企業が増えたためと想定される。
人が亡くなってから葬儀社を決めるのではなく、残される人への負担を軽くするのを目的とした「終活」が増えたことにより、
顧客か能動的に葬儀社を選択するようになった。
この「終活」の動きによって、様々な顧客のニーズに応えるため関連事業所数が増えているとも考えられる。
【葬儀業取扱事業所数】
出所:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」
葬儀を行う斎場には民営と公営が存在するが、公営の斎場がほとんどである。
商圏が特に重要な事業であるため、地域によっては選択肢が公営の斎場に限定される。
【運営母体別斎場数】
出所:厚生労働省「衛生行政報告例」
近年、関東地方を中心に葬祭業のM&Aが活発である。
主に商圏拡大を狙った同業によるM&Aと、霊園管理や弁当製造販売等、関連事業へ拡大するM&Aに大分される。
今後も新規参入による環境変化に対応するため、関東に限らず業界再編が進むと想定される。
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