M&A事業承継 用語集 M&Aの手続き・法令

M&Aの手続きや契約について、実務の中で使われる用語をまとめました。

アーンアウト条項 (あーんあうとじょうこう / Earn out Clause)

アーンアウト条項とは、M&A取引の実行(クロージング)後一定の期間において、買収対象とされた事業が特定の目標を達成した場合、買手企業が売手企業に対して予め合意した算定方法に基づいて買収対価の一部を支払うこととする規定である。
買収対価の一部について、買収後における一定の目標達成と連動させることにより、リスクの適切な分配を行い、買収対価に関する相互の見解の溝を埋めることを目的として使われる。実務上使用されることが多い財務指標は、純利益、売上高、営業利益、EBITDA、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローなどがある。

このように、最終契約書で売手企業との間にいくつかの条件を設定し、それが一定期間内に満たされた場合にのみ、追加の買収対価を支払う旨の約束した取引をアーンアウト・ディールといい、追加代金の支払い義務のことをアーンアウトと呼ぶ。
アーンアウト・ディールでは、買手企業は業績目標の達成に応じ、買収対価を数年間に分けて売手の株主や幹部に「分割払い」をする。
例えば、100%の金額を「全額一括払い」するのではなく、まず50%の金額で買収し、翌年に利益目標達成率などに応じた残金を支払う、といった形で行われる。

アーンアウト条項を入れるメリットは、売手側の立場からいうと、株式を売却した後も経営に関与し続ける場合、結果を出せばさらにキャッシュを手にすることができる点にある。
一方、買手側にとっては有効なリスク回避の方法であり、始めは、ある程度手堅いと思われる範囲で資金を出しておき、結果が出てから売手に追加の代金をボーナスとして支払うことができる。
一方、デメリットとしては、売手側は一括で対価を受け取れないため、売った時に多額のキャッシュを手に入れることができない可能性が指摘されている。

通常は、買手企業が自らのリスクを軽減させる目的で採用するもので、成長の途上にある非公開会社(ベンチャー企業)やバイオ製薬会社などを大企業が買収するケースで採用されることが多い。

アーンアウト条項を採用する場合に留意すべき事項は以下のとおり。

□アーンアウトにおける評価指標
買手が支配権を取得した後、買手にはアーンアウト条項に基づく支払いをなくしたり、支払額を低下させたりするインセンティブが働く。
そのため、売手は、一定期間は引き続き経営に参画するなど、財務目標の達成の可否が買主により操作されることを防ぐ工夫が必要になる。

□アーンアウトの評価期間
アーンアウトの評価期間が長くなるほど、売買契約の交渉時点では予測していなかった事情が発生する可能性が高まるため、適度に短く設定する必要がある。
一般的には、評価期間を3年以内としている例が過半数とされる。

□再売却するケースを想定した法整備
買手は、売手の同意なく対象事業を売却した場合、アーンアウトの支払い条件が満たされたかどうかを評価できなくなり、売手が支払いを受ける権利を侵害することになる。
そのため、買手は、あらかじめ売手のアーンアウトに関する権利を対価の支払いなどにより消滅させることができる権利を確保するなど、契約上の整備も必要とされる。

 
⇛クロスボーダーM&Aとベンチャー企業のEXIT
 
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