用語集 デューデリジェンス・企業価値評価
M&Aの意思決定をする上で重要な情報を引き出すデューデリジェンスと企業価値評価に関わる用語についてまとめました。
スタンド・アローン問題(スタンド・アローン・イシュー) (すたんどあろーんもんだい / Stand-alone issue)
スタンド・アローン問題(スタンド・アローン・イシュー)とは、一定の資本関係を有するグループ会社間においては、当該関係のない一般の取引と比較して有利な条件による取引や親会社のサポートなど有形無形のメリットを受けていた対象会社が、M&Aにより資本関係から離脱した結果、それらのメリットが得られなくなる問題をいう。
代表的な例として、仕入先や取引先の確保、資金調達力、知的財産権の利用、グループ内出向者、労働組合などの労務関連、動産・不動産等の使用などが挙げられる。
そのほか、以下のようなものがスタンド・アローン問題とされる。
・全社共通サービスが受けられなくなることで必要となる代替的な業務委託や雇用
・グループ会社からの資金提供や安価なサービス提供の喪失
・グループ会社からの有用な顧客情報や技術提供を受けられなくなる
・グループ一括調達だからこそ可能な安価な原材料調達ができなくなる
・グループ固有のブランドが使用できなくなる
買収者は、デューデリジェンスを通じて、企業価値や収益力等に及ぼす影響の程度を見極め、問題の所在を明確にし、解決策・代替策を検討しなければならない。
デューデリジェンスでは、まず、対象会社が親会社の傘下に入るまでの経緯と現在のグループ内における位置づけ、機能を知る必要がある。
例えば、数年以内に買収されたばかりにもかかわらず、再び売却の対象となるような場合には、その理由を明確にしておかなければならない。
さらに、対象会社の機能を細分化した上で、実務の流れや組織の機能と照合することによって、グループで共有している機能を抽出する。
そして、将来の経営環境の変化も踏まえて、今後どのような機能を補完・構築・削減する必要があるかを把握していくのである。
多くの中小企業では、社長の個人的信頼関係に基づき取引を継続しているケースがある。
そのため、M&Aが実行されたことで経営者が変わると、既存の取引先が取引量や取引価格を変更したり、取引自体を敬遠したりする事態が生じることがある。
これも広義のスタンド・アローン問題といえる。
このような事態に対応するには、重要な数社について、M&A実行後も一定の取引価格や取引総量を維持するなどの保証書を事前に取得しておく、表明保証条項に記載しておくなどが考えられる。
◆関連ワード
⇒スタンド・アローン・バリュー
⇒コングロマリット・ディスカウント
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