M&Aの基礎知識 平成29年度税制改正 M&Aに及ぼす影響

平成29年度税制改正においては、スピンオフ税制の創設、スクイーズアウトにおける課税上の取扱いの整理、適格要件の見直しなど、M&A取引に大きな影響のある改正内容が盛り込まれています。ストラクチャーを検討する際は、改正前後での課税関係の違いを把握しておきましょう。 スピンオフ税制が創設されたことにより、一定の要件を満たすと適格組織再編として課税が生じないことになったため、上場会社における事業再編成が活性化することが期待されます。また、スクイーズアウトについても、適格要件が整理されたことで、課税上の取扱いが明確になりました。 その他、適格要件の見直し、営業権の償却限度額の見直し、欠損金の制限措置の見直しは、いずれもM&Aの税務では押えておきたい重要な改正です。

8-5. 平成29年度税制改正 欠損金の制限措置の見直し

 

改正前の制度では、特定資産の譲渡等により生じた損失金額について、資産を処分するタイミング等によって取り扱いが異なっていたが、今回の改正により、取扱いが統一される。

具体的には、以下の内容になる。
①みなし共同事業要件を満たさない適格合併が行われた場合の特定資産の譲渡等損失金額の制限対象が、「支配関係発生日から」だったものが「支配関係事業年度の期首から」となる。
②上記と同様に、特定支配関係が生じた事業年度に適用事由が生じた場合の欠損等法人の特定資産の譲渡等損失金額の制限対象が、「特定支配関係発生日から」だったものが「特定支配関係事業年度の期首から」となる。
③欠損等法人の繰越欠損金の制限措置に、「100%子会社を解散した場合」が加わる。

なお、改正内容の適用時期に関しては、税制改正大綱に明記されていない。

◆みなし共同事業要件を満たさない適格合併等が行われた場合

組織再編税制の創設前は欠損金や含み損のある法人を買収し、その後合併等を行うことにより、既存事業の利益と通算するなどの租税回避行為が可能であった。
そこで組織再編税制創設により、適格要件を満たす合併等は原則として繰越欠損金を引き継ぐことができ、一定の場合には、繰越欠損金の引継ぎ及び利用が制限されることとされた。
しかし、支配関係がある法人間でみなし共同事業要件を満たさない適格合併等が行われた場合、支配関係開始事業年度から支配関係発生日の前日までの間に生じた特定しs何御譲渡等損失の額については制限の対象となっておらず、結果としてこの時期に損失が集中することもあり得る状況となっていた。
今回の改正では、資産を処分するタイミングによってその損失等について異なる取り扱いを認めていることは合理的でないことから、統一するために改正が行われる。

欠損金制限1

◆欠損等法人において特定支配関係発生事業年度に適用事由が生じた場合

平成18年度税制改正前は、繰越欠損金や含み損のある資産のある会社(ペーパー会社等)を買収し、その会社で事業を開始することで、過年度の繰越欠損金と新事業の所得を通算するという租税回避行為が行われてきた。
そのため、支配された日から5年以内に、事業を営んでいなかった法人で事業を開始すること、当該法人が営んでいた事業のすべてを廃止して事業規模の5倍を超える借り入れを行った場合などの「一定の事由」が生じた場合には、欠損金の繰越に制限が課せることとなった。
しかし、特定支配関係が生じた事業年度に「一定の事由」が生じた場合において、当該事業年度の開始の日から特定支配関係が生じた日の前までの間に特定資産の譲渡等損失額は制限の対象となっていなかった。
今回の改正では、適用事由が生じる時期ならびに資産を処分するタイミングによってその損失等について異なる取り扱いを認めていることは合理的でないことから、統一するために改正が行われる。

欠損金制限2

◆欠損等法人において特定支配関係発生事業年度に適用事由が生じた場合の欠損金の制限拡充

特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限措置について、他の者による完全支配関係がある法人が特定支配関係が生じた日以後に解散し、残余財産が確定した場合を制限の対象に加える。

◆参考

【特定資産の意義】

支配関係発生日前から保有している資産のうち、以下に掲げる資産以外の資産の譲渡、貸倒れ、除却等により発生した損失の額をいう。
・棚卸資産(土地等を除く)
・短期売買商品
・売買目的有価証券
・帳簿価額が1,000万円に満たない資産
・時価が帳簿価額を下回っていない資産 等

【繰越欠損金の引継ぎ制限のフローチャート】

欠損金制限3

【欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用の判定フローチャート】

欠損金制限4

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