M&Aの基礎知識 平成29年度税制改正 M&Aに及ぼす影響

平成29年度税制改正においては、スピンオフ税制の創設、スクイーズアウトにおける課税上の取扱いの整理、適格要件の見直しなど、M&A取引に大きな影響のある改正内容が盛り込まれています。ストラクチャーを検討する際は、改正前後での課税関係の違いを把握しておきましょう。 スピンオフ税制が創設されたことにより、一定の要件を満たすと適格組織再編として課税が生じないことになったため、上場会社における事業再編成が活性化することが期待されます。また、スクイーズアウトについても、適格要件が整理されたことで、課税上の取扱いが明確になりました。 その他、適格要件の見直し、営業権の償却限度額の見直し、欠損金の制限措置の見直しは、いずれもM&Aの税務では押えておきたい重要な改正です。

8-1. 平成29年度税制改正 スピンオフ税制の創設~適格株式分配の適格要件とは~

 
スピンオフとは、株主に対して会社の事業を切り出して設立した子会社の株式又は既存の子会社の株式を交付することであり、事業又は子会社を切り離す行為をいう。
企業の機動的な事業再編成を促進する「スピンオフ税制」の創設により、企業が事業環境の変化に合わせ、より効率的な事業形態を選択できるようにして、経営者による「攻めの経営」を推進していく。これにより、特定事業を切り出して独立会社とするスピンオフの円滑な実施を可能とする等、企業の機動的な事業再編を促進する税制措置が講じられることとなる。

具体的には、新たに単独新設分割型分割で一定の要件を満たすものを適格分割型分割の定義に加え、「株式分配」の新たな定義規定を設けた上で、一定の要件を満たすものを「適格株式分配」とした。
「適格株式分配」は、株式の譲渡損益の取扱い等について適格分割型分割に準じた措置が講じられる。

 
⇛【平成30年度改正】スピンオフの準備のための組織再編税制における適格要件の緩和
 

以下の改正内容の適用時期に関しては、税制改正大綱に明記されていない。

事業のスピンオフ~単独新設分割型分割

改正前の制度では、支配株主が存在しない法人(※)において、自社の既存事業を分割型分割により新設法人に切り出そうとした場合、グループ内組織再編及び共同事業を行うための組織再編に該当せず、非適格組織再編とされていた。
新たに創設されるスピンオフの適格要件を充足した単独新設分割型分割については、適格組織再編とされ課税が生じないため、上場会社における事業再編成が活性化することが期待される。

(※)発行済株式の総数の100分の50を超える株式を直接又は間接に保有する株主が存在しないことが前提。

スピンオフ1

スピンオフ2

子会社のスピンオフ~100%子法人株式の全部を分配する現物分配

改正前の制度では、完全支配関係のない法人または個人株主が受け取る現物分配については配当として課税され、また現物分配法人については、現物分配財産を時価譲渡したものとして課税されていた。
新たに創設されるスピンオフの適格要件を充足した現物分配については、株主においては旧株式の譲渡を行ったものとみなし、現物分配法人においては当該100%子法人株式の譲渡損益を繰り延べ、前述の単独新設分割型分割と同様に課税が生じない措置が講じられる。

(※)発行済株式の総数の100分の50を超える株式を直接又は間接に保有する株主が存在しないことが前提。

スピンオフ3

スピンオフ4

分社型分割及び現物出資の完全支配関係継続要件の見直し

改正前の制度では、単独新設分社型分割又は単独新設現物出資後に、分割法人と分割承継法人の完全支配関係の継続が見込まれていない場合、非適格組織再編となっていた。
今回のスピンオフ税制の整備に伴い、①単独新設分社型分割又は単独新設現物出資後に②100%子法人株式を対象とした現物分配を予定している場合の完全支配関係の継続要件について、その現物分配の直前の時までの関係により判定するとの見直しがされる。

スピンオフ5

スピンオフ6

外国法人・非居住者株主へ100%子法人株式を現物分配した場合の日本での課税の取扱い

内国法人がスピンオフを実施する際に、分離元法人の株主に外国法人または非居住者がいる場合、将来国外で株式を売却することにより日本での租税回避とならないように、交付時に課税される措置が講じられる。

スピンオフ7

 
⇛【平成30年度改正】スピンオフの準備のための組織再編税制における適格要件の緩和
 

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