M&Aの基礎知識 平成29年度税制改正 M&Aに及ぼす影響

平成29年度税制改正においては、スピンオフ税制の創設、スクイーズアウトにおける課税上の取扱いの整理、適格要件の見直しなど、M&A取引に大きな影響のある改正内容が盛り込まれています。ストラクチャーを検討する際は、改正前後での課税関係の違いを把握しておきましょう。 スピンオフ税制が創設されたことにより、一定の要件を満たすと適格組織再編として課税が生じないことになったため、上場会社における事業再編成が活性化することが期待されます。また、スクイーズアウトについても、適格要件が整理されたことで、課税上の取扱いが明確になりました。 その他、適格要件の見直し、営業権の償却限度額の見直し、欠損金の制限措置の見直しは、いずれもM&Aの税務では押えておきたい重要な改正です。

8-2. 平成29年度税制改正 スクイーズアウトにおける課税関係の整理

 

スクイーズ・アウトによる完全子法人化は、同じ経済効果があるにもかかわらず、その手法や親法人の連結納税採用の有無により課税上の取扱いが異なっていた。今回の改正においては、組織再編税制の適用要件を見直しなどにより、スクイーズ・アウトにおける課税上の取り扱いが整理される。
以下の内容は、2017年10月1日以降に行われる組織再編について適用するものとされている。

適格合併、適格株式交換に係る対価要件の見直し

吸収合併又は株式交換(以下「吸収合併等」)の適格要件のうち、対価要件が緩和される。
改正前に吸収合併等によるスクイーズ・アウトを実行する場合、適格要件が充足できなかった。改正案では、合併法人等が被合併法人等の発行済株式の3分の2以上を保有している場合には、合併法人以外の株主に対して金銭等を交付しても、他の適格要件を満たしていれば税制適格組織再編税制として取り扱われることとなる。
なお、今回の改正により全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求により完全子会社化するスクイーズ・アウトは、株式交換と同じく組織再編税制と位置付けられ、企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たさない場合、一定の資産に時価評価課税される。

スクイーズアウト1

スクイーズアウト2

スクイーズ・アウトによる完全法人化の課税関係の見直し

今回の改正により、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求(以下「全部取得条項付種類株式導入等」)による完全子法人化が、株式交換と同様に組織再編税制の取り扱いを受ける。
改正前は、株式交換を用いた場合は、一定の資産に時価評価が生じるため、全部取得条項付株式導入等と比較して税負担が大きかった。今回の改正により、これらの手法により完全子法人化された会社は、一定の資産の時価評価課税が原則となり、株式交換と同様の適格要件を満たす場合には課税が繰り延べられることとなった。

スクイーズアウト3

スクイーズアウトによるみなし配当課税の見直し

改正前は、全部取得条項付種類株式の導入及び株式併合によりスクイーズアウトされる株主の課税関係のうち、全部取得条項付株式導入の定款変更に反対し、株式買取請求した株主からの自己株式の買取のみ、みなし配当事由であった。
改正により、全部取得条項付種類株式導入の定款変更に反対し、その後の取得決議に係る取得対価の割当てに関する事実を知った後に株式買い取り請求を行い、買い取り請求をしないとすれば端数となる株式のみの交付をうけることとなる株主からの自己株式の買取は、みなし配当事由から除外される。

スクイーズアウト4

連結納税適用時のスクイーズアウトによる完全子会社化の課税関係の見直し

①対象法人の課税関係

全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求による完全子会社化が、株式交換と同様に組織再編税制として位置づけられた結果、企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たす場合におけるその完全子法人となった法人の連結納税の開始又は加入に伴う資産の時価評価制度の対象から除外する。
加えて、完全子法人の連結納税開始等の前に生じた欠損金額を連結納税制度の下での繰越控除の対象に加える(個別所得金額を限度とする)。

スクイーズアウト5

②時価評価制度及び繰越欠損金の取扱い

連結納税を採用する際には、連結納税における納税単位と単体納税における納税単位がそれぞれ違うことから、原則的に単体納税における含み損益の清算及び単体納税における繰越欠損金の切捨てを行う。ただし、下記一定の連結子会社に対しては、法人の事務負担や課税上の弊害が生じにくい点を考慮し、例外的に除外されている。

□連結親法人を設立した株式移転に係る株式移転完全子会社
□適格株式交換による株式交換完全子法人
□長期保有子法人等
 ・長期保有子法人
 ・連結納税グループ内の法人により設立された100%子法人
 ・適格合併等により100%子会社となった法人のうち、長期保有子法人に準ずるもの
□単元未満株式の買取り等により100%子会社となった法人

今回の改正で、例外的に除外される一定の連結子会社に、下記が追加されることとなった。

□全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式等売渡請求による完全子法人化を行った場合において、企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たすもの。

なお、繰越欠損金の持込み制限対象外とされた連結子会社が連結グループへ持ち込める繰越欠損金は連結子法人の個別所得金額の範囲内に限られる。

スクイーズアウト6

非適格株式交換等及び連結納税制度の時価評価制度の見直し

非適格株式交換等及び連結納税の開始等に適用される資産の時価評価制度について、「帳簿価額」が1,000万円未満の資産は適用対象から除外される。
なお資産の区分に応じ、各資産ごとに定める評価単位があるため留意が必要である。

スクイーズアウト7

 
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