事業承継の基礎知識 平成29年度税制改正 法人税等にかかわる改正

平成29年度の法人税等にかかわる税制改正には、中小企業者等に対する軽減税率の延長、中小企業向け措置法の所得制限、研究開発税制の見直し、中小企業向け設備投資促進税制の拡充、地方拠点強化税制の拡充、ベンチャー投資促進税制の見直し・延長、特定資産の買換えに係る一部見直しと期限延長、外国子会社合算税制の見直しなどが盛り込まれました。中小企業者等の年所得800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%の適用期限が2年間延長され、「平成31年3月31日までに開始する事業年度」までとなります。一方、所得金額が15億円を超える法人については、中小企業向けの特例措置が適用されなくなりました。「研究開発税制」については、研究開発を増やす企業にメリットが生じやすくなるようになります。また、中小企業の生産性向上を図るため、設備投資を行ったときの優遇措置が拡充されます。地域経済の活性化を目的として、「地方拠点強化税制」では、企業の地方拠点の強化と地方への移転を支援し、「ベンチャー投資促進税制」では、出資規模要件を緩和する一方、地方企業への支援が要件に加えられました。特定の資産を譲渡して、一定期間内に資産を取得して事業の用に供したとき、課税を将来に繰り延べることができる「買換え特例」が修正・期限延長されます。「外国子会社合算税制」は、企業の海外展開を阻害することなく、租税回避に対応するべく見直しが行われました。

8-5. 平成29年度税制改正 地方拠点強化税制の拡充

 
企業の地方拠点の強化及び地方への移転を支援することにより、東京一極集中の是正及び地域経済の活性化を実現することを目的としている。本税制は平成27年度改正により創設されたが、地方再生実現のため一段の施策強化が必要との判断から拡充される。

なお、この改正内容は、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた特定建物等について適用される。

◆地方拠点強化税制の概要

・本社機能の移転・拡充について「オフィス減税(特別償却又は税額控除)」「雇用促進税制(税額控除)」等の優遇措置がある。
(本社機能とは、一定の部門を有する事務所または研究所、もしくは研修所であって重要な役割を担う事業所をいう。)
・上記優遇措置を受けるためには、移転・拡充先となる都道府県知事に「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を申請、認定を受ける必要がある。

【地方拠点強化税制の概要】

◆オフィス減税の概要と改正内容

対象となる建物等の取得価額に対し、特別償却または税額控除を受けられる。

□要件

・「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を申請し、認定を受けること
・上記計画に記載された特定建物等(※1)を取得し、事業の用に供すること

□内 容

・特定建物等の取得価額に対し、特別償却又は税額控除(控除上限額:法人税額の20%)     
【オフィス減税の改正内容】

◆雇用促進税制の概要と改正内容

特定業務施設の当期雇用者に対して、一定の要件を満たした場合、税額控除を受けられる。

【雇用促進税制の概要と改正内容】

□内 容(税額控除額)

<原則>
特定地域基準雇用者数(※5)(無期雇用、フルタイムのみ)×40万円
(控除上限額:法人税額の10%、中小企業者等の場合は法人税額の20%)
(※5) (※2)参照

<特例>
移転型・拡充型共通  
[1] 法人全体の雇用者増加率(※6)が10%以上:地方事業所基準雇用者数(※7)×50万円(改正対象)
[2] 法人全体の雇用者増加率(※6)が10%未満:地方事業所基準雇用者数(※7)×20万円(改正対象)
移転型のみ(上乗せ措置)  地方事業所特別基準雇用者数(※8)×30万円    

□改正後

[1] 法人全体の雇用者増加率(※6)が10%以上の場合:次の金額の合計額
・地方事業所基準雇用者数のうち、無期雇用かつフルタイムの新規雇用者数 × 60万円
・「無期雇用かつフルタイム」以外の新規雇用者数(新規雇用者総数の40%以下部分) × 50万円
・「無期雇用かつフルタイム」以外の新規雇用者数(新規雇用者総数の40%超部分) × 40万円
・地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した人数 × 50万円

[2] 法人全体の雇用者増加率(※6)が10%未満の場合:次の金額の合計額
・地方事業所基準雇用者数のうち、無期雇用かつフルタイムの新規雇用者数 × 30万円
・「無期雇用かつフルタイム」以外の新規雇用者数(新規雇用者総数の40%以下部分) × 20万円
・「無期雇用かつフルタイム」以外の新規雇用者数(新規雇用者総数の40%超部分) × 10万円
・地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した人数 × 20万円

(※6) =基準雇用者割合
(※7) (※3)参照
(※8) (※4)参照

【雇用促進税制の改正内容(増加率別)】

【雇用促進税制の改正内容(増加率別)】

【雇用促進税制の要件】

【雇用促進税制の要件】

◆改正の影響

創設以来、本制度の適用件数はまだ僅少である(注)。これは、平成28年に改正地域再生法が施行され、その後地方自治体による地域再生計画の策定及び事業者による地方拠点の強化・移転の実施と、本制度の適用までに一定の期間を要することによる。
平成28年7月末時点で認定を受けた事業者の計画件数が100件となり、平成28年度改正(所得拡大促進税制との重複適用が可能)及び今回の改正によって本制度の拡充が図られることから、今後適用件数の増加が見込まれる。

(注)オフィス減税:3件 減収額94.6百万円、雇用促進税制:1件 減収額0.8百万円
(出典)内閣府 「平成29年度税制改正(特別措置)要望事項」

 
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