お問い合わせ

事業承継の基礎知識 平成29年度税制改正 相続・事業承継に及ぼす影響

平成29年度税制改正においては、取引相場のない株式の評価の見直し、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長、国外財産に対する納税義務の見直し、物納財産の範囲と順位の変更など、オーナーの相続・事業承継に係る改正が数多く盛り込まれています。 取引相場のない株式の評価については、中小企業の株価が市況の影響で著しく変動しないよう、等の観点からの見直しとなっています。 医業を継続しやすくするために、特例の認定を受けた「新認定医療法人」の出資者が出資持分を放棄し、認定移行計画に記載された移行期限までに持分のない医療法人へ移行をした場合には、医療法人が放棄により受けた経済的利益については、医療法人に対して贈与税は課されないものとされました。 国外財産については、租税回避行為を抑制すると同時に、高度外国人材等が日本で働きやすいように、在留資格により一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続・贈与については、国外財産を相続税・贈与税の課税対象とされないこととなりました。 その他、物納、広大地の評価、タワーマンション節税、役員給与に係る改正がされています。

6-7. 平成29年度税制改正 「攻めの経営」を促す役員給与等に係る税制の整備

 
経営者に「攻めの経営」を後押しするため、中長期の企業価値向上に対するインセンティブとして、多様な業績連動報酬や株式報酬の導入促進を目的として、役員報酬に係る税制体系が整備された。
これにより、改正前は損金算入が認められていた報酬制度について、損金不算入となる可能性があるため、引き続き損金算入要件を満たすためには、報酬規程等の見直しが必要となる場合がある。
例えば、業績等に連動しないストックオプション報酬で支給基準を金額で定めている場合、損金算入要件を満たさなくなる。
事前確定届出給与の要件を満たすためには報酬規程等における支給水準の定め方を金額から株数に変更する必要がある。
業績等に連動する株式報酬(利益連動給与)は、有価証券報告書等に給与算定方法の記載が必要となるため役員給与開示の許容程度により、損金不算入となる場合も考えられる。

◆内容

①定期同額給与について、額面のみではなく手取額が同額である場合も対象に追加される。
②事前確定届出給与として、株式や新株予約権を交付することができるようになる。
③事前確定給与である譲渡制限付株式のうち、会社業績により一部没収されるものは損金算入できなくなる。
④利益連動給与として、株式や新株予約権を交付することができるようになる。
⑤利益連動給与の範囲に完全支配関係のある子会社が支給する給与も追加される。
⑥利益連動給与の算定指標に「株価」や「売上」が追加されるとともに、将来の時点もしくは期間の指標を用いることができるようになる。
⑦利益に連動する退職給与(株式交付信託を含む)は、利益連動給与の要件を満たさなければ損金算入できなくなる。

◆適用時期

・上記①、⑤、⑥⇒平成29年4月1日以後の決議(※1)で支給・交付される給与から適用されるもの
・上記②(※2)、③、④(※3)⇒平成29年10月1日以後の決議(※1)で支給・交付される給与から適用されるもの
(※1)決議がない場合には支給又は交付された日
(※2)ただし、在任時交付型の株式交付信託については平成29年4月1日以後
(※3)ただし、在任時交付型の株式交付信託、パフォーマンスシャアについては平成29年4月1日以後

◆税法上の役員給与類型別にみた改正の内容のまとめ

役員給与1

◆株式報酬の概要

□譲渡制限付株式

一定期間の譲渡制限が付された株式である。
平成28年度税制改正により損金算入が認められることとなった。
海外では広く普及している。

①会社は役員報酬として譲渡制限付株式を付与する
②役員は譲渡制限解除後、証券市場で株式を売却し現金化する。
役員給与2

□ストックオプション

あらかじめ定められた価額(行使価額)で自社株式を取得する権利である。
ストックオプションの付与は、新株予約権を付与することによって行われる。

①会社は役員報酬としてストックオプション(新株予約権)を付与する。
②役員は行使条件に従い、権利行使金額を会社に支払い自社株式を取得する。
③役員は証券市場で株式を売却し現金化する。
役員給与3

□株式交付信託

信託を使った株式報酬である。
付与されたポイントに見合う株式を交付する。
会社が金銭を信託に拠出し信託が市場等から株式を取得し、ポイントに応じて一定期間後に株式を付与する。

①会社は役員を受益者とした他益信託を設定し、金銭を信託する。
②受託者(信託銀行)は自社株式を証券市場から購入する方法や第三者割当による方法により取得する。
③役員は株式交付規程等の定めに基づき、受託者から自社株式の交付を受ける。
④役員は証券市場で株式を売却し現金化する。
役員給与4

□パフォーマンスシェア

業績目標の達成度合いに応じて株式を支給する報酬制度である。
これまで損金不算入であったため、普及していなかった。
本改正により損金算入が認められることとなる。

①会社はパフォーマンスシェアにかかる業績目標を設定する。
②業績目標達成後、会社は役員報酬として自社株式を付与する。
③役員は証券市場で株式を売却し現金化する。
役員給与5

 
bnr_1805dl
⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 
⇛事業承継とは | 事業承継税制から後継者教育まで
 
⇒M&Aとは?企業買収の方法と必須となる基礎知識
 
⇒会社の買収とは | 企業買収の意味と仕組み
 

無料 資料ダウンロード M&Aのノウハウが凝縮!! マンガでわかるM&Aの落とし穴 10選

M&A/事業継承マニュアル M&A/事業承継 基礎知識