事業承継の基礎知識 平成29年度税制改正 相続・事業承継に及ぼす影響

平成29年度税制改正においては、取引相場のない株式の評価の見直し、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長、国外財産に対する納税義務の見直し、物納財産の範囲と順位の変更など、オーナーの相続・事業承継に係る改正が数多く盛り込まれています。 取引相場のない株式の評価については、中小企業の株価が市況の影響で著しく変動しないよう、等の観点からの見直しとなっています。 医業を継続しやすくするために、特例の認定を受けた「新認定医療法人」の出資者が出資持分を放棄し、認定移行計画に記載された移行期限までに持分のない医療法人へ移行をした場合には、医療法人が放棄により受けた経済的利益については、医療法人に対して贈与税は課されないものとされました。 国外財産については、租税回避行為を抑制すると同時に、高度外国人材等が日本で働きやすいように、在留資格により一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続・贈与については、国外財産を相続税・贈与税の課税対象とされないこととなりました。 その他、物納、広大地の評価、タワーマンション節税、役員給与に係る改正がされています。

6-6. 平成29年度税制改正 居住用超高層建築物に係る固定資産税等の見直し

 
居住用超高層建築物(いわゆるタワーマンション)は、高層階ほど取引価格が高い傾向にあるが固定資産税・都市計画税・不動産取得税の税額は、高層階・低層階とも床面積が同じであれば同額になっており、不公平感を生んでいた。
改正により、高層階を増税し低層階を減税することで、税負担の不均衡が緩和される。
具体的には、居住用超高層建築物の固定資産税・都市計画税・不動産取得税に対し、階層に応じた補正率が創設される。
家屋全体の税額は変わらない。

各区分所有者の家屋に係る固定資産税・都市計画税・不動産取得税の負担を階層に応じて調整する改正であり、「固定資産税評価額」自体を改正するものではない。
すなわち、家屋の固定資産税評価額は変わらず、相続税・贈与税計算上の評価額に影響はない。
また、登録免許税についても影響はない。

なお、店舗等の非居住用部分については、高層階ほど取引価格が高い傾向にあるとは限らないので、改正の対象ではない。

平成29年4月1日以降取得の家屋(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)が対象となる。

改正前後の計算方法は、以下の通り。

◆【改正前】一棟全体の税額等を各区分所有者の占有床面積で按分しているため、専有床面積が同じであれば高層階・低層階とも税額は同じ

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□各住戸の固定資産税・都市計画税の按分方法

タワーマンション2
平成30年3月31日までに新築された住宅の場合、固定資産税については一定の減額措置あり。

□各住戸の不動産取得税の計算ベースとなる評価額の按分方法

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(不動産取得税の具体的な計算方法)
タワーマンション4

◆【改正後】一棟全体の税額等を取引価格の傾向を踏まえ按分するため、階層が増すごとに税額等が増える

タワーマンション5

□各住戸の固定資産税・都市計画税の按分方法

タワーマンション6
平成30年3月31日までに新築された住宅の場合、固定資産税については一定の減額措置あり。

□各住戸の不動産取得税の計算ベースとなる評価額の按分方法(※2)

タワーマンション7
(※1)建物の1階を100とし、階が1階増すごとに10/39を加えた数値。
(※2)
・天井の高さ、付帯設備の程度等について著しい差異がある場合には、差異に応じた補正を行う。
・居住用以外の専有部分があるときは、一棟全体の税額等を床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額等を各区分所有者に按分する場合についてのみ補正率を適用する。
・区分所有者全員により申し出た割合による按分も可能。

□固定資産税と実際の取引価格の比較事例

東京都所在の某タワーマンションの階層別の固定資産税等と実際の取引価格例は下表の通りである。
階層の差異による実際の取引価格の傾向を税負担に反映させるという趣旨で税制改正が行われるものの、本物件については、改正後の税負担にあっても実際の取引価格の傾向との乖離は著しく大きい。
タワーマンション8

□居住用以外は改正の対象外

一般に店舗等は高層階よりも1階の方が利用価値が高く、また、事務所等も階層に関わらず賃料等が設定される傾向があるため、本改正の対象にはなっていない。
本改正は、階層の差異で取引価格に顕著な影響のある居住用部分に焦点を当てているものと考えられる。

□相続税・贈与税に影響はない

家屋の相続税評価額は、財産評価基本通達に基づき「固定資産税評価額」により評価し、高層階・低層階とも床面積が同じであれば同額となる。
そのため、低層階に比べ高層階の取引価格が特に高いタワーマンションの場合、時価と相続税評価額に大きく乖離が生じており、これを利用した「タワーマンション節税」が問題視されている。
しかしながら、本改正は「固定資産税評価額」自体を改正するものではないため、相続税・贈与税計算上の評価額に影響はない。

 
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