事業承継の基礎知識 平成29年度税制改正 所得税にかかわる改正

平成29年度の所得税にかかわる税制改正には、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し、積立NISAの創設、NISA・ジュニアNISAの非課税期間終了時のロールオーバー上限額の撤廃、医療費控除等に関する添付書類の見直し、住宅ローン控除等の拡充・要件緩和などが盛り込まれました。これにより、「配偶者特別控除」では、控除額38万円の対象となる配偶者の給与年収の上限を103万円から150万円に引き上げられました。「積立NISA」によって、少額からの積立・分散投資の促進が図られます。一方で、従来からある「NISA・ジュニアNISA」では、非課税期間終了時のロールオーバー上限額が撤廃されます。今後、「医療費控除」で利用した領収書は、税務署長から求められた場合に提示又は提出する必要があるため、5年間は保管が必要となるので注意が必要です。「住宅ローン控除」は拡充・要件緩和によって、一層利用しやすくなります。

7-5. 平成29年度税制改正 住宅ローン控除等の拡充・要件緩和

 

◆省エネ改修工事・耐震改修工事をした場合の所得税額の特別控除に係る工事範囲の拡充

新築の長期優良住宅の認定基準制度に加え、平成28年2月、増改築による長期優良住宅の認定基準が制定された。
長期優良住宅であると認定されることで、税制上様々な優遇措置を受けることができる。
この長期優良住宅(増改築)の認定を受けるためには、省エネルギー性の確保、耐震性の確保に係る工事に加えて耐久性向上改修を行う必要があることから、所得税額の特別控除の対象となる工事に省エネ改修工事、耐震改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事が加えられる。
なお、この改正内容は、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に増改築等した居住用家屋を自己の居住の用に供する場合に適用される。

□改正の概要

個人が、自己が所有している居住用家屋について省エネ改修工事、耐震改修工事を行った場合の所得税額の特別控除の対象となる工事に、省エネ改修工事、耐震改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事が追加される(下線事項が改正部分)。

【省エネ改修工事・耐震改修工事をした場合の所得税額の特別控除】
【省エネ改修工事・耐震改修工事をした場合の所得税額の特別控除】

□耐久性向上改修工事とは

耐久性向上改修工事とは、①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事又は⑧給排水管若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で次の要件を満たすものをいう。

(共通の要件)

イ 認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであること。
ロ 改修部位の劣化対策並びに維持管理及び更新の容易性が、いずれも増改築による長期優良住宅の認定基準に新たに適合することとなること。

(「住宅ローン」型のみ)

ハ 増築、改築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は一室の床若しくは壁の全部について行う修繕若しくは模様替等であること。
ニ 工事費用(補助金等の交付がある場合には、当該補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えること。

(「自己資金も可」型のみ)

ホ 工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金等の交付がある場合には、当該補助金等の額を控除した後の金額)が50万円を超えること。

【長期優良住宅(増改築)の主な認定基準】

◆省エネ改修工事をした場合の所得税額の特別控除における適用要件の合理化

これまで、居室の窓全部の断熱改修をすることが省エネ改修工事に該当することの要件とされていたが、省エネに関する既存住宅の性能評価基準が制定され、省エネ改修による質の向上を性能評価という手法でも判断可能になった。
そのため、特別控除の対象となる省エネ改修工事に一定の性能評価基準を満たすための工事を追加し、適用要件の合理化が図られる。

改正前は居室の全ての窓について改修工事をすることが要件(全窓要件)とされていた。
改正により、全窓要件を満たさなくても、居室の窓の断熱改修工事等であって、改修後の住宅全体の断熱等性能等級が改修前から一段階相当以上向上し、改修後の住宅全体の省エネ性能が断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上及び断熱等性能等級3となること等の要件を満たす工事であれば、所得税額の特別控除の対象となる省エネ改修工事とされる。

なお、既存住宅に係る省エネ改修工事の所得税額の税額控除の適用を受けようとする年の前年以前3年内に省エネ改修工事を行い、本税額控除の適用を受けている場合には適用されない。

この改正内容は、平成29年4月1日以後に行う工事について適用される。

◆住宅ローン控除制度の対象となる勤務先からの借入金に係る利率の緩和

金融機関における住宅ローン金利の状況に鑑み、住宅ローン控除制度の対象とならない勤務先からの住宅借入金等に係る利率が引き下げられる。

勤務先からの借入金のうち、住宅ローン控除制度の対象となる借入金の利率が、1%以上から0.2%以上に緩和される。
給与所得者等がその使用者等から使用人である地位に基づいて貸付けを受けた借入金につき、支払うべき利息がない場合又はその利息の利率が0.2%未満(改正前は1%未満)の利率である場合のその住宅借入金等は、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(住宅ローン控除)の対象とならない。

なお、この改正内容は、平成29年1月1日以後に居住用家屋を自己の居住の用に供する場合について適用される。

◆住宅ローン控除等の一覧

住宅ローン控除等について各制度の控除額は下記のとおりである(※は改正があったもの)。

【住宅ローン控除等の一覧】

◆住宅ローン控除の変遷

一般住宅の取得・一般の増改築等における住宅ローン控除の変遷は下記のとおりである。

【住宅ローン控除の変遷】

 
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