事業承継の基礎知識 平成29年度税制改正 所得税にかかわる改正

平成29年度の所得税にかかわる税制改正には、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し、積立NISAの創設、NISA・ジュニアNISAの非課税期間終了時のロールオーバー上限額の撤廃、医療費控除等に関する添付書類の見直し、住宅ローン控除等の拡充・要件緩和などが盛り込まれました。これにより、「配偶者特別控除」では、控除額38万円の対象となる配偶者の給与年収の上限を103万円から150万円に引き上げられました。「積立NISA」によって、少額からの積立・分散投資の促進が図られます。一方で、従来からある「NISA・ジュニアNISA」では、非課税期間終了時のロールオーバー上限額が撤廃されます。今後、「医療費控除」で利用した領収書は、税務署長から求められた場合に提示又は提出する必要があるため、5年間は保管が必要となるので注意が必要です。「住宅ローン控除」は拡充・要件緩和によって、一層利用しやすくなります。

7-3. 平成29年度税制改正 NISA・ジュニアNISAの非課税期間終了時のロールオーバー上限額の撤廃

 
NISA・ジュニアNISAでは、5年間の非課税期間終了時に、非課税口座内の上場株式等の時価が年間投資上限額を超えている場合、年間投資上限額の範囲内でしかロールオーバーすることができなかった。
そのため、ロールオーバーする上場株式等の銘柄や株式数を年間投資上限額の範囲内で事前に指定し、金融機関等に「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を提出する必要があり、非課税期間終了時の金融機関における事務負担が増大することが懸念されていた。
ロールオーバーの上限額を撤廃することにより、非課税期間終了時の金融機関の事務負担は軽減されることとなる。

改正前は、NISA・ジュニアNISAにおける非課税期間終了時に上場株式等の時価が年間投資上限額(NISA120万円、ジュニアNISA80万円)を超過した場合、ロールオーバーする際に、年間投資上限額を超える部分については、課税口座に払い出す必要があった。
改正後は、NISA・ジュニアNISAにおける非課税期間終了時に上場株式等の時価が年間投資上限額を超過した場合でも、当該上場株式等すべてのロールオーバーが可能となる。

【NISA・ジュニアNISAにおけるロールオーバー上限額の改正】
【NISA・ジュニアNISAにおけるロールオーバー上限額の改正】

◆非課税期間終了時の3つの選択肢(改正なし)

非課税期間終了時の対応として、①売却、②一般口座又は特定口座への移管、③ロールオーバーの3つの方法があるが、いずれの方法によっても売却益・みなし売却益・含み益は非課税、売却損・みなし売却損・含み損はなかったものとみなされる。移管(ロールオーバーを含む)の場合の上場株式等の取得価額が、移管時の時価となるためである。

□含み益がある場合

(上場株式等を非課税口座で100万円で購入、非課税期間終了時の上場株式等の時価は150万円)

(A)売却
非課税口座での売却による売却益50万円は非課税。
(B)一般口座又は特定口座へ移管
移管時に150万円で売却したものとみなす(みなし売却益50万円は非課税)。移管された一般口座又は特定口座では150万円で取得したものとする(取得価額が150万円に付け替えられる)。
(C)ロールオーバー
150万円で移管することが可能(含み益50万円は非課税)。取得価額が150万円に付け替えられる。

□含み損がある場合

(上場株式等を非課税口座で100万円で購入、非課税期間終了時の上場株式等の時価は80万円)

(A)売却
非課税口座での売却損20万円はなかったものとみなす。
(B)一般口座又は特定口座へ移管
移管時に80万円で売却したものとみなす(みなし売却損20万円はなかったものとみなす)。
移管された一般口座又は特定口座では80万円で取得 したものする(取得価額が80万円に付け替えられる)。
(C)ロールオーバー
80万円で移管する(含み損20万円はなかったものとみなす)。取得価額が80万円に付け替えられる。

◆長期投資のメリットの享受

ロールオーバーの上限額が撤廃されることにより、5年間の非課税期間終了時に含み益がある場合には、ロールオーバーし保有しつづけることにより、非課税で運用できる元本の金額が増加し、その後の非課税となる運用益も増加するため、長期投資のメリットを享受することとなる。

 
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