事業承継の基礎知識 平成29年度税制改正 所得税にかかわる改正

平成29年度の所得税にかかわる税制改正には、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し、積立NISAの創設、NISA・ジュニアNISAの非課税期間終了時のロールオーバー上限額の撤廃、医療費控除等に関する添付書類の見直し、住宅ローン控除等の拡充・要件緩和などが盛り込まれました。これにより、「配偶者特別控除」では、控除額38万円の対象となる配偶者の給与年収の上限を103万円から150万円に引き上げられました。「積立NISA」によって、少額からの積立・分散投資の促進が図られます。一方で、従来からある「NISA・ジュニアNISA」では、非課税期間終了時のロールオーバー上限額が撤廃されます。今後、「医療費控除」で利用した領収書は、税務署長から求められた場合に提示又は提出する必要があるため、5年間は保管が必要となるので注意が必要です。「住宅ローン控除」は拡充・要件緩和によって、一層利用しやすくなります。

7-2. 平成29年度税制改正 積立NISAの創設

 
平成26年より導入されたNISAは着実に普及している一方で、口座開設者のうち、20歳代~50歳代の現役世代の占める割合が半数未満にとどまっているほか、口座を開設しても一度も買付けを行っていない口座が過半数を占めているなど、現役世代への普及・定着と、口座稼働率の向上が課題となっている。
また、NISAは個人投資家の裾野を拡大し、家計の安定的な資産形成の支援と、経済成長に必要な成長資金の供給拡大の両立を図ることを目的として設立されたが、積立型の投資に利用しにくい状況にある。
こうした観点から、少額からの積立・分散投資の促進を図るため、積立NISAが創設される。

なお、この改正内容は、平成30年1月1日から適用される。

~与党平成29年度税制改正大綱より抜粋~

老後の生活など各種のリスクに備える自助努力を支援する公平な制度の構築に向けた検討を行う中で、NISA全体に係る整理を行う。
こうした方針に沿って、制度の簡素化や税制によって政策的に支援すべき対象の明確化の観点から、複数の制度が並立するNISAの仕組みについて、少額からの積立・分散投資に適した制度への一本化を検討する。

◆制度の内容

積立NISAは、20歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に「積立NISA専用の累積投資勘定」を設定し、毎年の投資額の上限額を40万円として、その累積投資勘定で買付け等した公募等株式投資信託の分配金・譲渡益が最長20年間非課税、売却損はなかったものとする制度である。
なお、積立NISAの対象となる公募等株式投資信託は、長期・分散投資に適した一定の商品に限定される。

【積立NISAの制度設計】
【積立NISAの制度設計】

【積立NISAのイメージ】
【積立NISAのイメージ】

◆投資対象となる「一定の公募等株式投資信託」とは

公募等株式投資信託とは、投資信託のうち、以下に掲げる要件を満たすものに限定される。

①その受益権が金融商品取引所に上場等がされているもの又はその設定にかかる受益権の募集が一定の公募により行われたもの。
②信託契約期間の定めがないこと又は20年以上の信託契約期間が定められていること。
③収益の分配は原則として信託の計算期間ごとに行うこととされており、かつ、月ごとに行うこととされていないこと。
④信託財産は、複数の銘柄の有価証券又は複数の種類の特定資産に対して分散投資をして運用を行い、かつ、一定の場合を除いてデリバティブ取引への投資による運用を行わないこと。
⑤その他一定の事項。

◆分配金の取扱い

非課税口座内に保有する公募等株式投資信託に係る分配金は非課税となる。また、分配金を再投資する場合、分配金を受け取る年の非課税枠での投資となる。

◆売却益がある場合の取扱い

非課税口座内に保有する公募等株式投資信託を非課税期間に売却して売却益が生じる場合、当該売却益は非課税となる。

◆売却損がある場合の取扱い

非課税口座内に保有する公募等株式投資信託を非課税期間に売却して売却損が生じる場合、当該売却損は、税金計算上なかったものとみなされる。したがって、一般口座又は特定口座内の他の上場株式等の譲渡益・配当との損益通算や損失の繰り越しをすることはできない。

◆非課税期間終了時の取扱い

積立NISAは口座開設期間が平成49年までの20年間であるため、非課税期間終了時のロールオーバー(新たな年の非課税管理口座への移管)は想定されていないが、その対応は、今後のNISA制度全体の一本化の動きによることになる。

◆NISAとの選択適用について

「NISA」と「積立NISA」は、1年ごとにいずれか一方を選択することになる。同一年に非課税口座内に「非課税管理勘定(NISA)」と「累積投資勘定(積立NISA)」の両方を設定することは認められないため、同一年にNISAと積立NISAの両方を適用することはできない。平成30年は積立NISA、平成31年はNISAというように暦年単位での選択は可能である(下図参照)。

<例>
・H30年は積立NISAを選択。
・H31年はNISAを選択。
・H32年はNISAを選択。
・H33年は積立NISAを選択。

【積立NISAとNISAの選択適用】
【積立NISAとNISAの選択適用】

◆NISA各制度の比較

【NISA各制度の比較】

 
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