M&Aの基礎知識 平成30年度税制改正 M&Aに及ぼす影響

平成30年度税制改正では、スピンオフ税制、組織再編税制の適格要件緩和などが盛り込まれており、グループ内再編に及ぼす影響は小さくありません。

H30-m5. 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の見直し

 

◆改正の趣旨・背景

外国子会社合算税制は、実質的活動を伴わない外国子会社等の所得を日本親会社の所得に合算して課税する税制をいう。
本税制は、平成29年度税制改正において、日本企業の海外進出を促進しつつ、租税回避に有効に対処できるよう見直しが行われたが、金融機関の一部の業務やM&A後の資本関係整理に関連する所得が租税回避を目的としていないにも関わらず合算されてしまうという課題が残されていた。
平成30年度改正では、これらの課題を解消すべく所定の措置が講じられる。

【外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の対象範囲(改正の全体像)】
H30-m5【外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の見直し】

◆改正内容

□一定の株式譲渡益に関する改正

海外企業グループ買収後の資本関係整理に伴って生じる一定の株式譲渡益が、合算対象から除外される。
当該株式譲渡益は、もともとグループ外にあった外国法人の株式の含み益が買収後に実現するものであるから、日本の税源を侵食していないと考えられるため、平成30年度改正により合算対象から除外されることとなる。

【一定の株式譲渡益に関する改正の概要】
H30-m5【一定の株式譲渡益に関する改正の概要】

これにより、日本企業が海外企業グループを買収した場合、今後公表される詳細な要件を考慮して、組織再編の計画を立てる必要性がある。
要件の中には、一定の期間内に株式等譲渡を行うなど、今後の海外企業グループの組織再編計画へ影響を与える項目がある。

□外国金融子会社等に関する改正

平成29年度税制改正において日本企業の健全な海外展開を阻害することなく、より効果的に国際的な租税回避に対応する観点から外国子会社合算税制の見直しが行われた。
しかしながら、金融機関の一部の業務については、租税回避目的が無いにも関わらず所得が合算されてしまう等の課題が残っていた。
平成30年度改正では、金融機関のビジネス実態を踏まえ、金融機関が海外事業展開を行う上で想定外の合算課税が生じないための所要の措置が講じられることとなった。

(1)経済活動基準の見直し

租税負担割合が20%未満の外国関係会社(ペーパーカンパニー等を除く)のうち、活動基準(①2事業基準、②実態基準、③管理支配基準、④非関連者基準/所在地国基準)を全て満たすもの(「部分対象関係会社」)は、経済活動の実体を備えているものとして、経済活動の実体のない事業から得られた所得(「受動的所得」)のみが合算対象となる。
今年度改正では、株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち外国金融子会社等に相当する金融持株会社は、事業基準を満たすこととされる。

(2)外国金融子会社等の要件の見直し

部分対象外国関係会社のうち、外国金融機関(本店所在地国の法令に準拠して銀行業を営む等の要件を満たす「部分対象外国関係会社」)と外国金融持株会社等は、金融所得以外の受動的所得のみが合算対象となる。
なお、外国金融持株会社等とは、以下の要件を満たす部分対象外国関係会社(1つ以上の外国金融機関の株式を有するものに限る)をいい、平成30年度改正で要件が見直される。
・100%保有要件
・経営管理要件
・経営管理業務従事要件
・75%要件

外国金融子会社等の範囲が拡大されることに伴い、資本関係の見直しを行ったほうがいいケースが生じる。
具体的な要件については、今後の詳細な情報を待つ必要がある。

□部分合算課税におえる関連者等に対する貸付利子に関する改正

部分合算課税の対象としないこととされる関連者等に対する金銭の貸付に係る利子について、その関連者等の範囲から個人を除外する。
これにより、グループファイナンスに係る貸付金の利子の場合においても、個人に対する貸付金の利子は合算課税の対象となりえるため、グループファイナンスに個人を組み込んでいる場合には留意が必要である。

 
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