事業承継の基礎知識 平成30年度税制改正 相続・事業承継に及ぼす影響

平成30年度税制改正では、生産緑地法改正に伴う措置、美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設のほか、小規模宅地等の特例、一般社団法人に関する相続税・贈与税の課税関係、国外財産に対する納税義務などについて見直しがあり、個人資産の承継に一定の影響が及びます。

H30-s4. 特定の一般社団法人等に関する相続税・贈与税

 
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◆改正の趣旨・背景

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律が施工された平成20年12月以降、一般社団法人等は、事業の公共性の有無や種類に制限がなく、登記のみで設立できるようになった。

【株式会社、一般社団法人、一般財団法人の比較】
【株式会社、一般社団法人、一般財団法人の比較】

一般社団法人等は、「持分の定めのない法人」であり、一般社団法人等が保有する資産は相続税の課税対象とならないことから、個人の財産を一般社団法人等に贈与等し、その後、贈与等した者の同族関係者が当該一般社団法人等の役員になり、実質的に継続して支配することにより、個人財産に相続税課税をうけることなく同族関係者に承継することが可能であった。

そのため、容易に設立できる一般社団法人等を利用した相続税対策の手法が広がった。
そこで、特定の一般社団法人等の理事が死亡した場合に、当該一般社団法人等に対して相続税を課税する改正が行われた。

これにより、一般社団法人等の理事が死亡した場合、当該理事死亡時の同族役員数に応じて、当該一般社団法人等に対する相続税課税の有無及び課税される相続税の額が異なることになるため、一般社団法人等の事業や目的に沿った機関設計を慎重に検討する必要がある。

【一般社団法人の利用で問題となっていたケース】
【一般社団法人の利用で問題となっていたケース】

◆改正の内容

特定一般社団法人等の理事が死亡した場合、当該特定一般社団法人等に相続税が課税されることとなった。

□一般社団法人等(※1)が、下記に該当する場合、当該一般社団法人等に相続税が課税される

・理事が死亡
相続開始以前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の理事であった者を含む。

・特定一般社団法人等に該当
特定一般社団法人等とは、一般社団法人等のうち「相続開始直前」又は「相続開始前5年以内のうち合計3年以上の期間」において次の要件を満たすものをいう。
【特定一般社団法人等の要件】

(※1)一般社団法人等とは、一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他一定の法人を除く)をいう。

(※2)同族役員
一般社団法人等の理事のうち次のものをいう。
・被相続人
・被相続人の配偶者、3親等内の親族
・その他被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が役員となっている会社の従業員等)

□課税される相続税額

・以下の金額を死亡した理事から遺族により取得したものとみなして、特定一般社団法人等に相続税が課税され、かつ、その税額は2割加算となる
【特定一般社団法人等の相続税額】

・上記の相続税額から、贈与等により取得した財産について既に当該法人に課税された贈与税等の額を控除する

□その他 その他所要の措置を講ずる

【一般社団法人等に関する相続税の課税 改正内容のイメージ】
【一般社団法人等に関する相続税の課税 改正内容のイメージ】

□特定一般社団法人等の定義

下記、(イ)又は(ロ)の要件を満たす一般社団法人等をいう。
(イ) 相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1超えること
(ロ) 相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること

【特定一般社団法人等の定義】
【特定一般社団法人等の定義】

□同族役員の範囲

一般社団法人等の理事のうち次のものをいう。
・被相続人
・被相続人の配偶者
・被相続人の3親等内の親族
・被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)

◆適用時期

□原則

平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用

□経過措置(平成30年3月31日までに設立された一般社団法人等)

・平成33年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用
・平成30年3月31日以前の期間は、特定一般社団法人等に該当するか判定する期間の算定に含めない

【適用時期のイメージ 原則と経過措置】
【適用時期のイメージ 原則と経過措置】

◆改正の影響

特定一般社団法人等に該当し、かつ、当該法人の理事が死亡した場合には、特定一般社団法人等に相続税が課税される。

【改正後の相続税等の計算例】
【改正後の相続税等の計算例】

※一般社団法人への贈与時に一般社団法人に贈与税が課税される場合に該当するものとする。
※一般社団法人に対する法人税等の影響は考慮していない。

◆一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し

個人が一般社団法人等に財産を贈与等した場合で一定の場合には、贈与等した者の同族関係者の贈与税等の負担が不当に減少する結果になると認められるため、一般社団法人等を個人とみなして、当該一般社団法人等に対し、贈与税等が課税される。
しかし、その一定の要件が実務上、明確ではなかったため、規定を明確化する改正が行われた。

具体的には、個人から一般社団法人等に財産の贈与等があった場合の贈与税等の課税につき、贈与税等の負担が不当に減少する結果とならないものとされる要件(役員等に占める親族等の割合が3分の1以下である旨の定款の定めがあること等)のうち、いずれかを満たさない場合に贈与税等が課税されることとし、規定が明確化された。

明確化される規定の内容を確認し、贈与税等の課税の有無を検討する必要がある。

【贈与税等の負担が不当に減少する結果とならない要件】
次に掲げる要件を満たすときは、贈与税等の負担が不当に減少する結果となると認められないものとする。
□運営組織が適正であり、かつ、定款等において役員等のうちの親族等の割合が3分の1以下とする旨の定めがあること
□寄附をした個人又は一般社団法人等の役員等に特別の利益を与えていないこと
□定款等において、解散時の残余財産は国等に帰属させる旨の定めがあること
□一般社団法人等において法令違反等の事実がないこと

◆適用時期

平成30年4月1日以後の贈与又は遺贈で取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用される。

【一般社団法人等にかかる贈与税の見直し 適用時期のイメージ】

 
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