事業承継の基礎知識 平成30年度税制改正 相続・事業承継に及ぼす影響

平成30年度税制改正では、生産緑地法改正に伴う措置、美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設のほか、小規模宅地等の特例、一般社団法人に関する相続税・贈与税の課税関係、国外財産に対する納税義務などについて見直しがあり、個人資産の承継に一定の影響が及びます。

H30-s3. 小規模宅地等の特例の見直し

 

◆改正の趣旨・背景

会見検査院の報告によると、相続により取得した土地等を相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していた2,907人のうち、243人が小規模宅地等の特例を適用していた。
そして、当該243人が譲渡した土地等273件の譲渡までの期間を確認したところ、相続税の申告期限の翌日から1年以内に譲渡していたものが163件(うち貸付事業用宅地等は110件)、1ヶ月以内に譲渡していたものが22件(同13件)見受けられた、とのことである。

そのほか、別居親族が居住用宅地等を相続する際のいわゆる「家なき子」特例については、持ち家のない子が親の死亡後実家に戻ることなどを想定した特例であるにもかかわらず、相続人が親族などに自己の持ち家を売却するなどして「別居親族」の形式を整えるといった、特例を適用可能な状態を意図的に作出する事案が見受けられた。

貸付事業用宅地等については、相続開始直前に賃貸不動産を購入し、特例を適用して相続税負担を軽減する事案が見受けられた。
このような制度目的に沿ったものではない事案が散見されたことから、特例適用の現状をふまえ、適用対象者等を見直す。

この改正により、別居親族が小規模宅地等の特例を適用できるように遺言を作成したり、相続対策を考えている場合には、遺言や対策内容の見直しを検討する必要がある。
また、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等については、小規模宅地等の特例の適用が受けられない場合があるので、不動産の計画的な有効活用が求められる。

なお、この改正は平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される。

◆小規模宅地等の特例の概要

小規模宅地等の特例とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用又は事業の用に供されていた宅地等を相続した場合において、一定の要件を満たしたときに、その宅地等の評価額を限度面積の範囲内で80%又は50%減額することができる特例である。
適用対象宅地、減額割合及び限度面積等をまとめると次のようになる。

【小規模宅地等の特例の概要】
【小規模宅地等の特例の概要】

◆小規模宅地等の特例の改正内容

① 特定居住用宅地等の要件のうち、別居親族に係る特例の適用対象者の範囲が縮小される。
② 貸付事業用宅地等の範囲が縮小される。
③ 被相続人の居住の用に供されていた宅地等の範囲が拡大される。

【小規模宅地等の特例の改正内容】
【小規模宅地等の特例の改正内容】

【別居親族について改正の影響】
【別居親族について改正の影響】

【貸付事業用宅地等が改正により影響を受けるケース】
【貸付事業用宅地等が改正により影響を受けるケース】

◆被相続人の居住の用に供されていた宅地等の範囲の拡大(介護医療院へ入所した場合の取扱い)

平成25年度税制改正により、被相続人が老人ホーム等に入所したことにより被相続人の居住の居住お用に供されなくなった宅地等についても、要介護認定等を受けていたなど一定の要件を満たす場合には、特例の適用対象とされた。

特例の適用対象となる入居施設(※)に「介護医療院」が創設されたことに伴い、今年度改正では、介護医療院に入所した場合も特例の適用ができるように、被相続人の居住の用に供されていた宅地等の範囲が拡大された。

(※) 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅 等

【介護医療院の概要】
【介護医療院の概要】

【老人ホーム等に入所した場合における自宅の状況別の特定居住用宅地等の適用可否】
【老人ホーム等に入所した場合における自宅の状況別の特定居住用宅地等の適用可否】

 
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⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 

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