M&Aの基礎知識 平成31年度税制改正 M&Aに及ぼす影響

平成31年度税制改正では、組織再編税制において、株式交換等後の適格合併、三角合併などで見直しがされました。

H31-m2. 組織再編税制(三角合併等)の見直し

◆改正のポイント

□趣旨・背景

三角合併等の組織再編の対価に、再編当事者以外の株式を交付する場合には、直接の親法人の株式を対価とした三角合併等しか税制適格要件を満たすことができなかった。直接の親法人の株式を合併等の対価として交付した場合、当該合併等により法人グループ内の支配関係が崩れてしまう場合がある。改正後では、間接保有の完全親法人の株式を交付した場合も税制適格要件を満たせるようになる。

□内容

①合併・分割及び株式交換における税制適格要件のうち対価の要件について、対象となる株式に、完全親法人株式だけでなく、合併法人等の発行済株式の全部を間接に保有する法人の株式(一定の外国法人株式を除く)を加える。
②上記に伴い、間接保有完全親法人の株式を交付された被合併法人等の株主には、旧株式の譲渡損益の繰り延べを認める。

□適用時期

大綱に特段の記載なし。

□影響

法人グループ内の支配関係を維持した合併等が可能になる。その結果、業種を超えた事業再編や、事業ポートフォリオの組み換えにより経営資源を集中させる組織再編が増加する可能性がある。

◆改正の趣旨・背景

合併とは、合併法人(存続法人)が被合併法人(消滅法人)の権利義務のすべてを引き継ぐものである。被合併法人の株主に対しては、合併対価として、合併法人から合併法人の株式が交付されることになっていた。この合併対価について、2007年(平成19年)5月1日の会社法改正により、合併法人の親会社の株式等を対価とすることについても認められることになった。このような、合併対価が合併法人の親会社の株式である合併は、三角合併と呼ばれる。

税務上の取扱いも、2007年度(平成19年度)税制改正により、合併法人の親会社株式を交付した場合においても、合併法人の株式を交付した場合と同様に、適格合併等の要件の一つである金銭不交付要件並びに被合併法人等の株主における旧株式の譲渡損益の繰り延べ要件も満たすこととなった。
しかし、三角合併において、適格合併等の金銭不交付要件及び被合併法人等の株主における旧株式の譲渡損益の繰り延べを満たすのは、あくまで合併法人を直接支配する親会社の株式に限られる。
そのため、企業グループによっては、完全孫会社等の合併等に当たり、合併法人の親会社の株式を交付した場合と、グループの頂点の会社(間接保有完全親会社)の株式を交付した場合とでは、企業グループの経済的実態が変わらないにも関わらず、課税関係が異なっていた。

そこで、間接保有の完全親会社株式を対価とした組織再編(合併、分割及び株式交換)についても、親会社株式を対価とした組織再編と同様の課税関係とする改正が行われる。

【合併と三角合併のイメージ】
【合併と三角合併のイメージ】

◆改正の内容

適格合併とされる三角合併の合併対価は、合併法人の完全親会社株式(直接の100%親会社株式)だけであった。改正により、間接の100%親会社株式も、適格合併とされる三角合併の合併対価に含まれるようになる。

【三角合併に関する改正のイメージ】
【三角合併に関する改正のイメージ】

【改正前後の比較】
【改正前後の比較】

◆適用時期

大綱に特段の記載なし。

◆改正の影響

今年度改正により、業種を超えた事業再編や、事業ポートフォリオの組み換えにより経営資源を集中させる組織再編が増加する可能性がある。
例えば、上場親会社の下に子会社、孫会社、曾孫会社といった多層構造をもつ法人グループにおいては、孫会社等とグループ外の会社との合併や株式交換にあたり、消滅会社の株主には上場親会社株式という流動性の高い資産を交付しつつ、法人グループ内の支配関係も維持するような組織再編が行われると考えられる。

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