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M&Aの基礎知識 資本政策の会計・税務(2019年更新)

資本政策とは、会社の目指す資金調達、株主構成および純資産の構成を実現するための施策の総称である。実際に用いられる手法としては、自己株式、新株発行、種類株式、新株予約権、減資、利益剰余金の資本組入れ、株式の消却、株式併合、株式分割などがある。

(3) 新株発行の会計・税務

新株発行とは

株式会社は経営を継続的かつ効果的に遂行するために、多額かつ長期の安定した資金を調達する必要がある。が、その資金調達の手段の一つとして新株発行が挙げられる。利息の支払や返済義務がない点が、金融機関等からの借り入れとは異なる部分である。
新株発行は税務上の資本等取引に該当するため、発行会社に課税は生じない。

新株発行会社の会計

金銭出資の場合

新株発行の対価が金銭である場合、原則、その受入資本の全額を資本金として計上する必要がある。
ただし、受入資本のうち2分の1を越えない金額については資本準備金として計上することも認められている。

現物出資の場合

新株発行の対価が金銭以外の場合、新株発行会社が出資元会社の子会社(議決権の50%超を所有される場合等)となるか否かで受入資本の額が異なる。
子会社となる場合は、出資元会社の資産および負債の移転直前の適正な帳簿価額を引継ぎ、当該資産および負債の差額をもって受入資本の額とするのに対し、子会社とならない場合は、受入財産の適正な評価額(時価)をもって受入資本の額とする。
なお、発行会社の受入資本の全額を資本金として計上するか否かの会計処理については、金銭出資の場合と同様となる。

新株発行会社の税務

金銭出資の場合

新株発行の対価が金銭である場合、時価発行・有利発行のいずれの場合であっても、税務上の資本等取引に該当するため、発行会社に課税関係は生じない。また、新株発行の対価としての受入資本は税務上の資本金等の額として取り扱われる。

現物出資の場合

新株発行の対価が金銭以外であっても、金銭出資の場合と同様、資本等取引に該当するため、発行会社に課税は生じない。なお、現物出資による受入財産の税務上の価額は、原則、その受入財産の時価となるが、適格現物出資に該当する場合は、現物出資法人の税務上の簿価を引き継ぐことになる。

有利な価額による新株発行

特定の株主に対して、時価よりも有利な価額で新株発行(発行価額が時価の概ね90%を下回っている発行)をした場合には、当該特定の株主に対して時価と発行価額との差額につき、下記の課税関係が生じる発生することがある。
特に同族関係者間で新株発行取引を行う場合には、課税問題が発生しないように、新株の発行価額の設定について、慎重に検討しなければならない。

【有利発行により株式を取得した株主の課税関係】

発行会社の区分
同族会社 同族会社以外
割当を受ける者の属性 法人株主 法人税
個人株主 役員・従業員 所得税(給与所得または退職所得)
株主の親族等※1 贈与税※2 所得税(一時所得)
その他 所得税(一時所得)

※1 その親族等が、発行会社の役員・従業員である場合には、所得税(給与所得または退職所得)が課されることとなる。
※2 他の同族株主からの贈与とみなされる。

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