M&Aの基礎知識 資本政策の会計・税務

資本政策とは、会社の目指す資金調達、株主構成および純資産の構成を実現するための施策の総称です。実際に用いられる手法としては、自己株式、新株発行、種類株式、新株予約権、減資、利益剰余金の資本組入れ、株式の消却、株式併合、株式分割などがあります。

(7) 利益剰余金の資本組入れの会計・税務

利益剰余金の資本組入れとは

利益剰余金の資本組入れにより、新たな資金提供によらず資本金を増加させることができる。
会社が資本金を増やしたい場合、新株発行による増資が一般的だが、外部からの新たな資金提供によらず、過去に稼得した利益により増資を行う方法として使用される。
利益剰余金の資本組入れは、株主総会の普通決議で行うことができる。

発行会社の会計

会計処理は次の通り。

借方
貸方
その他利益剰余金
×××
資本金
×××

※利益準備金とするケースもある。

発行会社の税務

会社が利益剰余金の資本組入れを実施した場合も、税務上は資本金等の額の変動はないものとして取り扱う。これにより会計と税務の処理に差異が生じるため、法人税申告書においてその差異を調整する処理を行う。

純資産の税務調整

会社の貸借対照表の純資産の部(株主資本部分)は、払込資本を基礎とする「資本金」「資本準備金」「その他資本剰余金」、過去の稼得利益である「利益準備金」「その他利益剰余金」および「自己株式」に区分されている。

他方、税務上もこれらに対応するものとして、払込資本である「資本金等の額」、過去の稼得利益である「利益積立金額」を区分して計算することになっている。
ところで、会社の貸借対照表の純資産の部では、無償減資や利益剰余金の資本組入れなど、資本と利益の混同を生じさせる取引が行われることがある。

しかし、このような取引が行われても、税務上では「資本金等の額」と「利益積立金額」の混同を認めないという考え方が原則になっているため、会計と税務の処理の際について税務調整を行う必要がある(会社の純資産の税務調整の内容は法人税申告書「別表5(一)」で確認することができる)。

【税務上の純資産のイメージ】
【税務上の純資産のイメージ】
【税務上の純資産のイメージ】

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