M&Aの基礎知識 DESとは

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)とは、ある会社に対して金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振り替えることをいいます。DESの会計・税務・法務について、その取扱いを解説します。 DESを活用すれば、債務が減少して資本が増加することになるため、債務者側である会社にとっては、バランスシートが改善されるだけでなく、債権者に株主として企業経営に参画してもらうことできるというメリットがあります。債権者側としては、将来、債務者企業が実際に再生した場合、保有株式から売却益(キャピタルゲイン)および配当収入(インカムゲイン)を得る可能性を残すことができる点で、債権放棄よりも有利です。 DESは、会社の財務内容が悪いときに行われることが多いため、通常、債権の評価額は券面額を下回ります。その場合の新株の発行価額は、会社の財務内容を反映した債権の評価額とすべきか(「評価額説」)、債権の券面額を基準とすべきか(「券面額説」)という議論があります。近年では、会計上では「券面額説」も採用されていますが、税務上の取扱いは「評価額説」に従うことになるので、注意が必要です。また、通常は100%グループ内におけるDESのみが適格現物出資に該当するため、金融機関などの第三者によってDESが実施される場合は非適格現物出資となり、債務消滅益が発生します。ただし、再生手続中の企業であれば、期限切れ欠損金を繰越欠損金に優先して損金算入して債務消滅益から控除することができます。

(6) デット・エクイティ・スワップ(DES)で発行される種類株式

 

種類株式は、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会において議決権を行使することができる事項、譲渡による取得について会社の承認を要すること、取得請求権、取得条項、全部取得条項などについて権利内容が異なる株式をいう。
デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)において発行される種類株式は、剰余金の配当および残余財産の分配について普通株式に優先し、株主総会における議決権はなく、普通株式や金銭を対価とする取得請求権・取得条項が付されるものが多い。

◆議決権

銀行が引受人である場合は、銀行法・独占禁止法の議決権取得制限が問題とならないように、普通株式ではなく無議決権種類株式が用いられるのが原則である。
通常の場合、DESを実施する銀行などの金融機関は、発行会社のモニタリングは行うが、議決権行使を通じた発行会社の経営への関与は予定していない。

◆配当

DESによって発行される種類株式には議決権がないこと等を考慮して優先配当が付されるのが通常である。優先配当の種類として、次のようなものが挙げられる。

・累積型/非累積型

累積型は、経済的に社債との類似性が強くなり、優先配当が支払われる可能性を高める効果および普通株式への配当をブロックする効果を有する。
ただし、優先配当は分配可能額がなければ法令上許されない。
また、分配可能額があるとしても配当を行う決議をするかどうかは発行会社の株主総会または取締役会の判断であって、引受人にとって必ず一定の利回りが確保されるわけではない。
DESの引受人としては、再建が順調に進み分配可能額があることを前提に累積型を希望することもある。

・参加型/非参加型

配当に関する参加型は、所定の優先配当金のほかに会社の利益に伴う増配にも参加することを可能とするものであり、普通株式に近い性格をもつ。再建策としてのDESで発行させる種類株式の場合、新規投資とは異なり優先配当を超えた増配への参加は予定されないのが通常と思われる。

◆金銭対価

・金銭を対価とする取得請求権

DESを実施すると、債権が株式に換わるため、株式を引き受けた債権者は、元本の償還を受けられないことになる。
そのため、一定期間後の償還が可能な内容の株式とするように引受人(債権者)から求めることがあり、この場合、金銭を対価とする取得請求権が定められる。
れにより、発行会社に分配可能額や償却原資があれば確実に元本を回収できるようになる。

・金銭を対価とする取得条項

金銭対価の取得条項付株式を活用することにより、発行会社が、その財務状況に応じて機動的に償還を行い、転換による普通株式の希薄化、および希薄化に伴う株価への悪影響を抑制することができるようになる。
前述の「取得請求権」の場合は優先株主が権利行使を行うか否かの選択権を有するのに対して、「取得条項」の場合、発行会社(取締役会)が別に定める日に償還すると定めることにより、会社が償還する時期および金額を任意に選択することが可能となる。

⇒種類株式について詳しくはこちら

 
⇒DES(デット・エクイティ・スワップ)とは?~財務を大幅に改善~
 
bnr_1805dl
⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 
⇛事業承継とは | 事業承継税制から後継者教育まで
 
⇒M&Aとは?企業買収の方法と必須となる基礎知識
 
⇒会社の買収とは | 企業買収の意味と仕組み
 

無料 資料ダウンロード M&Aのノウハウが凝縮!! マンガでわかるM&Aの落とし穴 10選

M&A/事業継承マニュアル M&A/事業承継 基礎知識