M&Aの基礎知識 DESとは

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)とは、ある会社に対して金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振り替えることをいいます。DESの会計・税務・法務について、その取扱いを解説します。 DESを活用すれば、債務が減少して資本が増加することになるため、債務者側である会社にとっては、バランスシートが改善されるだけでなく、債権者に株主として企業経営に参画してもらうことできるというメリットがあります。債権者側としては、将来、債務者企業が実際に再生した場合、保有株式から売却益(キャピタルゲイン)および配当収入(インカムゲイン)を得る可能性を残すことができる点で、債権放棄よりも有利です。 DESは、会社の財務内容が悪いときに行われることが多いため、通常、債権の評価額は券面額を下回ります。その場合の新株の発行価額は、会社の財務内容を反映した債権の評価額とすべきか(「評価額説」)、債権の券面額を基準とすべきか(「券面額説」)という議論があります。近年では、会計上では「券面額説」も採用されていますが、税務上の取扱いは「評価額説」に従うことになるので、注意が必要です。また、通常は100%グループ内におけるDESのみが適格現物出資に該当するため、金融機関などの第三者によってDESが実施される場合は非適格現物出資となり、債務消滅益が発生します。ただし、再生手続中の企業であれば、期限切れ欠損金を繰越欠損金に優先して損金算入して債務消滅益から控除することができます。

(5) デット・エクイティ・スワップ(DES)の法務

 

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)による新株発行は、通常、第三者割当増資により行われる。

現物出資については、従来、原則として裁判所が選任した検査役の調査が必要であったが、会社法の施行により手続の簡素化が図られ、原則として一定の場合には、検査役の調査が省略できるようになった。
ただし、払込金額が帳簿価額を超えない場合で、弁済期の到来したものに限られる(弁済期が到来していないときであっても、債務者である会社が期限の利益を放棄すれば、適用される)。
また、帳簿価額をもって払込みと扱っても既存株主の権利を害することはない。
DESによる変更登記をする場合に求められる会計帳簿には、現金収納帳、預金帳などで、弁済期の到来の事実や会社に債権を有しDESにより会社の株式を取得しようとする債権者と株式申込者が同一であることが分かる程度に記載されていればよい。

◆会社法

・DESの株主総会等による承認

DESを実施する際、多くの場合、新たな種類株式(優先株式)の発行が行われるため、この種類株式の内容を定款に規定するための定款変更が必要となり、株主総会が開催される。
募集事項には、出資する財産の内容を定めなければならず、債権については同一性が明らかになる程度に具体的に特定されなければならない。
株主総会招集通知の校了までに債権を特定できない場合、株主総会において募集事項の決定の委任を行い、株主総会後に取締役会で株主総会の委任を受けて募集事項を決定することもある。

・現物出資規制

現物出資を行う(金銭以外の財産を出資の目的とする)場合、募集事項において、現物出資の対象とする財産の内容と価額を定める必要がある。
現物出資する財産が過大評価されれば、他の株主を害するおそれがあるため、原則として、財産の価額については、検査役による調査が必要となる。
ただし、会社法のもとでは、以下の要件を満たす現物出資の場合、検査役の調査は不要とされている(会社法207条9項5号)。
つまり、通常のDESであっても検査役調査なしで行うことができる。

□現物出資財産が株式会社に対する金銭債権であること
□対象とする金銭債権の弁済期が到来していること
□対象とする金銭債権について定められた会社法199条1項3号の価額が、この金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えないこと

なお、会社更生法に基づき更生計画において募集株式を引き受ける者の募集をすることを定めた場合には、会社法207条は適用されないため、上記要件を満たすか否かを問わず検査役の調査は不要である。

◆銀行法

実務上、銀行などの金融機関が、DESを実施することで株式を引き受けることが多くみられる。
この際、銀行・銀行持株会社等は、他の会社の議決権を一定程度以上保有することが禁止されている点には留意しておきたい。
銀行またはその子会社は、原則として、国内の一般の事業会社について、合算して当該会社の総株主の議決権の5%(銀行持株会社またはその子会社については15%)を超える議決権を取得し、または保有してはならない(5%ルール)。

ただし、会社の合理的な経営改善のための計画に基づくDESによる株式取得の場合等には、取得から1年以内であれば5%超の議決権保有も許される。
1年を超えて5%超の議決権を保有するためには、別途内閣総理大臣の承認を要する。
このような規制があるため、銀行などがDESによって引き受ける株式は、一般的には無議決権株式が用いられる。

◆独占禁止法

銀行または保険会社は、原則として、他の国内の会社について、当該会社の総株主の議決権の5%(銀行の場合)、10%(保険会社の場合)を超える議決権を取得し、または保有してはならない。
ただし、合理的な経営改善のための計画に基づく株式取得については1年以内の保有が許されること、1年超の保有については公正取引委員会の許可が必要であること等、銀行法と同様の規制となっている。

 
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