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M&Aの基礎知識 DESとは

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)とは、ある会社に対して金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振り替えることをいいます。DESの会計・税務・法務について、その取扱いを解説します。 DESを活用すれば、債務が減少して資本が増加することになるため、債務者側である会社にとっては、バランスシートが改善されるだけでなく、債権者に株主として企業経営に参画してもらうことできるというメリットがあります。債権者側としては、将来、債務者企業が実際に再生した場合、保有株式から売却益(キャピタルゲイン)および配当収入(インカムゲイン)を得る可能性を残すことができる点で、債権放棄よりも有利です。 DESは、会社の財務内容が悪いときに行われることが多いため、通常、債権の評価額は券面額を下回ります。その場合の新株の発行価額は、会社の財務内容を反映した債権の評価額とすべきか(「評価額説」)、債権の券面額を基準とすべきか(「券面額説」)という議論があります。近年では、会計上では「券面額説」も採用されていますが、税務上の取扱いは「評価額説」に従うことになるので、注意が必要です。また、通常は100%グループ内におけるDESのみが適格現物出資に該当するため、金融機関などの第三者によってDESが実施される場合は非適格現物出資となり、債務消滅益が発生します。ただし、再生手続中の企業であれば、期限切れ欠損金を繰越欠損金に優先して損金算入して債務消滅益から控除することができます。

(9) 擬似DESとは

 

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)には、債権者が「金銭債権」を現物出資することで債務者から第三者割当増資によって株式の発行を受ける通常のDES以外に、債権者が「現金」を払い込んで債務者から株式発行を受け、この払い込んだ現金をもって債務を弁済する「擬似DES」がある。

具体的には、銀行が対象会社の第三者割当増資を引き受けて現金を払い込んだうえで、対象会社は払い込まれた現金をもって借入金を弁済する。
通常のDESに現金を介在させるだけであり、出来上がりは通常のDESと同様となる。
ただし、擬似DESの場合、組織再編税制の適用はないことから、債権者サイドで損失が計上されることがない。
一方、債務者側で債務消滅益課税が行われることもないため、租税回避行為として否認される可能性が指摘されることもある。

◆通常のDESと擬似DESの比較

通常のDESの場合、現物出資された金銭債権が債務者に帰属することになるため、債権者と債務者が同一となる結果、混同(民法520条)により消滅する。
他方、擬似DESの場合、債務は弁済により消滅する。
そのため、会社法上の手続も違ってくる。

通常のDESは金銭債権を「現物出資」する形式をとるため、給付する財産の額またはその算定方法、財産を給付する期日、金銭以外の財産を出資の目的とする旨、対象となる財産の内容、価額を定める必要がある。
その点、擬似DESは、手続き上は通常の金銭による出資であり、発行される新株の募集事項として、払い込む金銭の額またはその算定方法、金銭の払込みの期日を定めることになる。

会計・税務上の取扱いは、通常のDESであれば、会計上は通常、損益が生じない。
ただし、税務上、債務者側では債務の帳簿価額と資本金等の増加額(時価)の差額が「債務消滅益」として処理される。
債権者側では、会計・税務ともに債権の帳簿価額とDESにより交付を受けた株式(時価)の差額が損金として処理される。
擬似DESの場合、債務者・債権者ともに、会計・税務上、通常の新株発行と弁済との組み合わせになるため、債務消滅益・損金としての処理は不要と考えられる。

◆債務者側における擬似DESの会計

擬似DESは、金銭出資と債務の弁済との組合せになるので、資本金・資本準備金の出資金額相当分の増加と債務消滅の会計処理をそれぞれ行うのが原則である。
ただし、債権者側において、金銭出資と債務の弁済が一体と考えられる場合には現物出資(通常DES)と同じ会計処理をすべきとする見解もある。

◆債権者側における擬似DESの会計

擬似DESは金銭出資と債務弁済の組合せであるので、それぞれについて、「金融商品に関する会計基準」および「金融商品に関する実務指針」に従って会計処理を行うのが原則である。
ただし、金銭出資(第三者割当増資の引受け)と債権の回収が一体と考えられる場合には現物出資(通常のDES)と同じ会計処理をするべきとされる。

◆債務者側における擬似DESの税務

擬似DESは金銭による出資と債務の弁済とからなり、出資により払い込まれた金銭によって債務の弁済を行うものである。そのため、払い込まれた金銭の額が資本金等の増加額となる。
この増資部分は、通常の新株発行と同様に全額が資本等取引に該当するため課税は生じない。また、通常、債務の弁済に関しても特段の課税は生じない。
そのため、擬似DESには課税が生じないのが原則である。
ただし、擬似DESを利用する目的が租税負担を減少させる目的のみであって、当初から計画された一体の取引と認定されるような場合には、通常DESとの対比から、否認される可能性があるという見解もある。

◆債権者側における擬似DESの税務

金銭出資を行う債権者についても、債務者の取扱いと同様に課税関係は生じないのが原則とされる。

 
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