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M&Aの基礎知識 DESとは

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)とは、ある会社に対して金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振り替えることをいいます。DESの会計・税務・法務について、その取扱いを解説します。 DESを活用すれば、債務が減少して資本が増加することになるため、債務者側である会社にとっては、バランスシートが改善されるだけでなく、債権者に株主として企業経営に参画してもらうことできるというメリットがあります。債権者側としては、将来、債務者企業が実際に再生した場合、保有株式から売却益(キャピタルゲイン)および配当収入(インカムゲイン)を得る可能性を残すことができる点で、債権放棄よりも有利です。 DESは、会社の財務内容が悪いときに行われることが多いため、通常、債権の評価額は券面額を下回ります。その場合の新株の発行価額は、会社の財務内容を反映した債権の評価額とすべきか(「評価額説」)、債権の券面額を基準とすべきか(「券面額説」)という議論があります。近年では、会計上では「券面額説」も採用されていますが、税務上の取扱いは「評価額説」に従うことになるので、注意が必要です。また、通常は100%グループ内におけるDESのみが適格現物出資に該当するため、金融機関などの第三者によってDESが実施される場合は非適格現物出資となり、債務消滅益が発生します。ただし、再生手続中の企業であれば、期限切れ欠損金を繰越欠損金に優先して損金算入して債務消滅益から控除することができます。

(3) デット・エクイティ・スワップ(DES)の税務

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)の税務については、債務者側の債務消滅益への課税が問題となることが多い。
適格現物出資か非適格現物出資かによって法人税の取扱いは異なる。
DESが適格現物出資に該当する場合は、債権の簿価がそのまま引き継がれるので、債務消滅益は発生しない。
通常は100%グループ内におけるDESのみが適格現物出資に該当するため、金融機関などの第三者によってDESが実施される場合は非適格現物出資となり、債務消滅益が発生する。
ここでは、非適格現物出資を中心に説明する。
デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)における債権者側、債務者側の税務処理の概要は以下のようになる。

債権者側におけるDESの税務

受け取る株式の取得価額

有価証券の取得価額については、税務上、法人税法施行令119条に規定されており、DESにより現物出資した場合は、「給付をした金銭以外の資産の価額」として、時価(現物出資資産の時価)によることとされている。
つまり、現物出資者が交付を受ける株式の取得価額は、現物出資により給付をした金銭以外の資産の時価の合計額である(適格現物出資となる場合を除く)。

譲渡損の取扱い

DESは、通常、再生支援の一形態として行われるものであるため、「合理的な再建計画」等によるDESにおいては、債権の額面と株式の時価との差額が、債権者において損金として取り扱われる。
ただし、DESを含む再建計画が経済合理性のない過剰支援と認められるような場合には、債権者から債務者に対する寄付金と認定される場合もある。
法人税法基本通達9-4-2の注書きにおいて、「合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による債権管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取扱う。」とされている。

債権者におけるDESの税務処理(非適格現物出資)

X社は、Y社に対して1,000の債権を保有しているが、この債権の適正な時価は400である。
この債権についてDESを行った場合の取扱いは下記になる。
DES4-0

債務者側におけるDESの税務

DESを実施した債務者側の資本金等の増加額は、適格現物出資の場合を除き、時価評価によることとされている。
そのため、この時価と消滅する債務の帳簿価額との差額が債務消滅益として認識される。
平成18年の税制改正により、DESによって金銭債権を現物出資したときの、債務者企業における資本金等の額の増加額は、債権の額面金額相当額ではなく、債権の時価相当額とされた。
これにより、金融機関などの第三者による債務者支援によるDESの場合、適格現物出資になることはないため、債務者側では、常に債務消滅益の問題が生じることとなった。

債務者側におけるDESの税務処理(非適格現物出資)

額面1,000、時価400の債権について、DESを行った場合、会計上(券面額説)の処理は下記のようになる。
DES4-1

会計上は、帳簿価額で借入金から資本金等へ振り替えることができるが、法人税法上は時価での振替えとなるため、税務上の仕訳は下記のようになる。
DES4-2
原則として債権の簿価と時価との差額である債務消滅益が益金の額に算入される。これを税務調整することから、別表四において時価との差額600の加算留保となる。
DES8
また、別表五(一)の利益積立金額で資本金400の増加、資本金等の額は400の減少として処理する。
DES9
DES10

債務者側におけるDESの債務消滅益の問題

税務上、債権の時価相当額の増加が認識されるということは、債権が不良債権である場合に、債権の額面金額と時価に差異が生じているようなケースである。
債務免除益に対して損金算入の認められる繰越欠損金で控除されれば、課税の問題は生じないが、そうでない場合には、債務消滅益に対して大きな課税が生じる。
これは、企業再生等を目的としたDESについて資金的に支障をきたすことになる。
そこで、平成18年度税制改正において、再生手続中の企業であれば、期限切れ欠損金繰越欠損金に優先して損金算入して債務消滅益から控除することができることとなった。
この規定は、会社更生法に基づく更生手続、民事再生法に基づく再生手続、特別清算、破産手続が開始した場合などに適用される。これに準ずる私的整理の手続としては、私的整理ガイドライン、中小企業再生支援協議会の支援、RCC企業再生スキーム、事業再生ADR手続、企業再生支援機構の支援などが挙げられる。

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