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M&Aの基礎知識 DESとは

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)とは、ある会社に対して金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振り替えることをいいます。DESの会計・税務・法務について、その取扱いを解説します。 DESを活用すれば、債務が減少して資本が増加することになるため、債務者側である会社にとっては、バランスシートが改善されるだけでなく、債権者に株主として企業経営に参画してもらうことできるというメリットがあります。債権者側としては、将来、債務者企業が実際に再生した場合、保有株式から売却益(キャピタルゲイン)および配当収入(インカムゲイン)を得る可能性を残すことができる点で、債権放棄よりも有利です。 DESは、会社の財務内容が悪いときに行われることが多いため、通常、債権の評価額は券面額を下回ります。その場合の新株の発行価額は、会社の財務内容を反映した債権の評価額とすべきか(「評価額説」)、債権の券面額を基準とすべきか(「券面額説」)という議論があります。近年では、会計上では「券面額説」も採用されていますが、税務上の取扱いは「評価額説」に従うことになるので、注意が必要です。また、通常は100%グループ内におけるDESのみが適格現物出資に該当するため、金融機関などの第三者によってDESが実施される場合は非適格現物出資となり、債務消滅益が発生します。ただし、再生手続中の企業であれば、期限切れ欠損金を繰越欠損金に優先して損金算入して債務消滅益から控除することができます。

(4) デット・エクイティ・スワップ(DES)における債権の時価評価

 

◆企業再生局面におけるDESにおける債権の評価

経済産業省から「企業再生税制適用場面においてデット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap:DES)が行われた場合の債権等の評価に係る税務上の取扱いについて」の照会に対して、平成22年2月22日国税庁から文書回答が出されている。
これに対して、債務者において負債から資産に振り替わる金額(被現物出資債権の時価)は、債務者および債権者の双方が合理的な再建計画に合意した回収可能額に基づき評価されることが合理的であり、これが法人税法施行令第8条第1項第1号における被現物出資法人が給付を受けた金銭以外の資産の価額(DESにより増加する資本金等の額)となるとしている。
また、債権者においても、合意した回収可能額に基づき評価されることが合理的であり、DESにより交付を受ける株式の取得価額となる。
このように合理的な回収可能額が算出されれば、DESにおける債権の時価の算定は可能である。

◆上記以外で、非上場会社のDESの評価

取得の時におけるその株式の取得のために通常要する価額、いわゆる時価は、上場株式などの市場価格の株式は、通常それによることになるが、非上場株式の場合には、算出が難しい。
法人税法上、非上場株式の時価についての明文規定はないが、内国法人の資産の評価換えによる評価損の損金算入規定における通達(法基通9-1-13)が定められ、時価算定にも準用されている。
一般には上場有価証券等以外の株式については、他にこれといった合理的な方法も考えられないことからこれによると考えられ、次のように規定している。

<売買実例があるもの>

事業年度終了の日前6ヵ月間の売買実例価額のうち適正と認められるものにより評価する。
ただし、同族間での売買や取引金融機関との売買についてこれを採用することは難しい。
適正な売買実例価額がない場合であっても、公開途上にある株式については、入札後の公募等の価額を参酌して評価を行うものとされるが、通常はあまりない。

<売買実例がないもの>

売買実例がない場合、類似法人の株価を参酌して評価を行うことになる。
しかし、類似業種比準価額のように標本会社が明示されているわけではないため、発行会社が自社と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する法人を選定することは困難である。

<上記に該当しないもの>

上記のいずれにも該当しない場合には、直近の事業年度終了の時における 1株当たりの純資産価額等を参酌した価額により評価することになる。
この純資産価額等を参酌した価額は、具体的には法人税基本通達9-1-14に基づき、財産評価基本通達の規定を準用して評価することとなる。
これは、課税上の弊害がない限り、以下の3条件を満たせば「1株当たりの純資産価額を参酌して通常取引される価額」として、評価通達を準用した評価も認められる。
①株主が「中心的な同族株主」に該当する場合には、発行会社は常に小会社として評価する(「純資産価額」と「純資産価額×0.5+類似業種比準価額×0.5」のいずれか選択した価額)
②純資産価額の計算にあたり、発行法人が土地等、上場有価証券等を所有している場合には、土地等・上場有価証券等は相続税評価額ではなく譲渡時の時価で評価する。
③評価差額に対する法人税額等相当額を控除しない

◆債権の時価評価

企業再生局面の場合には合理的な再建計画に基づいた回収可能額が明確にされていることから理解を得られやすいが、それ以外のDESでは、実務上は<上記に該当しないもの>によることにならざるを得ないケースが多い。

 
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