事業承継の基礎知識 贈与税とは

贈与税とは、個人間の贈与により財産を取得した者に対して課せられる税金です。贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に、相続時精算課税制度を選択することができます。

(2) 暦年課税と相続時精算課税

bnr_1805dl
⇒【2018年7月・8月セミナー】平成30年度税制改正完全対応!最新の事業承継の選択肢
 

◆暦年課税

1年間に贈与を受けた金額が基礎控除(110万円)を超える場合に贈与税がかかります。

□贈与税の計算

<課税価格>
その年の1月1日から12月31日までの間に贈与を受けた財産の価額の合計額(非課税となる財産の額を控除したもの)が贈与税の対象である。

<贈与税額の計算>
贈与税の課税価格から贈与税の基礎控除(1年間につき110万円)を差し引いた金額に、超過累進税率(基礎控除後の金額に応じた段階的な税率)を適用して計算する。
贈与税の基礎控除は贈与者ごとに110万円ではなく、贈与を受ける者ごとに110万円である。
したがって、複数の人から贈与を受けた場合は、それら贈与を受けた財産の年間合計額が110万円を超える場合に、贈与税がかかる。

<特例贈与と一般贈与>
子、孫などへのまとまった金額の資産移転を促すため、贈与税を軽減する「特例贈与」が創設された。
そのため、2015年1月1日以降の贈与の場合、誰から贈与を受けたかにより、贈与税額が異なることになる。

・特例贈与
特例贈与とは、20歳以上の人が直系尊属(父母、祖父母など)から受ける贈与をいう。
なお、20歳以上かどうかは、贈与年の1月1日時点で判定する。

・一般贈与
一般贈与とは、特例贈与以外の贈与をいう。
例えば、未成年の子や孫が父母・祖父母から受ける贈与、義理の父母・祖父母から受ける贈与、配偶者から受ける贈与、兄弟姉妹から受ける贈与、他人から受ける贈与などである。

◆贈与税の速算表

贈与税は課税価格から基礎控除(110万円)を控除した金額に税率をかけて計算する。
超過累進税率のため、以下の速算表を利用すると簡便である。
2015年1月1日以降の贈与については、誰から贈与を受けたかにより適用される贈与税率が変わるため、使用する速算表が異なる。

□特例贈与:20歳以上の人が直系尊属(父母、祖父母等)から受ける贈与

【贈与税の速算表(特例贈与の場合)】
贈与税とは【贈与税の速算表(特例贈与の場合)】

□一般贈与:特例贈与以外の贈与

【贈与税の速算表(一般贈与の場合)】
贈与税とは【贈与税の速算表(一般贈与の場合)】

◆同じ年に「特例贈与」と「一般贈与」の両方がある場合

基礎控除110万円は、特例贈与と一般贈与それぞれから差し引くのではなく、特例贈与と一般贈与を合計した金額から差し引く。
また、特例贈与と一般贈与を別々に計算すると、各々に低い超過累進税率が適用されることになるため、合計贈与価額から基礎控除(110万円)を控除した金額にそれぞれの超過累進税率を適用し、按分して計算する。

□計算例

Aさん(20歳以上)が、平成2017年の1年間に父親から400万円(特例贈与)および叔父さんから100万円(一般贈与)の贈与を受けた場合の贈与税額

① 特例贈与
(400万円+100万円-110万円)×15%-10万円=48.5万円
48.5万円×400万円/500万円=38.8万円
② 一般贈与
(400万円+100万円-110万円)×20%-25万円=53万円
53万円×100万円/500万円=10.6万円
③ 贈与税額(百円未満切捨)
①+②=49.4万円

【贈与税額の早見表】
贈与税とは【贈与税額の早見表】
※「①特例贈与」・「②一般贈与」の税額は、各々その年の贈与が「①特例贈与」だけであった、「②一般贈与」だけであった場合の税額であり、同じ年に「①特例贈与」と「②一般贈与」を受けた場合の税額は上記表とは異なる。

◆相続時精算課税制度を選択して行う贈与

累計2,500万円まで贈与税の負担なしで財産を贈与できる制度であり、贈与金額は将来贈与者が亡くなった時に相続税の対象となり、過去に支払った贈与税を計算上精算する。
暦年課税との選択制であり、一度選択すると取り消しや変更はできない。

□相続時精算課税制度

原則として、60歳以上の者から20歳以上の子または孫(代襲相続人に限らない)への贈与について選択できる制度である。
贈与金額累計2,500万円までは贈与税ゼロ、それを超える部分は一律20%の税率で贈与税が課税される。
基礎控除額110万円の暦年課税との選択制で、一度選択すると、取り消しや変更はできない。

贈与者(親等)の相続の際、相続時精算課税制度を選択して贈与した贈与金額は、贈与時期にかかわらずすべて相続財産に加えて相続税の対象とする。
支払った贈与税は、相続税から差し引き、また、払い過ぎた贈与税は還付される。

【暦年課税と相続時精算課税の比較】
贈与税とは【暦年課税と相続時精算課税の比較】

□相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度を選択する場合には、次の点に注意が必要である。

【相続時精算課税制度の注意点】
贈与税とは【相続時精算課税制度の注意点】

□相続時精算課税制度を選択するかしないか

相続時精算課税制度は、一度選択すると取り消しができないため慎重な判断が必要である。

・将来、相続税がかからない人の場合
例えば、将来、父の相続時には相続税がかからない見込みのケース。
110万円を超えるまとまった金額を一度に贈与したい場合は、父からの贈与について、相続時精算課税制度を選択した方がいい。
相続時精算課税制度を選択すれば、2,500万円までは贈与税がかからない。
また、将来、父の相続発生時に贈与金額が相続税の対象となっても、元々相続税がかからないケースですので、贈与金額2,500万円までは結果として税金ゼロで贈与できる。
ただし、贈与税の申告が必要である。

・将来、相続税がかかる人の場合
例えば、将来、父の相続時において相続税がかかる見込みのケース。
父からの贈与について、通常の贈与税(暦年課税)の税率が将来の相続税率より低い場合は、相続時精算課税制度を選択せず、暦年課税による贈与を行う方が有効である。
相続時精算課税制度を選択すると、将来の相続の際、過去の贈与財産が足し戻され、高い相続税率が適用されるので、このような場合は選択しない方がいい。

ただし、高収益を生む不動産や将来評価額が確実に上がると予想される財産(例えば自社株)については、相続時精算課税制度を選択して、早めに移転することは有効である(不動産については、不動産取得税、登録免許税等の移転コストに留意が必要となる)。

□選択後、気を付けること

相続時精算課税制度を選択した場合、以降その贈与者から贈与を受けた時には、たとえ贈与額が1万円でも翌年3月15日までに贈与税の申告をしなければならない。
また、前年までの贈与財産が特別控除額2,500万円を上回っている場合には、1万円の贈与であっても税率20%の贈与税が課税される。

 
bnr_1805dl
⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 
⇛事業承継とは | 事業承継税制から後継者教育まで
 
⇒M&Aとは?企業買収の方法と必須となる基礎知識
 
⇒会社の買収とは | 企業買収の意味と仕組み
 

事業継承・M&Aセミナー2018

無料 資料ダウンロード M&Aのノウハウが凝縮!! マンガでわかるM&Aの落とし穴 10選

M&A/事業継承マニュアル M&A/事業承継 基礎知識