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事業承継の基礎知識 相続税とは 押さえておくべき基礎知識(2019年執筆)

相続税とは、被相続人(亡くなった人)の遺産を相続で受け継いだ場合や、遺言によって遺産を受け継いだ場合に、遺産総額となる金額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合にかかる税金である。

(6) 節税のための相続税対策 生前贈与と生命保険

税理士に相談する前に 相続税対策のバリエーション

相続対策は、「評価額対策」・「財産の移転対策」・「納税対策」・「遺産分割対策」をバランスよく行うことが大切である。

ただし、「評価額対策として、不動産を購入・建築し相続税は抑えることができたが、納税できなくなった」、「生前贈与で子どもに財産を移転したが、生活資金が足りなくなった」など、別の問題が生じることもある。

相続対策は総合的に考えることが重要であり、具体的な対策の立案や実行にあたっては、専門家に相談することをすすめる。

評価額対策 不動産や未上場会社の株式等

不動産や未上場会社の株式などについては、生前に対策することで評価額を低くすることができる。
例えば、更地の土地に賃貸物件を建てて賃貸事業を行えば相続税の評価額は下がる。

相続財産の種類ごとに評価ルールが決まっており、時価は同額でも相続税評価額が異なることもあるため、ルールを知った上で相続財産の中身を見直すことも重要になってくる。
相続税に関わる不動産や未上場会社の株式についての詳細は下記を参照。

(1) 相続税はいくらからかかる?
課税対象の評価額と基礎控除額
◆未上場株式(取引相場のない株式・出資持分)
の相続税評価
詳細へ

(7) 相続税対策としての
不動産(土地・家)の扱い

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【相続財産評価額の比較】

賃貸不動産を建築しない場合 賃貸不動産を1億円で建築し、賃貸した場合
相続財産 手許現預金で建築 借入金で建築
土地 1億円 7,900万円 7,900万円
建物 4,900万円 4,900万円
現預金 2億円 1億円 2億円
借入金 ▲1億円
相続税評価額合計 3億円 2億2,800万円 2億2,800万円

(※)借地権割合を70%と仮定して貸家建付地の評価額を算定。
建物の固定資産税評価額を建築価額の70%、借地権割合を30%と仮定して賃貸建物の評価額を算定。

財産の移転対策 生前贈与による相続税の軽減

生前に子や孫などに財産を贈与して相続財産を減らすこと、将来値上がりする財産・収益を生む財産を早めに贈与することは、相続税の軽減対策として有効である。
一般的に行われている相続対策に、子どもや孫に対する生前贈与がある。
子どもや孫に生前贈与を行う際には、後々の相続税の税務調査でトラブルにならないように、贈与した証拠を残し、贈与した財産は子どもや孫自身がしっかり保管・管理することが重要である。
また、贈与の証拠を残しておくという観点からは、あえて基礎控除を上回る贈与を行い、贈与を受けた子ども等が贈与税の申告・納付を行うのも一つの方法とされる。
なお、名義を子ども等に変えるだけでは贈与とみなされない可能性があるので留意したい。

生前贈与で基礎控除を活用する場合

贈与税には受贈者において年間110万円の基礎控除額が認められており、その範囲内であれば贈与税負担ゼロで財産を移転することができる。

【生前贈与の効果(基礎控除を活用する場合)】
相続財産:1億円/相続人:子ども3人(配偶者なし)

生前贈与を行わなかった場合 3人の子どもに年間100万円ずつ10年間、
合計3,000万円を現金贈与した場合
生前贈与額 3,000万円
相続税の課税価格 1億円 7,000万円
相続税額 630万円 220万円

※贈与時から相続発生時まで評価額の変動はないものとする。
※生前贈与加算、贈与税控除は考慮していない。

生前贈与で贈与税を支払う場合

相続税が多額にかかると予想される人については、あえて基礎控除を上回る贈与を行い、ある程度贈与税を支払ってでも金額を増やした生前贈与をするという選択肢もある。

【生前贈与の効果(贈与税を支払う場合)】
相続財産:3億円/相続人:子ども3人(配偶者なし)

生前贈与を行わなかった場合 20歳以上の3人の子どもに平成27年1月1日以降、
年間500万円ずつ10年間、
合計1億5,000万円を現金贈与した場合
生前贈与額 1億5,000万円
贈与税額➀ 1,445万円(※)
相続税の課税価額 3億円 1億5,000万円
相続税額➁ 5,460万円 1,440万円
合計税額➀+➁ 5,460万円 2,885万円

※贈与時から相続発生時まで評価額の変動はないものとする。
※生前贈与加算、贈与税控除は考慮していない。

(※)「特例贈与」
●子ども1人あたりの年間贈与税額
 (500万円-110万円)×15%-10万円=48.5万円
●子ども3人、10年間合計の贈与税額
 48.5万円×3人×10年=1,455万円

相続税の納税対策

相続人が相続した現預金または相続人自身の金融資産で将来相続税を納税できない場合には、どのように納税するかについてあらかじめ目途をつけておくことが重要である。
財産のうちに不動産の占める割合が高い人は、特に事前対策が必要といえる。

相続税の納付方法の検討

相続税の納税は相続人ごとに行うため、その納付方法は相続人ごとに検討する。
例えば、金銭納付が困難であり物納が認められる場合、条件の良い不動産を手許に残し、収益性・換金性の低い不動産等を物納できる可能性もある。
ただし、その財産が物納適格財産としての要件を備えていなければならないため、納税に充てられるようにするためには、相続人ごとに事前に検討し、対策しておくことが重要である。

相続税納税資金としての死亡保険金の活用

預貯金は遺産分割協議が成立するまで、相続人単独では引き出しや送金などの口座取引ができない場合が多いが、死亡保険金は受取人が単独で請求できる。
そのため、相続発生後すぐに必要となる納税資金の原資として有効である。
ただし、その契約形態(保険料負担者・受取人等)によって、税金の取扱いが異なるため、注意が必要である。

【死亡保険金に係る税金の取扱いの例】

契約形態 契約者
(保険料負担者)
被保険者 死亡保険金
受取人
対象となる
税金
契約者(保険料負担者)と被保険者が同一である場合 母、子ども等 相続税
契約者(保険料負担者)と死亡保険金の受取人が同一である場合(※1) 子ども 契約者である子ども 所得税・住民税
契約者(保険料負担者)・被保険者・死亡保険金の受取人がすべて異なる場合(※2) 子ども 贈与税

※1:契約者が受取る死亡保険金を一時金で受領した場合は一時所得になり、支払った保険料及び50万円を控除した金額の半分が課税対象になる。年金で受領した場合は公的年金等以外の雑所得として課税される。
※2:死亡保険金受取人が受取る死亡保険金は、保険料負担者から受取人への贈与となる。

被相続人が契約者(保険料負担者)の死亡保険金による納税

死亡保険金は、受取人の固有財産であるため遺産分割の対象にならず、相続発生後すぐに支払われるため、遺産分割が成立しない場合でも、これを相続税の納税財源として活用できる。
なお、この死亡保険金は相続税の課税対象であるが、「相続税非課税枠」が設けられており、下記の算式で求める。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

相続人が契約者(保険料負担者)の死亡保険金による納税

生前に子どもに現金贈与し、その現金により親を被保険者とする保険契約を締結するのも一つの方法である。
この場合、親に万一のことがあった場合にその子どもが死亡保険金を受け取るため、相続税の納税財源として活用することができなくなる。
なお、子どもが受け取った死亡保険金は相続税の対象ではなく、利益部分(死亡保険金のうち支払保険料を上回る部分)がその子どもの所得税等の対象となる。
例えば、この死亡保険金を一時金で受領した場合、「一時所得」として取り扱われ、受け取った死亡保険金から支払った保険料と50万円を控除した金額の半分が所得税等の対象である。

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