事業承継の基礎知識 相続・事業承継における生命保険と税金

生命保険を支払ったとき、満期保険金・解約返戻金を受け取ったとき、死亡保険金を受け取ったとき、それぞれの場面における税金の取り扱いを解説します。特に、死亡保険金を受け取った場合、保険の契約形態により課される税金が相続税、贈与税、所得税・住民税と異なってくるので注意が必要です。

(5) 法人契約の個人年金保険

・法人契約における個人年金保険の保険料は、死亡給付金および年金の受取人が法人である場合には「保険料積立金」として全額資産計上し、被保険者またはその遺族である場合には「給与」とする。

・死亡給付金の受取人が被保険者の遺族、年金の受取人が法人である場合には、保険料の10%を「福利厚生費」または「給与」とし、90%を「保険料積立金」として資産計上する。

・資産計上された「保険料積立金」の取崩方法には、取崩事由に応じて一定のルールがある。

◆個人年金保険とは

年金支払開始日に被保険者が生存しているときには、同日以後の一定期間にわたって年金が支払われ、また、同日前に被保険者が死亡したときには、所定の死亡給付金が支払われる生命保険である。

◆契約形態別の経理処理

□死亡給付金および年金の受取人が法人である場合

契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、
死亡給付受取人:法人、年金受取人:法人

・保険料支払い時

【支払保険料の仕訳(死亡給付金および年金の受取人が法人である場合)】
個人年金【支払保険料の仕訳(死亡給付金および年金の受取人が法人である場合)】

・死亡給付金の支払いを受けた時
法人が受け取った死亡給付金は、「保険料積立金」との差額を「雑収入」または「雑損失」として計上する。

【死亡給付金の仕訳(差益が出た場合)】
個人年金【死亡給付金の仕訳(差益が出た場合)】

【死亡給付金の仕訳(損失が出た場合)】
個人年金【死亡給付金の仕訳(損失が出た場合)】

・年金の支払いを受けた時
法人が受け取った年金を「雑収入」に計上するとともに、次の算式で計算した保険料積立金を「雑損失」に計上します。

【年金の支払いを受けた時の雑損失計上額の計算式】
個人年金【年金の支払いを受けた時の雑損失計上額の計算式】

【年金の支払いを受けた時の仕訳】
個人年金【年金の支払いを受けた時の仕訳】

・年金の一時支払を受けて保険契約が消滅した場合や解約した時
上記「死亡給付金の支払いを受けた時」の取り扱いと同様。

□死亡給付金および年金の受取人が被保険者またはその遺族である場合

契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、
死亡給付受取人:被保険者の遺族、年金受取人:被保険者

・保険料支払い時

【支払保険料の仕訳(死亡給付金および年金の受取人が被保険者またはその遺族である場合)】
個人年金【支払保険料の仕訳(死亡給付金および年金の受取人が被保険者またはその遺族である場合)】

・死亡給付金や年金の支払いを受けた時
法人の経理処理はなし。

□死亡給付金の受取人が被保険者の遺族、年金の受取人が法人である場合

契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、
死亡給付受取人:被保険者の遺族、年金受取人:法人

・保険料支払い時
保険料の10%を損金算入し、90%を資産計上する。

<仕訳事例>
【前提】
支払保険料:100万円/年

【支払保険料の仕訳(死亡給付金の受取人が被保険者の遺族、年金の受取人が法人である場合)】
個人年金【支払保険料の仕訳(死亡給付金の受取人が被保険者の遺族、年金の受取人が法人である場合)】

※被保険者が役員・部課長等の特定者のみである場合には、これらの者に対する給与とする。

・被保険者の遺族が死亡給付金の支払いを受けた時
資産に計上した保険料積立金を全額取り崩して「雑損失」に計上する。

【被保険者の遺族が死亡給付金の支払いを受けた時の仕訳】
個人年金【被保険者の遺族が死亡給付金の支払いを受けた時の仕訳】

・法人が年金の支払いを受けた時
上記「死亡給付金および年金の受取人が法人である場合」と同様。

・法人が年金の一時支払いを受けて保険契約が消滅した場合や解約した時
上記「死亡給付金および年金の受取人が法人である場合」と同様。

◆上場会社における個人年金保険の会計処理

個人年金保険の「保険料積立金」について、会計上留意すべき事項について解説する。

□契約時

貸借対照表上、「保険料積立金」は「投資その他の資産」に計上する。
なお、保険料積立金の金額が総資産の1/100超(連結は5/100超)となった場合には、独立科目で表示する。

□運用時

①支払保険料等累計<時価※の場合(含み益が生じているケース)
保険契約は、金融商品に係る会計基準の対象外のため、評価益の計上は不要。

②支払保険料等累計>時価※の場合(含み損が生じているケース)
「投資その他の資産」に計上された保険料積立金は、固定資産の減損に係る会計基準の対象となる。
※評価時点の特別勘定残高または解約返戻金額等

 
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⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 

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