事業承継の基礎知識 相続・事業承継における生命保険と税金

生命保険を支払ったとき、満期保険金・解約返戻金を受け取ったとき、死亡保険金を受け取ったとき、それぞれの場面における税金の取り扱いを解説します。特に、死亡保険金を受け取った場合、保険の契約形態により課される税金が相続税、贈与税、所得税・住民税と異なってくるので注意が必要です。

(6) 退職金準備としての保険の活用法

例えば同族会社は、特に長年会社を築いてきたオーナー経営者等の役員退職金支払いに備えて、「退職金の財源」と「退職金費用をカバーする利益」を準備しておく必要がある。
財源と利益を確保するため「定期保険」・「逓増定期保険」・「がん保険」等を、効率的な運用と財源を確保するため「終身保険」「個人年金保険」等を活用することは、保険としてのリスクマネジメントだけでなく会社の財務強化の観点からも有効。

会社が社長等に対して退職金を支払うと、貸借対照表上は現金預金が減少し、損益計算書上は特別損失が計上される。
従って、会社としては「退職金の財源」と「退職金費用をカバーする利益」を予め作っておく必要がある。
会社のリスクマネジメントとして保険の活用は有効です。その際、会社の目的に合った保険商品を選ぶことが肝要。

◆定期保険・逓増定期保険・がん保険等の活用

社長等の万一の場合には会社が死亡保険金等を受け取り、これが「死亡退職金の財源」・「死亡退職金という一時の多額な費用をカバーする収益」となる。

また、社長等に対して勇退退職金を支払う時期に、加入していた保険を解約すると、解約返戻金(現金)が支払われるとともに利益が生じる(ただし、保険加入当初は払込保険料に対して契約コスト等の比率が高いので、解約返戻金は少なくなり損失が生ずる可能性がある)。

解約返戻金(現金)は退職金の全部または一部に充てることができ、解約に伴って生ずる解約返戻金収入(雑収入)が利益として計上されるので、退職金費用の全部または一部をカバーすることができる。

つまり、毎年保険料を支払った際にその全部または一部を「支払保険料(費用・損金)※1」として計上することが、結果として退職金の一部を先取りして費用化してきたことになる。
会計上は「役員退職慰労引当金※2」の計上と同様の効果が見込める。

※1 保険の種類や契約形態により、保険料の一部が前払保険料として資産計上される。
※2 「役員退職慰労引当金」の繰入額は、会計上は費用となるが、法人税上は損金とならない(次の2において同じ)。

◆終身保険・個人年金保険等の活用

終身保険のメリットは、一生涯保障が続き、必ず死亡保険金を受け取れること、個人年金保険のメリットは、運用期間中に被保険者に相続が発生したときの死亡給付金について一般的に最低保証があること、そして、どちらも運用期間中の運用益に課税がされないことにある。

社長等に対して退職金を支払う場合には、保険契約を解約して財源に充てることができ、解約せずに保険契約そのものを退職金の一部として社長等に渡す方法(現物支給)もある。

なお、保険料は全額資産計上となるため、将来の退職金費用を先取りして平準化させる機能はない。
従って、会計上、将来の退職金費用をカバーする利益を準備するには、「役員退職慰労引当金」を毎年計上しておくことが有効である。

 
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