事業承継の基礎知識 相続・事業承継における生命保険と税金

生命保険を支払ったとき、満期保険金・解約返戻金を受け取ったとき、死亡保険金を受け取ったとき、それぞれの場面における税金の取り扱いを解説します。特に、死亡保険金を受け取った場合、保険の契約形態により課される税金が相続税、贈与税、所得税・住民税と異なってくるので注意が必要です。

(4) 法人契約の生命保険にかかわる税務・会計

ここでは、法人が契約者(保険料負担者)となる、いわゆる事業保険について説明する。
ただし、主たる保険料の取り扱いについて説明し、選択的な特約保険料については言及していない。
また、保険商品の契約内容によって取扱いが異なる場合があるので、留意してもらいたい。
 

目次

◆定期保険
◆逓増定期保険
◆長期平準定期保険
◆終身保険
◆定期付終身保険
◆がん保険(終身保障タイプ)
◆養老保険
 

◆定期保険

・法人契約(保険料負担者:法人、以下同じ)における定期保険の保険料は、死亡保険金受取人が法人である場合には「支払保険料」(損金算入)とする。
・死亡保険金受取人が、被保険者(役員・従業員等)の遺族である場合には「福利厚生費」または「給与」とする。
・法人が死亡保険金や解約返戻金等を受取った場合には、当該金額を「雑収入」として計上する。
・税務上、逓増定期保険・長期平準定期保険に該当する契約は、支払保険料の全額が損金となるのではなく、その一部が「前払費用」(資産計上)となる。

□定期保険とは

保険期間内に被保険者が死亡した場合等に保険金が支払われるもので、満期保険金はない。
このため「掛捨て保険」とも呼ばれる。

□保険料の取り扱い

法人契約の支払保険料の法人税の取り扱いは、死亡保険金受取人が法人であるか被保険者(役員・従業員等)の遺族であるかによって異なる。

・死亡保険金受取人が法人である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:法人

<経理処理>
法人が死亡保険金を受け取るか否かが確定していないため、支払保険料は期間の経過に応じて損金になる(税務上の「逓増定期保険」・「長期平準定期保険」に該当しない場合)。

【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】
定期保険【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

・死亡保険金受取人が被保険者の遺族である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:被保険者の遺族

<経理処理>
【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】
定期保険【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】
※遺族が死亡保険金の受取人であるため、支払保険料は期間の経過に応じて「福利厚生費」として損金になる。
ただし、役員・部課長等の特定の者についてだけを保険対象とする場合には、その者に対する「給与」として取り扱われる。

□配当金の取り扱い

法人が受け取る配当金は、その通知を受けた日の属する事業年度に全額「雑収入」として計上する(配当金のない保険商品(無配当保険)もある)。
定期保険【配当金の仕訳】
定期保険【配当金の仕訳】

□死亡保険金の取り扱い

法人が受け取る死亡保険金は全額「雑収入」として計上します(保険料が全額損金算入され配当積立金もない場合)。

【死亡保険金の仕訳】
定期保険【死亡保険金の仕訳】
遺族が受け取った場合には、法人の経理処理はない。

□保険料の年払

定期保険の保険料は、期間の経過に応じて損金算入するのが原則であるが、「支払った日から1年以内に役務の提供を受ける短期前払費用」については、特例として、毎年の継続処理を前提として支払った日の属する事業年度の損金に計上できることとされている。
従って、毎期年払いによるならば契約時に支払う最初の年払い保険料を当該事業年度の損金とすることもできる。


◆逓増定期保険

・法人契約における逓増定期保険の保険料は、死亡保険金受取人が法人である場合には「支払保険料」の損金算入割合に一定の制限がある。
・死亡保険金受取人が、被保険者(役員等一部の特定者)の遺族である場合には支払時にその役員等に対する「給与」とする。
・法人が死亡保険金や解約返戻金を受け取った場合には、前払保険料や配当積立金との差額を「雑収入」または「雑損失」として計上する。

□逓増定期保険とは

保険期間中に保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了の時の被保険者の年齢が45歳超であるものを税務上「逓増定期保険」という。

□保険料の取り扱い

・死亡保険金受取人が法人である場合
「逓増定期保険」は、保険期間の前半において支払う保険料の中に多額の前払保険料が含まれていることから、保険金受取人が法人の場合には、支払保険料の損金算入割合に制限がある。

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:法人

<経理処理>
保険期間の前半6割に相当する期間は、各年の支払保険料の額のうち次図の割合を前払保険料として資産計上し、後半4割に相当する期間は各年の支払保険料の額に加えて資産計上した前払保険料を取り崩して損金の額に算入する。

【「支払保険料の損金算入割合」判定フローチャート】
逓増定期保険【「支払保険料の損金算入割合」判定フローチャート】
(※1)一時払保険料等については、まず、当該事業年度に対応する保険料を算出し、その当該事業年度対応保険料を「損金」と「前払保険料(資産)」に区分する。
(翌事業年度以降に対応する保険料は全額「前払保険料(資産)」に計上し、その後期間の経過に応じて当該期間に対応する保険料について定められた部分を損金とする。)
(※2)平成20年2月28日前の契約に係る逓増定期保険の保険料については、上記フローチャートのカッコ書きに基づいて判定する。

□仕訳事例

【前提】
保険契約日:20☓☓年4月1日
保険契約時における保険者の年齢:55歳
保険期間:10年、支払保険料100万円/年

【前半6割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】
逓増定期保険【前半6割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

【後半4割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】
逓増定期保険【後半4割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

・死亡保険金受取人が被保険者の遺族である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・部課長等、特定の者のみ、死亡保険受取人:被保険者の遺族

<経理処理>
被保険者を特定の者のみとする加入の場合は、支払保険料の全額が「給与」となる。

【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】 
逓増定期保険【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】

□配当金の取り扱い

法人が受け取った配当金は、その通知を受けた日の属する事業年度に全額「雑収入」として計上する(配当金のない保険商品(無配当保険)もある)。

【配当金の仕訳】
逓増定期保険【配当金の仕訳】

□死亡保険金・解約返戻金の取り扱い

法人が受け取った死亡保険金や解約返戻金は、前払保険料や配当積立金との差額を「雑収入」または「雑損失」として計上する。

【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(差益が出た場合)】
逓増定期保険【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(差益が出た場合)】

【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(損失が出た場合)】
逓増定期保険【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(損失が出た場合)】

□掛捨て定期保険なのに解約返戻金がある理由

逓増定期保険は、一定期間の死亡等だけを保障し、期間満了とともに保障は切れ、満期保険金もない掛捨て保険である。
ところが保険期間中に中途解約をすると解約返戻金が支払われる。
これには2つの理由があります。

□保険期間が15年・20年・30年と比較的長い

例えば50歳の男性が保険期間1年で保険金額1億の定期保険に加入し、毎年契約を更新したとする。
保険料は下記の図にあるように年齢が上がる毎に高くなる。

【逓増定期保険の支払イメージ】
逓増定期保険【逓増定期保険の支払イメージ】

同様に50歳の時に保険期間20年で逓増定期保険に加入した場合を考えると、その時の保険料は50歳から69歳まで毎年一定である。
保険期間20年の定期保険の保険料のイメージを重ねると、保険期間が20年のケースは前半の段階では保険料が払い過ぎの状態になっており、後半の段階に不足する保険料はこの前半の保険料で埋めるようになっている。
途中解約の際に生ずる解約返戻金は、この前半の前払保険料が原資になっている。

□保険期間が経過するにつれて保険金の額が増加する

例えば契約者が50歳の男性、保険期間20年で保険金額は当初1億円、その後徐々に増えて5億円になるという逓増定期保険をイメージする。
年齢が高くなってから死亡したほうが保険金額が多いにもかかわらず毎年の支払保険料は一定である。
保険加入当初に支払う保険料の中に、年齢が高くなった時の5億円の補償に対する保険料も含まれているため、前半の段階で前払いする保険料が更に多くなるというのが逓増定期保険の特徴である。

(注)保険加入当初は、払込保険料に対して契約コスト等の比率が高いので、解約返戻金は払込み保険料の総額より少なくなるのが一般的といえる。


◆長期平準定期保険

・死亡保険金の受取人を法人とする法人契約の定期保険のうち、保険期間が長期となるものについては、支払保険料に前払保険料が相当部分含まれていること、そして、解約した場合の解約返戻金が相当額になることから、「支払保険料」の損金算入割合に一定の制限がある。
・死亡保険金の受取人を被保険者(役員・従業員等)の遺族とする法人契約については、一般の定期保険と同様の取り扱いである。

□長期平準定期保険とは

保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、保険加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍の数を加えた数が105を超える定期保険(「逓増定期保険」に該当するものを除く)を、税務上「長期平準定期保険」という。

保険期間満了時の年齢 > 70歳
保険加入時の年齢 + 保険期間×2 > 105

□保険料の取り扱い

・死亡保険金受取人が法人である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:法人

<経理処理>
保険期聞が長期であるにもかかわらず毎年の保険料が平準化されていることから、前半部分の保険料の相当部分が前払保険料となる。
そのため、保険期間の前半6割の期間においては、支払保険料の1/2を資産計上(前払保険料)・1/2を損金とし、後半4割の期間では支払保険料を全額損金とするとともに、前払保険料を取り崩していく。

<仕訳事例>

【前提】
保険契約日:20☓☓年4月1日
保険契約時における保険者の年齢:55歳
保険期間:30年、支払保険料100万円/年

【前半6割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】
長期平準定期保険【前半6割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

【後半4割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】 
長期平準定期保険【後半4割の期間における仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

・死亡保険金受取人が被保険者の遺族である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・部課長等、特定の者のみ、死亡保険受取人:被保険者の遺族

<経理処理>
被保険者を特定の者のみとする加入の場合は、支払保険料の全額が「給与」となる。

【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】 
長期平準定期保険【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】

□配当金の取り扱い

法人が受け取った配当金は、その通知を受けた日の属する事業年度に全額「雑収入」」として計上する(配当金のない保険商品(無配当保険)もある)。

【配当金の仕訳】
長期平準定期保険【配当金の仕訳】

□死亡保険金・解約返戻金の取り扱い

法人が受け取った死亡保険金や解約返戻金は、前払保険料や配当積立金との差額を「雑収入」または「雑損失」として計上する。

【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(差益が出た場合)】
長期平準定期保険【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(差益が出た場合)】

【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(損失が出た場合)】 
長期平準定期保険【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(損失が出た場合)】


◆終身保険

・法人契約における終身保険の保険料は、死亡保険金受取人が法人の場合には、全額「保険料積立金」(資産計上)とする。
・死亡保険金受取人が、被保険者(役員・従業員等)の遺族である場合には、その役員・従業員等に対する「給与」とする。
(終身保険に関する法人税基本通達は設けられていないが、養老保険(死亡保険金および満期保険金とも法人受取り契約のケース)に関する通達に準ずるものと考えられている。)

□終身保険とは

生涯にわたり死亡保障が付された生命保険であり、必ず死亡保険金は支払われる。

□保険料の取り扱い

法人契約の支払保険料の取り扱いは、死亡保険金の受取人が法人であるか、被保険者(役員・従業員等)の遺族であるかによって異なる。

・死亡保険金受取人が法人である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:法人

<経理処理>
法人が必ず死亡保険金を受け取ることになるため、支払保険料は将来の保険金受け取りのために積み立てていると考え、全額「保険料積立金」(資産計上)となる。

【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】
終身保険【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

・死亡保険金受取人が被保険者の遺族である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:役員・従業員等の遺族

<経理処理>
役員・従業員等の遺族は必ず死亡保険金を受け取ることになるため、支払保険料は全額「給与」となる。

【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】 
終身保険【支払保険料の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】

□配当金の取り扱い

法人契約の配当金の取り扱いは、死亡保険金の受取人が法人であるか、被保険者(役員・従業員等)の遺族であるかによって異なる(配当金のない保険商品(無配当保険)もある)。

・死亡保険金受取人が法人である場合

法人が受け取る配当金は、その通知を受けた日の属する事業年度に「雑収入」として全額益金となるのが原則である。
ただし、法人の支払保険料が全額資産計上されている場合は、配当金について「保険料積立金(資産)」から控除することができる。

これは、終身保険の保険料には純粋に貯蓄機能に対応する保険料(積立保険料)だけでなく死亡保障リスクに備える保険料(危険保険料)があり、前者は資産・後者は費用であるにもかかわらず法人が支払う保険料は全額「資産計上」されていることを考慮して、配当金は「雑収入(益金)」とすることなく、「保険料積立金(資産)」から控除することができるとされているためである。

なお、据置配当については特段の経理処理は不要である(据置配当に利息が付されている場合、利息部分は雑収入)。

【配当金の仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】
終身保険【配当金の仕訳(死亡保険受取人が法人の場合)】

・死亡保険受取人が被保険者の遺族である場合
法人が受け取る配当金は、その通知を受けた日の属する事業年度に全額「雑収入」として計上する。

【配当金の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】
終身保険【配当金の仕訳(死亡保険受取人が被保険者の遺族の場合)】

□死亡保険金の取り扱い

法人が受け取る死亡保険金は、それまでに資産計上した「保険料積立金」との差額が「雑収入」となる。

【死亡保険金の仕訳】 
終身保険【死亡保険金の仕訳】

役員・従業員等の遺族が死亡保険金を受け取る場合は、法人における経理処理はない。


◆定期付終身保険


定期付終身保険は、定期保険に係る保険料と終身保険に係る保険料に区分して各々取り扱う。

□定期付終身保険とは

終身保険に定期保険を上乗せした生命保険です。被保険者が定期保険特約期間内に亡くなった場合は、終身保険による死亡保険金と定期保険による死亡保険金が支払われる。
一方、定期保険特約期間終了後に亡くなった場合は、終身保険による死亡保険金だけが払われる。

□保険料の取り扱い

法人契約の定期付終身保険料は、死亡保険金の受取人によって法人税の取り扱いが変わる。
また、いずれのケースも、終身保険に係る保険料部分と定期保険に係る保険料部分と区分して考え取り扱う。
(定期付終身保険に関する法人税基本通達は設けられていませんが、定期付養老保険に関する通達に準ずるものと考えられている。)

・死亡保険金受取人が法人の場合
終身保険に係る保険料部分は全額「保険料積立金」(資産計上)、定期保険に係る保険料部分は「支払保険料」(損金)として計上する。

・死亡保険金受取人が被保険者(役員・従業員等)の遺族の場合
終身保険の係る保険料部分はその役員・従業員等に対する「給与」、定期保険に係る保険料部分は原則として損金に算入する。


◆がん保険(終身保障タイプ)

・法人契約におけるがん保険は、満期保険金がないため、その保険料の取り扱いは原則として定期保険と同様であるが、終身保障のがん保険の保険料については、終身払込・有期払込各々固有の税務取扱いがある。

・支払った保険料のうち損金算入される部分は、保険金受取人が法人である場合には「支払保険料」、被保険者(役員・従業員等)である場合には、「福利厚生費」とする。
ただし、被保険者が役員・部課長等の特定の者だけの場合で、保険金受取人をその者または遺族とするケースは、支払保険料全額が「給与」となる。

・法人が死亡保険金や解約返戻金を受け取った場合には、前払保険料との差額を「雑収入」または「雑損失」として計上する。

・平成24年4月27日前の契約に係るがん保険の保険料については、期間の経過に応じて支払保険料の全額が損金になる。

□がん保険とは

初めてがんと診断されたり、がんによる入院・手術・死亡等の場合には保険金が支払われる保険である。

□保険料の取り扱い

終身保障のがん保険は、保険期間が長期であるため、保険期間の前半において支払う保険料の中に前払保険料が相当部分含まれていること、そして解約した場合の解約返戻金が相当額になることから、支払保険料の損金算入割合に一定の制限がある。

保険の保障期間は「終身」ですが、税務上は保険期間を契約時から105歳までの間とみなして、その期間の前半部分については「当期分(年間)保険料」の1/2を「前払保険料」(資産計上)、1/2を「支払保険料」(損金)とする。
具体的な計算方法は保険料が終身払込であるか有期払込であるかによって異なる。

なお、平成24年4月27日前の契約に係るがん保険の保険料については、上記取り扱いではなく、期間の経過に応じて支払保険料の全額が損金になる。

□保険料が終身払込の場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:法人

<経理処理>
加入時の年齢から105歳までの期間を計算上の保険期間とみなして、保険期間の前半5割の期間においては、支払保険料の1/2を「前払保険料」(資産計上)、1/2を「支払保険料」(損金)とし、後半5割の期間では支払保険料を全額損金とするとともに、前払保険料を取り崩して損金の額に算入する(※)。

※保険金受取人が役員・従業員(またはその親族)である場合には、1/2部分は「福利厚生費」とする。
なお、被保険者が役員・部課長等の特定者のみである場合は、全額をこれらの者に対する「給与」として取り扱う。

<仕訳事例>

【前提】
保険契約日:20☓☓年4月1日
保険契約時における保険者の年齢:55歳
計算上の保険期間:50年(55歳~105歳)
保険料払込期間:終身
支払保険料100万円/年

【「計算上の保険期間」の前半5割の期間】
がん保険【「計算上の保険期間」の前半5割の期間】

【「計算上の保険期間」の後半5割の期間】
がん保険【「計算上の保険期間」の後半5割の期間】

□保険料が有期払込の場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、死亡保険受取人:法人

<経理処理>
払込保険料総額を「計算上の保険期間(契約時から105歳までの期間)」にわたり毎年均等に支払うと考えて、計算上の1年分の保険料(以下「当期分保険料」という)を計算する。

【当期分の保険料の計算式】 
がん保険【当期分の保険料の計算式】

この当期分保険料の金額を基に、次の期間の区分に応じて損金算入額・資産計上額を計算する。

・「計算上の保険期間」の前半5割の期間

(a)保険料払込期間中
当期分保険料の1/2を「支払保険料」(損金)とし、それ以外の部分(実際の払込み保険料-損金算入額)を「前払保険料」(資産計上)とする。

(b)保険料払込期間経過後(保険料払込期間が「計算上の保険期間」の前半5割の期間より短い場合のみ)
(a)により計算した損金算入額(当期分保険料×1/2)と同額を試算計上額から取り崩して損金の額に算入する。

・「計算上の保険期間」の後半5割の期間

(a)保険料払込期間中(保険料払込期間が「計算上の保険期間」の前半5割の期間より長い場合のみ
当期分保険料の金額を「支払保険料」(損金)とし、それ以外の部分(払込保険料-損金算入額)を「前払保険料」(資産計上)とする。
また、前半5割の期間に資産計上した前払保険料を次の算式により期間の経過に応じて取り崩して損金の額に算入する。

【取崩損金算入額】
がん保険【取崩損金算入額】

(b)保険料払込期間経過後
当期分保険料の金額と上記B(a)の算式により計算した取崩損金算入額の合計額を取り崩して損金の額に算入する

□配当金の取り扱い

法人が受け取った配当金は、全額「雑収入」として計上する。

【配当金の仕訳】
がん保険【配当金の仕訳】

□死亡保険金・解約返戻金の取り扱い

法人が受け取った死亡保険金や解約返戻金は、前払保険料や配当積立金との差額を「雑収入」または「雑損失」として計上する。

【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(差益が出た場合)】
がん保険【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(差益が出た場合)】

【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(損失が出た場合)】
がん保険【死亡保険金・解約返戻金の仕訳(損失が出た場合)】


◆養老保険

・法人契約の養老保険は、満期保険金と死亡保険金の受取人を別々に定めることもできるため、それぞれの保険金の受取人が法人か被保険者(役員・従業員等)・遺族であるかによって支払保険料に関する法人税の取り扱いが異なる。
・満期保険金受取人が法人・死亡保険金受取人が遺族の場合は、1/2資産計上・1/2損金(「福利厚生費」または「給与」)となる。
・満期保険金・死亡保険金とも法人が受取人の場合は資産計上する。
・満期保険金・死亡保険金とも被保険者(または遺族)が受取人の場合は「給与」とする。

□養老保険とは

保険期間内に被保険者が亡くなると死亡保険金が払われ、死亡事故なく満期を迎えると満期保険金が払われる、その死亡保険金と満期保険金が同額である生命保険である。

□保険料の取り扱い

法人契約の養老保険の支払保険料の法人税の取り扱いは、満期保険金・死亡保険金の受取人が法人であるか被保険者(役員・従業員等)・遺族であるかによって異なる。

・満期保険金受取人は法人、死亡保険金受取人は被保険者(役員・従業員等)の遺族である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、
満期保険金受取人:法人、死亡保険金受取人:被保険者(役員・従業員等)の遺族

<経理処理>
満期が到来したら法人が満期保険金を受け取り、満期到来前に被保険者が死亡したら死亡保険金を役員・従業員等の遺族が受け取るので、支払保険料は、1/2を資産計上、1/2を期間の経過に応じて「福利厚生費」とする。
年間保険料100万円の場合は以下の通り。

【支払保険料の仕訳(満期保険金受取人が法人、死亡保険金受取人が被保険者(役員・従業員等)の遺族の場合)】
養老保険【支払保険料の仕訳(満期保険金受取人が法人、死亡保険金受取人が被保険者(役員・従業員等)の遺族の場合)】
※役員・部課長等の特定の者についてだけ保険対象とする場合や、保険金額に不合理な格差がある場合等は、「福利厚生費」ではなく、その者に対する「給与」となる。

・満期保険金・死亡保険金の受取人がともに法人である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、
満期保険金受取人:法人、死亡保険金受取人:法人

<経理処理>
法人が必ず保険金を受け取りますので、支払保険料は全額資産計上する。

【支払保険料の仕訳(満期保険金・死亡保険金受取人が法人の場合)】
養老保険【支払保険料の仕訳(満期保険金・死亡保険金受取人が法人の場合)】

・満期保険金受取人は被保険者(役員・従業員等)、死亡保険金受取人は被保険者の遺族である場合

<契約形態>
契約者:法人、被保険者:役員・従業員等、
満期保険金受取人:被保険者(役員・従業員等)、
死亡保険金受取人:被保険者(役員・従業員等)の遺族

<経理処理>
役員・従業員等(または遺族)が必ず保険金を受け取るので、支払保険料は給与とする。

【支払保険料の仕訳(満期保険金受取人が被保険者、死亡保険金受取人が遺族の場合)】
養老保険【支払保険料の仕訳(満期保険金受取人が被保険者、死亡保険金受取人が遺族の場合)】

□配当金の取り扱い

法人が受ける配当金については、その通知を受けた日の属する事業年度に「雑収入」として計上する。
ただし、「満期保険金・死亡保険金受取人がともに法人」の契約については、資産計上している「保険料積立金」を取り崩す取り扱いも可能である。

□満期保険金の取り扱い

法人が満期保険金を受け取る場合は、それまで資産計上している「保険料積立金・配当積立金」を上回る部分が「雑収入」となる。

□死亡保険金の取り扱い

・死亡保険金受取人が被保険者の遺族である場合
死亡保険金受取人が被保険者の遺族である養老保険の場合は、法人において資産計上してきた「保険料積立金・配当積立金」がある場合はそれを取り崩し「雑損失」を計上する。

・死亡保険金受取人が法人である場合
死亡保険金受取人が法人である養老保険の養老保険の場合は、それまで資産計上してきた「保険料積立金・配当積立金」を上回る部分が「雑収入」となる。

□解約返戻金の取り扱い

法人契約の養老保険を解約した場合、それまで資産計上してきた「保険料積立金・配当積立金」がある場合は解約返戻金との差額が、「雑収入」または「雑損失」となる。

 
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