事業承継の基礎知識 上場株式等の売却

上場株式等の取得価額は、「取得単価×取得株数+取得に要した費用」により計算し、売却損益(譲渡所得等)は、「売却収入-取得価額-売却費用-売却年の借入金利子」により計算します。上場株式等の売却益は、申告分離課税の対象として、20.315%の税率で課税されます。

(9) 非居住者の株式売却

非居住者については、日本の所得税は日本国内で発生した所得(国内源泉所得)についてのみ適用されるが、居住している国における課税に留意する必要がある。

非居住者

所得税法では、個人は「居住者」と「非居住者」に区分されており、いずれに該当するかにより異なる課税が行われる。
居住者とは、国内に住所を有しまたは現在まで引続き1年以上居所を有する個人をいい、居住者以外の個人を非居住者という。
ここでいう住所とは、個人の生活の本拠をいい、住居、職業、国内において生計を一にする配偶者等の存否、資産の所在といった客観的事実に基づき、総合的に判断するのが相当とされている。
例えば、1年以上の予定で海外に転勤する場合には、原則として日本国内に住所がなくなるため、一般的には非居住者となる。

課税所得の範囲

非居住者は、日本国内で発生した所得(国内源泉所得)についてのみ課税が生じる。非居住者の株式売却については、次の所得が国内源泉所得として課税対象となる。①から⑤は15.315%の税率により申告分離課税となり、⑥は総合課税の対象となる(原則として非居住者には住民税が課税されない)。

①日本に滞在する間に行う日本の会社の株式の売却による所得
②日本の会社の株券等の買集めをし、これをその日本の会社等に対して売却することによる所得
③日本の会社の特殊関係株主等である非居住者が行う、その日本の会社の株式の売却による所得
④税制適格ストック・オプションの権利行使により取得した特定株式等の売却による所得
⑤特定の不動産関連法人の株式の売却による所得
⑥日本国内にあるゴルフ場の株式形態のゴルフ会員権の売却による所得

なお、これらに該当する場合であっても租税条約により日本で課税されないことがある。

出国した場合の特定口座・NISA・ジュニアNISAの取扱い

出国して生活の本拠地が国内になくなることで、税法上「居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者」に該当しないもの(以下「非居住者」といいます)とされると、居住者であることを前提とする特定口座やNISA、ジュニアNISAは利用できなくなる。

特定口座の取扱い

・特定口座の廃止(原則)
出国により非居住者になった場合には、証券会社等に対して、「特定口座廃止届出書」を提出したものとみなされ、特定口座は廃止される。

・特定口座継続の方法
出国日までに「特定口座継続適用届出書」などを証券会社に提出し、かつ、帰国後に一定の書類とともに「特定口座開設届出書」および「出国口座内保管上場株式等移管依頼書」を証券会社等に提出することにより、出国前に特定口座に預けていた商品は出国中に出国口座に保管され、帰国後に再開設した特定口座に出国口座内の商品を戻して、特定口座での取引を再開することができる。

なお、出国前に特定口座に預けていた商品のほか、その商品について株式分割・株式併合や株式無償割当て、合併、会社分割、株式交換・株式移転などの事由が生じたことにより取得する一定の上場株式等や、その商品が取得条項付株式、全部取得条項付株式または取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債である場合に取得事由の発生または取得決議により取得した一定の上場株式等、その商品が公募株式投資信託である場合に出国後に支払われた分配金の再投資により取得する公募株式投資信託についても、帰国後に特定口座に受け入れることが可能。

NISAの取扱い

・非課税口座(NISA)の廃止
出国により非居住者になった場合には、出国の日の前日までに非課税口座(NISA)を開設している証券会社等に「非課税口座出国届出書」を提出する必要があり、非課税口座は出国時に廃止される。
出国時に非課税口座に預けていた商品はすべて特定口座または一般口座に払出される(特定口座は出国により廃止されるが、上記(1)のとおり、一定の手続きを行うことで帰国後に特定口座に戻して特定口座での取引を継続することができる)。
なお、特定口座と異なり、出国により非課税口座から払出されたものは、帰国後再開設した非課税口座に戻すことはできない。

・非課税口座再開設の手続き
帰国後に非課税口座を再開したい場合は、帰国時に証券会社に「非課税口座開設届出書」および「非課税口座廃止通知書」などを提出することにより、非課税口座を再開設することができる。
なお、「非課税口座廃止通知書」は「非課税口座出国届出書」を提出した際に証券会社等から交付される。

ジュニアNISAの取扱い

<18歳まで(払出し制限期間中)に出国した場合>

・未成年者口座(ジュニアNISA)からの払出し
未成年者口座(ジュニアNISA)の開設者が、その年の3月31日において18歳である年の前年12月31日まで(払出しの制限(※)期間中)に出国して非居住者になった場合には、出国の日の前日までに未成年者口座を開設している証券会社等に「出国移管依頼書」を提出する必要があり、出国時に未成年者口座に預けていた商品はすべて課税未成年者口座(特定口座または一般口座)に払出される(未成年者口座は廃止されない)。
特定口座に払出されたものの取扱いは、上記(1)と同じ。
また、未成年者口座から払出されたものは、帰国後に再開した未成年者口座や新たに開設した非課税口座に戻すことはできない。

※出国の日の前日までに「出国移管依頼書」を提出しない場合は、出国時に未成年者口座は廃止され、払出し制限期間中の払出しとして一定の課税がなされる。

※払出しの制限:未成年者口座および課税未成年者口座からの払出しについては、居住者等がその年の3月31日において18歳である年の前年12月31日までは、原則としてできない。
払出しを行う場合は、未成年者口座において過去に非課税とされた配当等や売却益、払出し時の含み益に対して課税され、未成年者口座は廃止されることになる。ただし、災害等のやむを得ない場合に限り、非課税での払い出しが可能。

・未成年者口座の再開
帰国後に未成年者口座を再開したい場合、帰国時に証券会社に一定の届出をすることにより、未成年者口座での取引を再開することができる。
なお、その年の1月1日において20歳である年の1月1日以後に帰国をした場合は、帰国後に未成年者口座を再開することはできないが、NISA(非課税口座)を開設して取引することができる。

<18歳以降(払出し制限期間後)に出国した場合>

・未成年者口座の廃止
未成年者口座の開設者が、その年の3月31日において18歳である年の1月1日以後(払出し制限期間後)に出国して非居住者となった場合には、出国の日の前日までに未成年者口座を開設している証券会社等に「未成年者出国届出書」を提出する必要があり、未成年者口座は出国時に廃止される。出国時に未成年者口座に預けていた商品はすべて特定口座または一般口座に払出され、その後の取扱いは上記と同じ。

・未成年者口座再開設の手続き
帰国後に未成年者口座を再開したい場合は、帰国時に証券会社に「未成年者口座開設届出書」および「未成年者口座廃止通知書」などを提出することにより、未成年者口座を再開設することができる。
なお、「未成年者口座廃止通知書」は「未成年者口座出国届出書」を提出した際に証券会社等から交付される。

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