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事業承継の基礎知識 上場株式等の売却

上場株式等の取得価額は、「取得単価×取得株数+取得に要した費用」により計算し、売却損益(譲渡所得等)は、「売却収入-取得価額-売却費用-売却年の借入金利子」により計算します。上場株式等の売却益は、申告分離課税の対象として、20.315%の税率で課税されます。

(6) ストック・オプション税制の概要

税制適格ストック・オプション

一定要件を満たす「税制適格ストック・オプション」は、権利付与時および権利行使時に課税はなく、そのストック・オプションを権利行使して得た株式の売却時に課税される。

税務上の取扱い

税制適格ストック・オプションの税務上の取扱いを具体例で説明する。

① 権利付与時
取締役等に税制適格ストック・オプションを付与した場合、権利付与時に課税はない。
なお、税制適格ストック・オプションは権利行使価額が権利付与契約時の時価以上であることが要件とされているため、権利付与契約時の時価が900円の場合、例えば権利行使価額は1,000円とされる。

② 権利行使時
取締役等が、例えば株価が1,800円になった時にストック・オプションを権利行使した場合、権利行使価額である1,000円を払込んで1,800円の株式を取得する。
取締役等は経済的利益800円(1,800円一1,000円)を得ているが、税制適格ストック・オプションの場合、株式売却時まで課税が繰延べられる。

③ 株式売却時
取締役等が税制適格ストック・オプションを権利行使して取得した株式を、株価が2,300円の時に売却した場合、売却価額2,300円と権利行使価額1,000円との差額1,300円が株式の売却益として課税される。

【税制適格ストックオプションの課税】
【税制適格ストックオプションの課税】

税制適格ストック・オプションの要件

税制適格ストック・オプションは、次の①~③の要件を満たすことが必要となる。

① ストック・オプションの付与対象者の要件
株式会社またはその子会社の取締役、執行役、従業員およびその相続人が対象。ただし、大口株主(上場会社等については発行済株式総数の10分の1超、それ以外の会社については3分の1超を所有する株主)やその親族等特別関係者は対象者から除かれる。

② 権利付与契約の要件
(イ)権利行使は、付与決議日の2年後から10年後までの間に行わなければならないこと
(ロ)権利行使価額の年間合計額が1,200万円を超えないこと
(ハ)権利行使価額が、権利付与契約時の1株当たりの時価以上であること
(ニ)新株予約権について売却禁止であること
(ホ)権利行使に係る新株発行等が付与決議で定める事項に反しないで行われること
(ヘ)権利行使により取得する株式は、その株式会社と証券会社等との間であらかじめ締結される取決めにより、その株式会社から証券会社等に直接引渡され、その営業所等の専用の口座に保管の委託等がされること

③ 権利行使時の書面提出
権利行使時において「権利付与時に、その株式会社の大口株主・その特別関係者に該当しないこと」を誓約し、権利行使した年における他のストック・オプションの行使の有無等を記載した書類をその株式会社に提出する必要がある。

留意点

・税制適格ストック・オプションを権利行使して取得した上場株式と同一銘柄の他の株式がある場合、取得価額は銘柄が異なるものとして計算する。
・税制適格ストック・オプションを権利行使して取得した上場株式は、特定口座、NISA、ジュニアNISAに受入れることができない。
・権利行使価額の年間合計額が1,200万円を超える行使から権利付与時の課税対象になる(例えば、ある年の3月に300万円、4月に400万円、5月に600万円の権利行使をした場合、年間合計額が1,200万円を超える5月分の600万円の権利行使から課税対象になる)。

税制非適格ストック・オプション

株式会社が自社の取締役、執行役、従業員に対してストック・オプションを無償で付与した場合、付与時に課税はなく、原則としてストック・オプションを権利行使した時に、行使時点での株式時価と権利行使価額との差額に対して課税される。

ここでは最近発行が増えている、権利行使価額が1円である株式報酬型ストック・オプション(税制非適格、売却禁止)を前提に具体例で説明する。
なお、税制非適格ストック・オプションを権利行使して取得した上場株式は、特定口座に受入れることができるが、NISA、ジュニアNISAには受入れることができない。

① 権利付与時
1株900円の時に、権利行使価額が1株1円のストック・オプションを取締役等に付与する。権利付与時には、取得者に対する課税はない。

② 権利行使時
取締役等が、例えば株価が1,800円になった時にストック・オプションを権利行使した場合、権利行使価額である1円を払込んで1,800円の株を取得する。権利行使時に取締役等が得た経済的利益1,799円(1,800円一1円)は、給与所得等として課税される。

③ 株式売却時
取締役等がストック・オプションを権利行使して取得した株式を、株価が2,000円になった時に売却した場合、差額200円(2,000円一1,800円)が株式売却益として課税される。

【税制非適格ストックオプションの課税】
【税制非適格ストックオプションの課税】

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