事業承継の基礎知識 5. 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予(事業承継税制)

「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例」(事業承継税制)を利用すれば、後継者が現経営者から自社株式を贈与あるいは相続・遺贈によって取得した場合、一定の条件を満たして所定の手続きを行うと、贈与税・相続税の納税が猶予されます。中小企業のオーナーにとって、換金性のない自社株式に対して多額の相続税が課されることは死活問題です。会社に負担をかけず、円滑な事業承継ができるようにするために設けられたのが、この「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例」なのです。

5-8. 平成29年度税制改正による納税猶予制度への影響

 
経営者の高齢化への対応として、事業承継の円滑化は「待ったなし」の課題である。
そこで非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予制度について、以下の改正がされることとなった。
① 従業員の少ない小規模事業者に対する配慮として、雇用要件の見直しが行われる。
② 早期取組を促すための生前贈与の税制優遇強化を図る。
今後の事業承継ニーズの増大に対応するため、雇用要件見直しや生前贈与へのインセンティブ強化により、円滑な事業承継に向けて早期に取り組む中小企業に対する税制支援を強化する。

雇用要件の緩和【贈与税・相続税】

事業承継税制の雇用要件について、これまで維持すべき従業員数(5年平均で8割)を計算する際に端数を切り上げていたところを、切り捨てることとする。
これにより、改正前は従業員5人未満の企業で従業員が1人減少(人員補充なし)した場合、納税猶予は打ち切られていたが、改正後は雇用要件を満たすことが可能となる。
ただし、従業員1人の企業が従業員ゼロになった場合には、適用できない。

納税猶予 改正1

贈与税の納税猶予における相続時精算課税の適用【贈与税・相続税】

贈与税の納税猶予の適用を受ける株式等について、相続時精算課税制度の提供を可能とし、取消時の税負担への不安を軽減する。
これにより、相続時精算課税を選択して贈与し、贈与税の納税猶予の適用を受けた受贈者は、その後、納税猶予が打ち切られた場合には、累進税率(最高55%)の税率ではなく固定税率(20%)での納付となり、税負担の軽減が図られる。

納税猶予 改正2

贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予における認定承継会社の要件緩和【相続税】

贈与税の納税猶予の適用を受けた後に、贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における会社の要件が緩和される。具体的には、贈与税の納税猶予適用中に贈与者である先代経営者が死亡した場合において、相続税の猶予へ切り替える際には、中小企業であること及び非上場企業であることが課されていた。
改正により、相続開始時に中小企業であること及び非上場企業であることの要件が撤廃される。
これにより、成長(株式上場等)を阻害する先代死亡時の会社要件が緩和されることにより、後継者による更なる自社の成長が期待できる。
ただし、改正前後問わず、経営承継期間経過後の上場時に、自社株式を市場に譲渡した場合には、猶予税額のうち譲渡した株式に対応する税額の納税が生じる。

納税猶予 改正3

 
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⇒平成30年度税制改正で納税猶予はどう変わる?
 
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