事業承継の基礎知識 5. 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予(事業承継税制)

「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例」(事業承継税制)を利用すれば、後継者が現経営者から自社株式を贈与あるいは相続・遺贈によって取得した場合、一定の条件を満たして所定の手続きを行うと、贈与税・相続税の納税が猶予されます。中小企業のオーナーにとって、換金性のない自社株式に対して多額の相続税が課されることは死活問題です。会社に負担をかけず、円滑な事業承継ができるようにするために設けられたのが、この「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例」なのです。

5-3. 「相続税の納税猶予」の概要と手続き

 
中小企業のオーナー経営者にとって、自社株式に課させる相続税の負担は、その会社が優良な会社であるほど重い。
しかし、この自社株式は基本的には容易に換金できる財産ではない。
相続が起きたことで事業を続けられなくなり、大幅なリストラを行うケース、事業を廃止せざる得ないケースも起こり得る。

そこで、非上場会社の発行する株式を先代経営者である被相続人から相続または遺贈により後継者が取得した場合、一定の要件を満たしたとき、発行済株式等の総数の3分の2に達するまでの株式等にかかる相続税の80%相当額について相続税の納税を猶予することができる特例が用意されている。
この制度により納税猶予された相続税は、後継者の死亡等、要件を満たせば免除される。
ただし、一定の事由が生じた場合には、納税猶予されていた相続税の納税が必要となり、その際には利子税も合わせて納付する必要がある点に留意しなければならない。

相続税の納税猶予の適用を受けるための主な手続き

① 適用を受けるための手続き(相続開始~10ヶ月)

□経済産業大臣の認定
相続税の納税猶予の適用を受けるためには経済産業大臣の認定を受ける必要がある。
この認定の申請は、被相続人の相続開始の日の翌日から8ヶ月を経過する日までに、各地域の経済産業局に対して行う。
□相続税の申告
経済産業大臣認定を取得後、相続税の申告期限までにこの特例の適用を受ける旨を記載した相続税の申告書に、経済産業大臣から交付された認定書の写しその他一定の書類を添付して提出することが必要である。
□担保の提供
相続税の申告書の提出期限までに、納税猶予相続税額に見合う担保を提供することが必要である。
なお、納税猶予の適用を受ける非上場株式のすべてを担保として提供した場合は、納税猶予相続税額に見合う担保の提供があったものとみなされる。

② 相続税の申告期限後の5年間(経営承継期間中)

原則として、相続税の申告書の提出期限の翌日から同日以後5年を経過する日までを経営承継期間という。
□年次報告書の提出
経済産業大臣の認定時の要件を引き続き維持していることを記載した「年次報告書」(定款の写し等の一定の添付書類を含む)を毎年1回、各地域の経済産業局長に提出する必要がある。
□継続届出書の提出
引き続き納税猶予の適用を受ける旨や、納税猶予の対象となる非上場株式に係る会社の経営等に関する事項を記載した「非上場株式等についての相続税の納税猶予の継続届出書」を毎年1回、納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

③ 相続税の申告期限から5年経過後

□継続届出書の提出(3年毎)
「非上場株式等についての相続税の納税猶予の継続届出書」を、3年ごとに1回、納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

④ 後継者が死亡等した場合の取扱い

次のいずれかに該当することとなった場合には、それぞれに掲げる相続税が免除される。
□後継者が死亡した場合
納税猶予相続税額に相当する相続税
□経営承継期間の末日の翌日以後、納税猶予の適用を受けた非上場株式を「非上場株式に係る贈与税の納税猶予および免除制度」の適用に係る贈与をした場合
納税猶予相続税額のうち、贈与税の納税猶予の適用に係る非上場株式に対応する部分の額として一定の方法により計算した金額に相当する相続税

なお、上記に該当することになった日から同日以後6ヶ月を経過する日までに、一定の届出書を被相続人の相続税の納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。

【相続税の納税猶予を受けるための主な手続き】

非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例の手続き (3)

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