事業承継の基礎知識 相続・事業承継における不動産と税金

相続・事業承継の対策において、不動産の取り扱いは重要なポイントです。不動産の購入、保有、売却にかかわる税金について解説します。

(4) 不動産を売却したときの税金 

 

◆不動産の売却益と所得税・住民税

土地や建物を売却した場合には、売却資産の所有期間により、「短期」または「長期」に区分し、他の所得と分離して所得税・住民税を計算する。

□所有期間5年以下での売却:短期譲渡所得

・短期譲渡所得に対する税率は、一律39.63%。
・短期譲渡所得とは、土地や建物を売却した年の1月1日時点での所有期間が5年以下である場合の譲渡所得をいう。
・政策的見地から長期所有の場合に比べて税金が重くなる。

【短期譲渡所得に対する課税イメージ】
【短期譲渡所得に対する課税イメージ】

□所有期間5年超での売却:長期譲渡取得

・長期譲渡所得に対する税率は、10年超所有軽減税率の特例を受けない場合、一律20.315%。
・長期譲渡所得とは、土地や建物を売却した年の1月1日時点での所有期間が5年超である場合の譲渡所得をいう。
・長期所有したことにより得た利益であることを考慮して、短期所有の場合に比べて税金が軽減されるよう配慮されている。

【長期譲渡所得に対する課税イメージ】
【長期譲渡所得に対する課税イメージ】

◆不動産の売却損と所得税・住民税

土地や建物を売却して生じた売却損は、同一年の給与所得等の他の所得との損益通算や翌年以降の繰越控除が認められない。

□損益通算が可能なもの

土地や建物等を売却して生じた売却損については、同一年の土地・建物等の売却益と通算することができる。
【損益通算可】

□損益通算が不可能なもの

上記の通算を行って、なお損失が残ったとしても、総合課税の譲渡所得(例えば、ゴルフ会員権の売却による所得等)との通算も、給与所得等の他の所得との損益通算もできない。
【損益通算不可】

□売却損の繰越し

上記の通算を行ってもなお損失が残ったとしても、青色申告者の純損失の繰越控除の適用はなく、翌年以降に繰越すことはできない。
【翌年以降への繰越不可】

□居住用不動産の特例

居住用不動産を売却した場合には、一定の要件を満たすことで売却損を損益通算または繰越控除できる特例がある。

◆所有期間による税率の違い(低率分離課税)

・居住用不動産を売却した場合の税率は、所有期間によって異なり、具体的には以下のとおり。

【所有期間による税率の違い】
【所有期間による税率の違い】

【所得税等の税率の内訳】
【所得税等の税率の内訳】

□所有期間が10年超の居住用不動産の低率分離課税

所有期間が10年超の居住用不動産については、「3,000万円特別控除と低率分離課税」または「居住用不動産の買換特例」のいずれか一方の適用となる。
具体的な計算方法は以下の通り。

【所有期間が10年超の居住用不動産の計算例】
【所有期間が10年超の居住用の不動産の例】

◆用語説明

□所有期間

居住用不動産の売却に係る税金の計算上、「所有期間」とは、その居住用不動産を取得した日の翌日から、売却した年の1月1日までの期間をいう。
実際に売却した日までの期間ではないので注意が必要。
なお、相続・贈与により取得した場合には、元の所有者(被相続人や贈与者)の取得日を引き継ぐ。
父から相続した土地・建物を売却する際の所有期間は、父が取得した日から子どもが売却する年の1月1日までの期間。

□「売却損益」の計算

「売却損益」は、「売却金額」から「取得費+売却費用」を控除した金額です。「居住用建物の取得費」は購入(建築)価格ではなく、「購入(建築)価格から、所有期間に応じた価値減少分(一定の方法により計算)を控除した金額」。

 
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