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事業承継の基礎知識 有価証券の税務・会計

法人税法は有価証券を次のように定義しています。 有価証券とは「金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式または出資および法人税法第61条の5第1項に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。」

(4) 有価証券に係る利子・配当等

利子・配当等に関する税務の概要

法人が保有する有価証券に係る利子・配当等は、当該法人の収益を構成するが、一定の受取配当等に関しては法人税の課税所得計算上、益金不算入の制度がある。利子・配当等について、所得税の源泉徴収の制度がある。源泉徴収された所得税は、当該利子・配当等を収入した法人において、法人税額の計算上控除することができる。

利子・配当等の収益計上時期
(1)利子の収益計上時期

①原則的な取り扱い(発生主義)
税務上、有価証券から生じる利子は会計上と同様に、原則として発生主義により、その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する。従って、利払日前に決算日が到来した場合には、その利子計算期間の経過日数に応じた未収利息の額を収益計上することになる((6) 有価証券投資の設例 仕訳編【設例】―割引発行された国内公社債の期末処理(アキュムレーション、未収利息の計上)―参照)。

②例外的な取り扱い(利払期基準)
主として金融および保険業を営む法人以外の法人については、継続適用を条件として、利払期日が到来した利子の額をその利払期日の属する事業年度の益金の額に算入することができる(ただし、その利払期日が1年以内の一定期間ごとに到来するものに限る)。
ただし、借入金とその運用資産としての有価証券等がひも付きの見合い関係にある場合のように、その借入金に係る支払利子の額と運用資産から生じる利子の額を対応させて計上すべき場合には、上記例外的な取り扱い(利払期基準)は適用できない((6) 有価証券投資の設例 仕訳編【設例】―国内公社債(新規発行)に係る利息を受け取った場合―参照)。

(2)配当等の収益計上時期

法人が受ける剰余金の配当等(剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、特定目的会社に係る中間配当金、投資信託の収益の分配)の額の収益計上時期は原則として下表の通りであるが、その支払のために通常要する期間内に支払いを受ける剰余金の配当等の額について、継続してその支払を受けた日の属する事業年度の収益とすることが認められている(現金基準)。

【剰余金の配当等の収益計上時期(原則的な取り扱い)】
【剰余金の配当等の収益計上時期(原則的な取り扱い)】
※1 配当落ち日に未収配当金の見積計上をしている場合であっても、当該未収配当金の額は、未確定の収益として当該配当落ち日の属する事業年度の益金の額に参入しない。
※2 個別元本方式による公社債投資信託以外の追加型証券投資信託に係る特別分配金については、元本の払戻しとしての性格を有することから、収益分配金として収益計上するのではなく、追加型証券投資信託の帳簿価額を減額する処理を行うことになる。

源泉徴収と税額控除

有価証券に係る利子・配当等は、支払者が利子・配当等に係る所得税を控除(源泉徴収)し、源泉徴収後の金額が支払われる。法人が有する有価証券に係る主な利子・配当等の源泉徴収税率は下表の通りである。

【法人が有する有価証券に係る主な利子・配当等(投資信託に係る収益分配金を除く)の源泉徴収税率】

【法人が有する有価証券に係る主な利子・配当等(投資信託に係る収益分配金を除く)の源泉徴収税率】
※1 平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生じる利子・配当等については、当該所得に対する所得税に係る基準所得税額に100分の2.1の税率を乗じて計算した復興特別所得税が追加で源泉徴収される。

 【法人が有する投資信託に係る収益分配金の源泉徴収税率】
<国内投資信託>
【法人が有する投資信託に係る収益分配金の源泉徴収税率 国内投資信託】
※1 原則、買取請求は行っていない。
※2 特別分配金(受益者毎の元本の払い戻しに相当する部分)については、課税されない。
※3 平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生じる利子・配当等については、当該所得に対する所得税に係る基準所得税額に100分の2.1の税率を乗じて計算した復興特別所得税が追加で源泉徴収される。なお、上表の源泉徴収税率は復興特別所得税を加味した税率となっている。

 【法人が有する投資信託に係る収益分配金の源泉徴収税率】
<外国投資信託>
【法人が有する投資信託に係る収益分配金の源泉徴収税率 外国投資信託】
※1 平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生じる利子・配当等については、当該所得に対する所得税に係る基準所得税額に100分の2.1の税率を乗じて計算した復興特別所得税が追加で源泉徴収される。なお、上表の源泉徴収税率は復興特別所得税を加味した税率となっている。

原則として、利子・配当等に係る源泉徴収税額は当該利子・配当等を収入した法人の法人税の申告にあたり、納付すべき法人税の額から控除することができ、納付すべき法人税の額から控除しきれない場合には還付を受けることができる。

【所得税額控除の対象となる利子・配当等の種類】

【所得税額控除の対象となる利子・配当等の種類】

法人税の申告に当たって控除できる金額の計算方法には、原則的方法と簡便的方法の2つがある。これらの計算方法には継続適用の定めがなく、事業年度ごとにいずれかの計算方法を選択することができるので、各事業年度において計算を行う法人にとって有利な計算方法を選択することができる。具体的な計算方法は以下の通りである。

【原則的方法】
元本の銘柄ごと、所有期間の月数ごとに以下の算式により計算を行う。
【原則的方法】
(注)小数点以下3位未満の端数は切上げて計算する。

【簡便的方法】
簡便的方法では、源泉徴収所得税額に配当等の計算期間内における元本所有数が計算期間終了時における元本所有数に占める割合を乗じて、控除可能な源泉徴収所得税額を計算する。
なお、簡便的方法を採用する場合は、計算対象となる配当等の元本を「株式・出資」「集団投資信託の受益権」「割引債の償還差益」の3種類に区分し、かつ配当等の計算期間が1年超と1年以内のものに区分して、銘柄ごとに次の算式により計算する。
【簡便的方法】
A:利子配当等の計算期間の開始時における元本の所有数
B:利子配当等の計算期間の終了時における元本の所有数
(注1)小数点以下3位未満の端数は切上げて計算する。
(注2)BがAに満たない場合は、「源泉徴収所得税額」に乗ずる割合を1とする。

なお、原則法によるか簡便法によるかの選択は、上記2つの元本の種類ごとに、かつ、利子配当等の計算期間ごとに行う。そのため、元本の種類および利子配当等の計算期間を同じくする場合、銘柄ごとに計算方法を変える(例えば、株式・出資区分で配当等の計算期間が1年以内のA銘柄とB銘柄を有している場合、A銘柄は原則法を、B銘柄は簡便法を採用する)ことはできないので注意が必要である。

受取配当等の益金不算入

法人が保有する有価証券に係る受取配当金は、会計上、当該法人の収益を構成するが、一定の条件の基に法人税の課税所得計算上、益金の額に算入しないこととされている。この受取配当等の益金不算入制度は、配当等の支払側において既に法人税が課され、受け取った法人側で再び課税することになる「二重課税」を排除するために設けられているものである。

益金不算入額の計算方法

受取配当等の益金不算入額は、以下の算式により計算した金額の合計額となる。

【益金不算入額の計算方法】
【益金不算入額の計算方法】
※1 連結納税制度を適用している連結グループ内の他の内国法人の株式または出資のうち一定の要件を満たすものをいう。
※2 法人とその支払いを受ける配当等の額を支払う他の内国法人との間に、配当等の額の計算期間の開始の日から当該計算期間の末日まで継続して完全支配関係があった場合等の当該他の内国法人の株式等をいう(詳細は「グループ法人税制とは」参照)。
※3 他の内国法人の株式等を配当の計算期間(前回の配当基準日の翌日から今回の配当基準日まで)において、1/3超継続して保有している株式等をいう。
※4 上記※1、2、3、5以外の株式等をいう。
※5 配当基準日において、配当等の額を支払う他の内国法人の株式等の保有割合が5%以下で上記※1、2以外の株式等をいう。
※6 特定株式投資信託は、租税特別措置法により定められた投資信託で信託財産を株式のみに投資すること、無期限の証券投資信託であること、信託契約の一部解約が認められない代わりに証券取引所に上場され市場での売買が可能であること、受益証券と信託財産中の株式との交換が認められることにより両者の類似性および当該受益証券の価額と株価指数の連動性が担保されていること、等の特徴が求められる。

なお、受取配当等の益金不算入の取り扱いは、原則として確定申告書、修正申告書または更正請求書に適用金額を記載した書類の添付がある場合等に限り適用される。

益金不算入となる受取配当等の内容

受取配当等のうち益金不算入制度の適用対象となるものおよびならないものの主なものは、次に示す通りである。

【益金不算入制度の適用対象となる受取配当等の範囲】
【益金不算入制度の適用対象となる受取配当等の範囲】
※1 特定株式投資信託の収益の分配は、特定株式投資信託が信託財産が株式により構成されていること、無期限の証券投資信託であること、信託契約の一部解約が認められない代わりに証券取引所に上場され市場での売買が可能であること、受益証券と信託財産中の株式との交換が認められることにより両社の類似性および当該受益証券の価額と株価指数の連動性が担保されていること、等の特徴を有していることから、株式に係る剰余金の配当と同様に受取配当等の益金不算入の対象となっている。

【上表についての留意点】
①利益の処分・剰余金の分配等に関して
益金不算入とならない外国法人からの剰余金の配当には、外国子会社からの配当は含まれない。これは、外国子会社から受ける配当等の額の95%相当額が益金不算入となるためである。詳しくは「外国子会社配当金益金不算入制度」にて説明する。
また、上表中の「短期所有株式等の配当金」については、以下算式により短期所有株式等の数を計算し、短期所有株式等の数に1株または1口当たりの配当等の額を乗じた金額が、益金不算入の対象外となる。

【短期所有株式等の配当金の計算方法】
【短期所有株式等の配当金の計算方法】

②投資信託の収益の分配等に関して

追加型(オープン型)株式投資信託の特別分配金は元本の一部払戻しと考えられるため、配当等として取り扱わずに帳簿価額の減額処理を行う((6) 有価証券投資の設例 仕訳編【設例】―追加型公募株式投資信託を購入した場合――追加型公募株式投資信託に係る収益分配金を受け取った場合―参照)。

控除負債利子

関連法人株式等に係る受取配当等の益金不算入額の計算上、その事業年度に支払う負債利子がある場合は、受取配当等の金額から当該負債の利子の金額のうち一定の計算方法により算出した額(控除負債利子)を控除する。

(1)受取配当等から控除される利子の範囲

税務上、控除負債利子の対象となる負債利子には、通常の支払利子だけでなく手形の割引料等その性格が利子的なものも含まれる。

(2)控除負債利子の計算方法

控除負債利子の計算方法には、①当事業年度の負債利子の金額に総資産に占める株式等の割合を乗じて計算する「原則法」と、②当事業年度の負債利子の金額に、基準事業年度の負債利子の合計額に占める①の方法により計算した基準年度の控除負債利子の合計額の割合を乗じて計算する「簡便法」の2つがある。
なお、計算方法について継続適用の定めはなく、事業年度ごとにいずれか有利となる方法を選択することができる。

【原則法による算出式】
【原則法による算出式】
※連結法人に支払う負債利子は除く。

【簡便法による算出式】
【簡便法による算出式】
※基準年度とは、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの期間に開始する事業年度をいう。

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