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事業承継の基礎知識 有価証券の税務・会計

法人税法は有価証券を次のように定義しています。 有価証券とは「金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式または出資および法人税法第61条の5第1項に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。」

(1) 有価証券投資に関する税務

有価証券投資に関する税務の概要

法人税の課税所得計算上、有価証券投資に関連して生じる損益として、以下のものがある。
①有価証券の保有時:評価損益および利子・配当等に係る損益
②有価証券の譲渡時:譲渡損益およびみなし配当

有価証券の保有時に生じる損益(損金または益金)には、次のものがある。
①評価損益
②利子・配当等に係る損益

有価証券の譲渡時に生じる損益(損金または益金)には、次のものがある。
①譲渡損益
②みなし配当(株式の発行法人が自己株式を取得した場合のみなし配当について、(3) 有価証券の譲渡損益「譲渡損益の計算と計上時期」にて詳しく取り扱う。)

【金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券】
【金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券】

【政令(法人税法施行令第11条)で定める有価証券】
【政令(法人税法施行令第11条)で定める有価証券】

公共法人等の有価証券投資と税金

法人税法は、普通法人をはじめとして法人の種類を列挙しており、法人の種類により、所得に対する税務上の取り扱いが異なる。公共法人、公益法人等に対しては、原則として法人税および所得税が課されないが、公益法人等が行う有価証券投資に対し、法人税および所得税が課される場合がある。公益法人等が有価証券投資を行う場合には、有価証券等を収益事業とは区分して経理すると、運用損益は益金または損金に算入されない。

【各種法人とその所得の法人税・所得税上の取り扱い】
【各種法人とその所得の法人税・所得税上の取り扱い】
※1 収益事業に属する利子等に対して課された所得税の額があるときには、その所得税の額は法人税の申告に際して、法人税の額から控除することができる。
※2 一定の要件を満たした場合には、源泉徴収された所得税につき還付を受けることができる。

公共法人の有価証券投資に関する税務の概要

公共法人とは、法人税法別表第一に挙げられている法人をいい、代表的なものとして地方公共団体や地方独立行政法人等がある。
公共法人はその活動内容の公共性の高さゆえに納税義務を負っていない。そのため、公共法人が有価証券投資を行って得た課税所得に対しても法人税は課税されない。
また、公共法人は所得税法上も非課税法人とされているから、有価証券投資により得た利子・配当等に係る所得税も源泉徴収されない。

ただし、公社債等(特定株式投資信託を除く)に係る利子等については、
①当該公社債等が、「社債、株式等の振替に関する法律」に規定する振替口座簿への記載または記録その他の政令で定める方法により管理されており、かつ
②政令で定めるところにより、当該公社債等の利子等につきこれらの規定の適用を受けようとする旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、当該公社債等の利子等の支払をする者を経由して税務署長に提出した場合に限り、所得税は課されない。

公共法人であっても昭和63年4月1日以後に発行された割引債につき支払いを受けるべき償還差益については発行時に18.378%(復興特別所得税を含む)の源泉所得税が課される。ただし、この場合においても、その割引債の発行者に対し、租税特別措置法第26条の13第5項に記載されている事項を記載した還付請求書に当該割引債の取得年月日を証する書類を添付し提出することで、当該割引債を保有していた期間に対応する源泉所得税の還付を受けることができる。なお、平成28年1月1日以後に発行される割引債につき支払を受けるべき償還差益については源泉徴収が行われない。

公益法人等の有価証券投資に関する税務の概要

公益法人等とは、法人税法別表第二に掲げる法人をいい、代表的なものとして公益社団法人および公益財団法人、一般社団法人および一般財団法人のうち非営利型法人等がこれに該当する。これらの公益法人等は、収益事業から生じた所得以外の所得に対し課税がされない等、普通法人と異なった取り扱いがされる(「公益法人等の税務」参照)。

なお、政令で限定列挙されている収益事業の中には有価証券投資は含まれておらず、有価証券投資そのものは収益事業に該当しない。しかし、収益事業により得た所得でそのまま有価証券投資を行う場合、政令で定める収益事業に「付随して行われる行為」として、有価証券投資から得られた損益が所得の金額の計算上益金または損金に含められ、結果として法人税が課される可能性がある。

ただし、この場合も一定の経理を行うことで、有価証券投資による運用損益を益金または損金に算入しなくてもよいこととされている(「公益法人等における有価証券投資に係る区分経理」参照)。

また、公益法人等については、所得税法上も非課税法人となっているので、公共法人の場合と同様に、有価証券投資の結果得られた利子等からは所得税が源泉徴収されない。

ただし公益法人等のうち、一般社団法人および一般財団法人については、源泉所得税の非課税に関する取り扱いはないので、普通法人が利子等を受け取った場合と同様に、一定の所得税が源泉徴収されることになる。ただ、この場合でも収益事業に付随して行われる有価証券投資から生じた利子等に係る源泉徴収所得税は、法人税の申告にあたって法人税の額から控除することができる。

なお、公益法人等が割引債等を購入した場合の源泉所得税については、公共法人の場合と同じ取り扱いになる(「公共法人の有価証券投資に関する税務の概要」参照)

公益法人等の税務

ここでは、公益法人、一般法人(非営利型法人・特定普通法人)の税金について解説する。それぞれの税務上の取り扱いは下記の通りである。

【公益法人、一般法人の税務上の取り扱い】
【公益法人、一般法人の税務上の取り扱い】
(注1) 表中の「法人税の税率」のカッコ書きは軽減税率である。軽減税率は本則19%であるが、平成24年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する事業年度については、15%が適用される。
(注2) 平成30年4月1日以後に開始する事業年度の法人税率は、23.2%である。

(1)公益法人(公益社団法人・公益財団法人)
公益法人に対する法人税の課税は、「収益事業課税」となる。
収益事業課税とは、収益事業から生じた所得に対してのみ課税する課税方法をいう。ここにいう収益事業とは、法人税法に定められている34の業種に限定されている。ただし、法人税法上の34業種に該当する事業であっても、公益目的事業※に該当すれば、その事業は、法人税の課税対象にはならない。
また、公益法人が保有する株式等から生じた配当等や預金利息については、源泉所得税は課税されない。
※公益法人認定法第2条第4項に規定する公益目的事業

(2)一般法人(非営利型法人である一般社団法人・一般財団法人)
非営利型法人である一般法人に対する法人の課税は、公益法人と同様、法人税法上、公益法人等として取り扱われるので、「収益事業課税」となる。ただし、非営利型法人は、その公益性が法的に担保されているわけではないことから、その運営体制については、法人税法に規定する要件を充たす必要がある。また、非営利型法人が保有する株式等から生じた配当等や預金利息については、源泉所得税が課税される。

(3)一般法人(特定普通法人である一般社団法人・一般財団法人)
特定普通法人である一般法人に対する法人税の課税は、法人税法上、普通法人として取り扱われるので、「全所得課税」となる。全所得課税とは、全ての事業から生じた所得を課税対象とする課税方法をいう。また、特定普通法人が保有する株式等から生じた配当等や預金利息については、源泉所得税が課税される。

公益法人等における有価証券投資に係る区分経理

公益法人等が収益事業により得られた所得で有価証券投資を行う場合、当該有価証券等を「収益事業以外」の事業に属する資産として区分経理することで、当該有価証券投資を政令で定めるところでいう「付随して行われる行為」に含めないことができる。つまり、区分経理を行うことにより、有価証券等の運用損益が収益事業に係る所得の金額の計算上、益金または損金の額に算入されない。
区分経理をするための要件は特にないが、区分経理をした場合、当該有価証券等の金額は、税務上収益事業から収益事業以外の事業に対する寄付金(みなし寄付金)として取り扱われる。そのため、収益事業に係る所得の金額の計算上、「寄付金の損金不算入」の取り扱いに従うことになり、他の寄付金の額と合わせて一定の限度額を超えた金額については、損金の額に算入されないため注意が必要である。

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