事業承継の基礎知識 事業承継における非上場株式の問題と税金

オーナー経営者の事業承継で最も気を払わなければならないのは、自社株式の承継とそれにかかる税金の問題です。非上場株式の評価方法は一筋縄には行きません。また、承継先によって評価方法が異なるという制度の仕組みも直感に反します。避けては通れない自社株式の特徴とその取扱いについて解説しています。

(5) 種類株式の評価額

 

◆種類株式とは

会社法では9つの異なる内容の株式の発行を認めている。
種類株式発行に係る会計・税務は新株発行の場合と同様である。

□種類株式とは
会社法では、株式は同一の内容であることを原則としつつも、例外として、一定の範囲と条件の基で普通株式とは異なる内容の株式の発行を認めている。
このような株式を種類株式という。

普通株式に加えて種類株式を発行する場合には、その種類株式の内容等を定款で定める必要がある。
なお、種類株式を発行する場合の定款変更には株主総会の特別決議が必要となる。

【種類株式の一覧表】
【種類株式の一覧表】

□種類株式発行会社の会計・税務
種類株式発行会社の会計および税務は、新株発行会社の会計および税務と同様の処理となる。

◆種類株式の評価ルール

会社法では会社は2種類以上の株式を発行することができます(この場合のそれぞれの株式を種類株式という。
相続税評価額が定められている種類株式を紹介する。

□配当優先株式
剰余金の配当を他の株式よりも優先的に受け取ることができる権利が与えられた株式をいう。
 「同族株主等」が取得した配当優先の株式の価額について「類似業種比準価額方式」により評価する場合には、「1株当たりの配当金額」は、株式の種類ごとに計算する。
なお、「純資産価額」」により評価する場合は、配当優先の有無に関係なく、通常通りに評価する。

□無議決権株式
株主総会における議決権を有しない株式をいいます。(1)の配当優先株式と組み合わせて、配当優先の無議決権株式を発行するケースが多い。
なお、議決権を全く有しない無議決権株式の他、一部の議決権を制限する株式もある。
無議決権株式の評価方法は、議決権を有する株式と同じである。

ただし、「同族株主等」が無議決権株式を相続または遺贈により取得した場合(贈与では適用できない)には、次の条件をすべて満たす場合に限り、下記のように評価することを選択できる。

無議決権株式については、「原則的評価方式」により評価した価額から、その価額に5%を乗じて計算した金額を控除した金額により評価する。
ただし、相続または遺贈により議決権のある株式を取得した「同族株主等」の議決権のある株式の価額は、「原則的評価方式」により評価した価額に、当該無議決権株式の評価上控除した金額を加算して評価する。
つまり、相続人(同族株主等)全体の相続税評価額は変わらない。

(条件)
・当該会社の株式について、相続税の申告期限までに、遺産分割協議が確定していること
・当該相続または遺贈により当該株式を取得したすべての「同族株主等」から、相続税の申告期限までに、上記の評価方法により申告することについての届け出書が所轄税務署長に提出されていること など

□社債類似株式
「一定の期日」に「発行価額」により株式会社がその株式の全部を償還(取得)する旨の取得条項が付された種類株式をいい、あらかじめ定められた事由が生じた場合には、株主の意思に関係なく、その株式は買い取られる。
なお、評価方法が明確化された社債類似株式については配当金を優先して分配し、議決権を有していないことが前提となる。

次の条件を満たす社債類似株式については、利付公社債の評価に準じて評価する。
ただし、既経過利息に相当する配当金の加算は行わない。
なお、社債類似株式を発行している会社の社債類似株式以外の株式の評価にあたっては、社債類似株式を社債として計算する。

(条件)
・配当金については優先して分配する
・一定期日において、発行会社は本件株式の全部を発行価額で償還する
・議決権を有しない
・他の株式を対価とする取得請求権を有しない など

□拒否権付株式(黄金株)
株主総会などにおける決議事項について拒否権を発動できる株式をいう。
別名「黄金株」ともいわれます。拒否権付株式を発行している場合には、株主総会などでの決議の他、拒否権付株式を所有する株主の株主総会での決議が必要となる。
つまり、この株式1株で多数の株主に対抗できる株式といえる。
拒否権付株式については、拒否権を考慮せずに普通株式と同様に評価する。

 
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