事業承継の基礎知識 事業承継における非上場株式の問題と税金

オーナー経営者の事業承継で最も気を払わなければならないのは、自社株式の承継とそれにかかる税金の問題です。非上場株式の評価方法は一筋縄には行きません。また、承継先によって評価方法が異なるという制度の仕組みも直感に反します。避けては通れない自社株式の特徴とその取扱いについて解説しています。

(8) 非上場株式の贈与と税金

 

オーナー経営者から後継者に対する自社株の贈与については、次の3つの方法がある。
・「暦年単位課税」による贈与
・「相続時精算課税制度」を選択して行う贈与
・「非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度」の適用を受けて行う贈与
暦年単位課税は、誰に贈与するかによって贈与税が異なる。

◆暦年課税による贈与

1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた金額(金銭以外の資産の贈与を受けた場合は、贈与時の相続税評価額)が110万円(贈与税基礎控除)を上回る場合、上回る部分に対して贈与税がかかる。

贈与財産は、以後受贈者の財産であるため、将来贈与者が亡くなった場合相続税の対象にはならない。
ただし、「生前贈与加算」という相続税計算ルールがあり、相続開始前3年以内に被相続人から相続人等(相続または遺贈により財産を取得した者)が贈与を受けた財産は相続税計算の対象にし、その贈与に対応する贈与税は相続税から控除する。

【贈与税速算表】
【贈与税速算表】

◆「相続時精算課税制度」を使った自社株式の贈与

相続時精算課税制度は、60歳以上の親または祖父母から20歳以上の子ども等の推定相続人または孫(推定相続人に限らない)に対する贈与について選択適用できる制度である。

贈与税申告期限までに「相続時精算課税制度」の適用を受ける旨の届出および申告をした場合は、その贈与者からその受贈者への贈与については、贈与財産累計2,500万円までは贈与税ゼロ、2,500万円を上回る部分に一律20%の贈与税がかかる。

ただし、相続時精算課税制度を選択して贈与した財産は、必ず贈与者死亡時に相続財産とみなされ相続税の対象に取り込まれる。
そして過去に支払った一律20%の贈与税は相続税から控除(精算)される(贈与税を払い過ぎの場合は、還付される)。
なお、「60歳以上・20歳以上」かどうかは贈与年1月1日時点で判定する。
相続時精算課税制度を使って贈与できる財産に制限はない。
金銭でも株式でも不動産でも何でも対象である。

贈与財産は必ず相続税の対象に取り込まれるが、その際の評価額は「贈与時の評価額」である。
つまり、自社株の評価額の上昇が見込まれる場合は、株価の低い時に相続時精算課税制度を使って贈与しておけば、以後どんなに評価額が高くなっても、相続税計算上の評価額は贈与の際の低い評価額となる。
逆に、贈与時点より相続発生時の方が自社株の評価額が低くなった場合は、贈与時の高い評価額で相続税が計算される点に留意する必要がある。

相続時精算課税制度を使った場合の、贈与金額(または贈与時の相続税評価額)累計と、それに係る贈与税は以下の通りである。

相続時精算課税制度による贈与税の計算式:
贈与税={贈与金額(累計)-2,500万円}×20%

【相続時精算課税制度による贈与税の計算例】
【相続時精算課税制度による贈与税の計算例】

なお、「相続時精算課税制度」を選択する場合は、贈与年の翌年3月15日までにその届出・申告が必要なこと、そして、一度選択すると同じ贈与者からの贈与については相続時精算課税制度による贈与となるため少額であっても贈与税申告が必要なこと、一度選択すると撤回はできないこと等の留意点がある。

 
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