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2020/09/14

テーマ: 03.海外

中国におけるオンライン教育業界の動向

目次

1.中国オンライン教育業界概要

業界の定義

オンライン教育とは、インターネットを通して遠隔で行われる教育形態のことで、ユーザーの年齢層やニーズに応じて、主に早期幼児教育、K12教育、高等教育、職業教育、語学教育、素質教育に分けられる。

市場構造を見ると、高等教育および職業教育が全体の約70%を占めている。これは、大学生・社会人の購買力が高いこと、競争が激化する労働市場での差別化を図ろうと資格試験対策や英語学習等の需要が高いこと等が理由である。
一方、激しい学歴競争と教育出費の増加を背景として、近年K12教育の分野が急成長している。

市場規模とユーザー数

教育熱の高まりやインターネットの普及率上昇に伴い、2018年の中国オンライン教育市場規模は2,518億元、ユーザー数は2億人となり、2020年には市場規模が3,807億元、ユーザー数3億人に達することが見込まれている。

業界構造

中国オンライン教育業界における川上はコンテンツ提供者および学習管理・学習測定・授業補助等のための技術提供者、川中はオンライン教育サービス提供者、川下は学生・企業等のエンドユーザーとなっている。

2.中国主要オンライン教育サービスおよび代表企業事例

主要サービス一覧

近年、中国オンライン教育業界へ多くのスタートアップ企業等が参入したことで、大小様々なプレイヤーが乱立しており、業界における競争が激しくなっている。

 

代表企業 新東方在線

新東方在線は、英語をはじめ様々な分野で学習塾等を展開する教育大手の新東方教育科技グループが2005年にリリースしたオンライン教育サービスである。2019年には香港証券取引所に上場を果たしている。

新東方在線のサービスは、就学前教育、K12教育、高等教育、機構向け教育と幅広い分野をカバーしており、売上・ユーザー数ともに拡大を続けている。オフラインの学習塾で培った教材・授業コンテンツを持っていることが大きな強みとなっている。

代表企業 学而思網校

学而思網校は、小・中学生向けをはじめ様々な分野で学習塾等を展開する教育大手の好未来グループが運営するオンライン教育サービスである。利用対象者は6~18歳までで、小・中・高における全課程の授業・補習を提供し、ユーザーは中国全土で200以上の都市に及んでいる。

学而思網校の強みは、オフラインの学習塾で培った充実のコンテンツと4,800以上に及ぶ多様なカリキュラムである。
また、他機関と提携するなど、新たな技術の研究開発にも積極的に取り組んでいる。

 

3.中国オンライン教育業界への外資参入規制

外資参入規制

中国でオンライン教育事業を行うためには、「ICPライセンス」、「インターネット文化経営許可証」、「ラジオ・テレビ番組制作経営許可証」の取得が必要であるが、各許認可の取得にあたって、外資に対する制限・禁止項目があり、現状外資単独による中国オンライン教育業界への参入は難しい。

外資企業の中国における展開状況

前述の通り、外資単独による中国オンライン教育業界への参入は難しいものの、現地企業との提携を通じて、中国でオンライン教育事業を展開している外資企業もある。

4.中国オンライン教育業界のトレンド

科学技術の発展に伴う業界成長

オンライン教育業界の成長には、科学技術の進歩が密接に関係しており、今後5Gの普及やAI技術等の発展に伴うサービス品質とユーザー体験の向上によって、更なるオンライン教育業界の成長促進が期待される。

 

支援政策や法整備による業界促進

2018年以降、中国政府はオンライン教育業界の健全な発展のため、「インターネット+教育」の積極的な推進とオンライン教育における教師・カリキュラム等の規範化など、支援政策の打ち出しや法整備を行ってきた。

オンライン教育とオフライン教育の融合

新型コロナウイルスの影響で、各学校が休校措置を取ったことにより、オンライン授業の導入や在宅学習が増加し、オンライン教育の更なる利用が進んだ。今後は、従来のオフラインとオンラインが融合した新たな教育モデルであるOMO(Online Merges with Offline)が形成されていくだろう。

PEST分析

おわりに

  • 教育熱の高まりやインターネットの普及率上昇に伴い、中国オンライン教育市場は順調に成長を続けてきた。
  • 市場構造においては、高等教育および職業教育が全体の約70%を占めている。激しい学歴競争と教育出費の増加を背景として、K12教育も急成長しており、今後の重点領域となっている。
  • 業界トレンドとしては、2018年以降の中国政府による支援政策・法整備の推進、オフラインとオンラインが融合した新しい教育モデル(OMO)の形成および科学技術の発展に伴うサービス品質とユーザー体験の向上があり、今後更なるオンライン教育業界の成長促進が予想されている。
  • このような背景を受けて、中国オンライン教育業界へは多くのスタートアップ企業等が参入し、業界における競争が激しくなっているが、今後の生き残りを掛けては、他社と明確に差別化できる優秀な教師や良質なコンテンツ、技術を活用した学習管理システム等の導入および新技術の研究開発が鍵となってくる。
  • 現時点で、外資独資による中国オンライン教育業界への参入は、外資に対する制限・禁止項目があり難しいが、関連許可証やネットワークを有する現地企業との提携を通じて、良質なコンテンツ開発・教育事業運営等に関するコンサルティングやオンライン教育関連サービスに関する共同開発・技術支援など、日本企業独自の教育ノウハウ等の強みを活かした事業展開において参入チャンスがあると言えるだろう。

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