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2020/09/16

テーマ: 03.海外

インドの中古車市場

目次

Chapter 1: インドの自動車市場

概要

インド自動車市場は、メーカー系列のディーラーの強力な販売力に支えられ、販売台数で世界最大規模を誇る。

自動車国内販売台数は、2015年度から2018年度までの年平均成長率が7.06%と堅調な伸びを示している。
この間約2,050万台から約2,630万台に増加した。

二輪車: 販売台数は2,120万台で全体の8割を占める。

乗用車: 二輪車に次いで2番目に大きな割合(13%、340万台)を占める。ほとんどが中・小型車である。

商用車: 販売台数は100万台で4%を占める。

Chapter 2: インドの中古車市場

概要

中古車市場の規模(販売台数ベース)は、新車市場を上回っている。

2018年度の中古車販売台数(400万台)は、新車販売台数(340万台)より18%多い。
さらに新車市場が減速しているのに対し、中古車市場は2016年度から2019年度にかけて年平均成長率4.66%で拡大している。

 

2018年度の中古車市場の売上高は2,100万米ドルを記録したが、さらに2024年度には4,890万米ドルにまで成長するものと予想されている。

2019年度に金融サービス(ローンなど)を利用して購入された全中古車のうち、主要都市(人口100万人超)での購入の割合が53%を占めた。

Chapter 3: 中古車市場の動向

チャネル分析

インドにおける中古車の取引は、主に市場取引とC2C(消費者間取引)の二つに分類できる。

Cars24やOlxCashMyCar(OLXの子会社)などが新たに市場に参入し、大手独立系チャネルの店舗数の割合は2011年度から2017年度にかけて16ポイント拡大したが、2017年度から2019年度にかけては2ポイント縮小した。

自動車販売金融サービスの役割

自動車販売金融サービスはローンやリースなどを提供して、消費者の自動車購入・獲得をサポートする。

中古車購入における金融サービスの利用率は17%で、新車購入の利用率を58ポイント下回る。
自動車販売金融業界は新車購入者を好む傾向にあるが、これは主に中古車取引が中小独立系チャネルによって行われており、購入者の信用状況が疑わしい場合があるためである。

一方、中古車購入に占める金融サービスの利用率は2017年度の15%から2019年度には17%に上昇している。
これは中古車市場にCars24などの新規参入があったことや、自動車販売金融市場の状況が改善したことが関係している。

市場が改善した主な要因として以下の二つが考えられる。

●メーカー系列のプレーヤーはノンバンクのライセンスを有することが多いため、こうしたプレーヤーの増加が自動車販売金融の事業機会の拡大に貢献している。

●中古車市場の拡大に対応するため、銀行が金利を引き下げている(一般的に中古車に対する金利は新車より約5% 高い)。

Chapter 4: 市場のトレンドと見通し

中古車販売・購入の動向

販売されている中古車および中古車需要の大半は、4年~8年と比較的経過年数が浅い。

資産償却のため、6年以上の中古車が最もよく市場に出回る。

走行距離は7万-10万kmの需要が最も高く、10万kmを超えると低下する。

中古車市場全体に占める割合(50%)が最も多いのはハッチバック。
高級車・SUVとセダンの割合はいずれも25%。

■2019年度の中古車市場の特長
・手頃な価格、手入れのしやすさ、売却しやすさなどから、スズキのワゴンRやアルトなど小型ハッチバック(全長4m未満)が半分を占めた。
・中古車愛好家にとって品質に対して値打ちの高い価格で取引される高級車・SUVの割合が増えた。

高級中古車需要の高まり

2017年度に販売された高級中古車の40%はメルセデスだった。
減価償却率の引き上げおよび物品サービス税(GST)率の引き下げが主な成長要因となっている。

OLX(中古品売買のマーケットプレース運営会社)によると、2万536米ドル*を超える高級車の人気が高い。
2017年OLXが掲載した1ヵ月あたりの高級車の数は8,000台から5万5,000台に増加した。
償却に関する懸念はあるものの、品質が高いことから高級中古車の人気は依然として高い。

 

高級車の売上高は2016年度から2017年度にかけて19 %増加した。主な成長要因としては以下があげられる。

●高級車の減価償却費率が引き上げられたこと

●高級車に対する物品サービス税(GST)が28%から18%に引き下げられたこと

●高級車のオーナーが短いサイクル(通常2年)で新モデルにアップグレードしていること

 

自動車ディーラー各社によると、高級中古車の需要は前年比約35-40%で増えている。

高級中古車の購入者の大半がTier-1およびTier-2の都市**に住んでいる。

*換算レート:1米ドル=73.08インドルピー
**「Tier 1都市」は人口10万-100万人、「Tier 2都市」は人口10万人未満の都市を指す

メーカー系列プレーヤーの増加

自動車メーカー系列の相次ぐ市場参入に伴って、メーカー系列の売上への寄与度が高まっている。
一方、オンラインが販売のきっかけとなった比率は2009年度には0%だったのに対し、2019年度には17%を占めるまでになっている。

メーカー系列ディーラーの割合は2009年度にはわずか4%だったが2019年度には18%に増えた。
過去5年間に自動車メーカーの大半が中古車市場に参入している。ルノーは2015年、日産は2017年に参入した。

オンラインポータルも主要都市(人口100万人超)の中古車販売で成果をあげており、2019年度CarDekho、Cars24、Droomなどオンライン販売プラットフォームが17%を占めた。

中古車需要の高まりが複数のプレーヤーを市場に惹きつけ、 メーカー系列チャネルの向上をもたらしている。

Chapter 5: 中古車市場の課題

金融サービス・価格・環境規制

中古車市場が抱える課題は、自動車販売金融サービスを受けるためにかかる費用、あいまいな価格設定、環境規制の変更などである。
持続的な市場の成長にはこうした課題への対応が欠かせない。

 

Chapter 6: 中古車市場の主なプレーヤー

中古車市場の主なプレーヤー

2019年度の中古車市場においては、大手独立系およびメーカー系列が増加した。

ディーラー店舗数の合計は2010年度には2万9,530だったが2017年度には2万8,760に減少した。
中小独立系は、大手独立系やメーカー系列が増加した影響で店舗数が減りつつある。

■2019年度の内訳
中小独立系ディーラー :1万 2,942店(45%)
大手独立系ディーラー :1万 2,654店(44%)
メーカー系列ディーラー: 3,164店(11%)

 

2019年度の1カ月あたりの平均販売台数は、 2017年と比較すると、大手独立系が11%、メーカー系列が12%増加した。

自動車メーカーブランドの信頼性、自動車販売金融の利用しやすさの向上、オンラインプラットフォームの台頭などが販売台数増加の要因となった。

■2019年度販売台数内訳
中小独立系ディーラー: 60万台
大手独立系ディーラー: 70万台
メーカー系列ディーラー :147万台

オンラインポータル:Cars24

オンラインポータル: Maruti True Value

オンラインポータル: Mahindra First Choice

オンラインポータル: CarDekho

Chapter 7: まとめ

2016年度から2019年度にかけて年平均成長率4.66%で拡大したインドの中古車市場は、今後は年平均7-8%で成長するものと予想されている。

以下のような要因から、新車よりも中古車を購入しようという消費者が増えている。

●売買市場のトレンド
新車はインドの最新の排ガス規制に準ずる必要があることが間接的に影響し、中古車と新車の価格差が広がっている
●高級中古車の需要の高まり
手頃な価格で高い品質のものを手に入れられるとして、高級中古車の人気が高まっている

●メーカー系列や大手独立系チャネルの拡大
ディーラー系列や大手独立系のチャネル(ディーラー、オンラインポータル)のネットワーク拡大に伴って中古車市場の動きが活発になっている
●中古車購入への自動車ファイナンスの利用しやすさが向上

中小独立系ディーラーは依然、インドの中古車市場で大きな市場シェアを確保している。

一方、2019年度の中古車購入に占める自動車ファイナンスの利用率は17%であり、今後の成長余地が大きいことは明らかである。

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