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2018/04/10

テーマ: 01.事業承継

(4)親子、祖父母と孫の間の贈与税の非課税対象

贈与税とは 押さえておくべき全知識 (2019年執筆)

贈与税とは、個人間の贈与により財産を取得した者に対して課せられる税金である。贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に、相続時精算課税制度を選択することができる。

(3) 不動産(土地・住宅)にかかる贈与税の控除

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(4)親子、祖父母と孫の間の贈与税の非課税対象

目次

親、祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の控除

→ (3) 不動産(土地・住宅)にかかる贈与税の控除 ◆親、祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の控除を参照

教育資金にかかる贈与税と非課税制度

教育資金贈与における1,500万円の非課税
直系尊属からの教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度がある。30歳未満の人が父母や祖父母等の直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合において、一定の要件を満たすときは、贈与を受けた金銭等のうち最大1,500万円まで、贈与税を非課税とする制度である。
なお、扶養義務者から行われる贈与で、教育費として通常必要と認められる金額を、必要な都度直接これらに充てる場合は、これまでも今後も、贈与税は非課税である。

教育資金の一括贈与の適用要件
【教育資金の一括贈与の適用要件】

贈与者 父母、祖父母等の直系尊属
受贈者 30歳未満である子、孫、ひ孫等の直系卑属
贈与財産 教育資金に充てる金銭等
非課税限度額 受贈者一人につき1,500万円
(そのうち、学校等以外の者に支払われるものについては、500万円)
期間 平成25年4月1日から令和3年3月31日までの間に行われる贈与
申告 受贈者は「教育資金非課税申告書」を、金融機関を経由して所轄税務署長に提出する
なお、提出する上記申告書には、個人番号(マイナンバー)の記載が必要
領収書の提出 受贈者は、教育資金に使った領収書等を金融機関に提出する。
平成28年1月以降、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、領収書等に代えて教育資金の内訳などを記載した明細書を提出することができる

学校等の範囲
【学校等の範囲】
・学校教育法上の幼稚園、小・中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、大学(院)、専修学校、各種学校

・外国の教育施設
外国にあるもの…その国の学校教育制度に位置付けられている学校、日本人学校、私立在外教育施設
国内にあるもの…インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)、外国大学の日本校、国際連合大学

・認定こども園または保育所など

教育資金の範囲
学校等に対して直接支払われる次のような金銭
①入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
➁学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

・学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの

A) 役務提供または指導を行うものに直接支払われるもの
※受贈者が23歳に達している場合は教育訓練給付金の対象となるものに限る
➂教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
➄➂の役務提供または④の指導で使用する物品の購入に要する金銭

B) (A)以外(物品の販売店など)に支払われるもの
⑥②に充てるための金銭であって、学生等の全部または大部分が支払うべきものと学校等が必要と認めたもの
⑦通学定期券代
⑧留学渡航費、学校等に入学・転入学・編入学するために必要となった転居の際の交通費

教育資金にかかる相続税・贈与税の取り扱い
贈与者が亡くなった場合
贈与者が亡くなる前3年以内に、この制度により贈与した教育資金のうち教育資金に使われなかった残額がある場合、その残額は、贈与者の相続財産に含める。
ただし、受贈者が23歳未満等、一定の場合には相続財産に含めない。

受贈者が30歳になった場合
受贈者が30歳になった場合、教育資金に使わなかった残額があるとき(金融機関に提出した教育資金の領収書や明細書の金額の合計額が贈与金額に満たなかった場合)は、その時点で、その残額が贈与者から受贈者に贈与されたものとして贈与税が課される。

受贈者が30歳になる前に亡くなった場合
受贈者が30歳になる前に亡くなった場合、その時点で教育資金に使わなかった残額について贈与税が課税されることはないが、その残額は、その受贈者が残した相続財産となる。

結婚・子育て資金の一括贈与との併用
「直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度」との併用が可能である。

結婚・子育て資金贈与における1,000万円の非課税

直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度
父母や祖父母等の直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合において一定の要件を満たすときは、贈与を受けた金銭等のうち最大1,000万円まで、贈与税を非課税とする制度である。
なお、扶養義務者から行われる贈与で、生活費(治療費や養育費を含む)として通常必要と認められる金額を、必要な都度直接これらに充てる場合は、これまでも今後も、贈与税は非課税となる。

結婚・子育て資金の一括贈与の適用要件
【結婚・子育て資金の一括贈与の適用要件】

贈与者 父母、祖父母等の直系尊属
受贈者 20歳以上50歳未満である子、孫、ひ孫等の直系卑属
贈与財産 結婚・子育て資金に充てる金銭等
非課税限度額 受贈者一人につき1,000万円(そのうち、結婚に際して支出する金銭については、300万円)
期間 平成27年4月1日から令和3年3月31日までの間に行われる贈与
申告 受贈者は金融機関を経由して所轄税務署長に「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出する
なお、提出する上記申告書には、個人番号(マイナンバー)の記載が必要
領収書の提出 受贈者は、結婚・子育て資金に使った領収書等を金融機関に提出する

結婚・子育て資金の範囲
結婚に際して支出する次のような金銭(300万円を限度)
①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の一年前の日以後に支払われるもの)
②家賃・敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)

妊娠、出産または育児に要する次のような金銭
➂不妊治療・妊婦健診に要する費用
④分娩費等・産後ケアに要する費用
➄受贈者の子(小学校就学前)の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など

教育資金の一括贈与との併用
「直系尊属からの教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度」との併用が可能。

結婚・子育て資金にかかる相続税・贈与税の取扱い
受贈者が50歳になる前に贈与者が亡くなった場合
受贈者が50歳になる前に贈与者が亡くなった場合、その時点で結婚・子育て資金に使わなかった残額があるとき(金融機関に提出した結婚・子育て資金の領収書の金額の合計額が贈与金額に満たなかったとき)は、その残額は受贈者が贈与者から相続により取得したものとみなされ相続税の対象となる。
その場合における相続税の計算上、受贈者が2割加算の対象となる孫等であっても、その残額に対応する相続税については2割加算の対象外となる。
この相続税の取扱いについては、「直系尊属からの教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度」とは取扱いが異なるので注意が必要である。

受贈者が50歳になった場合
受贈者が50歳になった場合、その時点で結婚・子育て資金に使わなかった残額があるとき、その残額が贈与者から受贈者に贈与されたものとして贈与税が課される。

受贈者が50歳になる前に亡くなった場合
受贈者が50歳になる前に亡くなった場合、その時点で結婚・子育て資金に使わなかった残額について贈与税が課税されることはないが、その残額は、その受贈者が残した相続財産となる。

生活費・教育費等の資金負担(贈与)と贈与税
「生活費」とはその人が通常の日常生活を送るために必要な費用(教育費を除く)をいい、治療費や養育費等(保険金等で補填される金額を除く)も生活費に含まれる。
また、「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる、学資・教材費・文具費等をいい、義務教育費に限られない。
なお、「通常必要と認められるもの」については、贈与を受けた人の需要と贈与をした人の資力その他一切の事情を勘案して、社会通念上適当と認められる範囲の財産とされており、個々人の事情によって異なる。

生活費や教育費であっても、数年分まとめると、贈与税の対象
生活費や教育費として必要な場合であっても、数年分まとめて渡した場合は贈与税の対象となる。
贈与税の対象とならない生活費や教育費は、「必要な金額を必要な都度直接これらに充てる場合」である。
数年分まとめて渡し、その財産が預貯金や株式、家屋の購入資金等に充てられた場合は、贈与税の対象となる。
ただし、教育費については、「直系尊属からの教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度」が設けられている。

結婚費用の贈与税の対象範囲
結婚式の費用について、その費用を誰が負担するか(子(新郎・新婦)なのか、親(両家)なのか)は、その結婚式の内容、招待客との関係、地域の慣習等の事情に応じて、本来費用負担すべき人が負担していれば、そもそも贈与には当たらない。

また、新婚生活のために、親が家具などを贈与(購入資金を贈与)した場合、それらが結婚後の通常の日常生活のために必要な家具等である場合には贈与税の対象とはならない。

ただし、贈与を受けた金銭が預貯金や株式、家屋の購入資金などに充てられた場合、贈与税の対象となる。
なお、結婚費用については、「直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度」が設けられている。

出産費用の贈与税の対象範囲
前述のように、贈与税の対象とならない「生活費」には「治療費」も含まれるため、子の出産に要する費用で、検査・検診・分娩・入院などの費用を親が負担した場合も贈与税の対象とはならない。
ただし、保険金等で補填される金額を除く。

また、新生児のための寝具・ベビー用品などの購入資金も、新生児の通常の日常生活のために必要なものについては、贈与税の対象外である。

なお、出産費用については、「直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税非課税制度」が設けられている。

家賃負担の贈与税の対象範囲
家賃については、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃を負担し得ないなどの事情を勘案して、社会通念上適当と認められる範囲の家賃を親が負担している場合は贈与税の対象とはならない。

よって、大学生の子が下宿するアパートの家賃を親が払っている場合には贈与税の対象とはならない。
ただし、例えば、資産家の子で高額収入を得ている人が、豪華マンションの高額家賃を親に払ってもらっている場合、社会通念上適当とは認められず、贈与税の対象となる可能性がある。

贈与者 父母、祖父母等の直系尊属
受贈者 下記を満たす子、孫等の直系卑属
・20歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点)
・贈与年の合計所得金額が2,000万円以下
・日本に住所があること
(日本に住所がない場合でも、一定の場合には適用可)
贈与財産 次の用途に充てるための資金
・新築住宅の取得 ・中古住宅の取得 ・一定の増改築等
居住時期 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または、遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
住宅 ・日本国内にある家屋であること
・家屋の床面積が50m2以上240m2以下であること

非課税限度額
非課税限度額は、「契約日」と「消費税率10%が適用されるかどうか」により、次の通り区分される。
【住宅取得等資金の贈与税非課税制度の非課税限度額】

契約日 消費税率10%が適用される場合 左記以外の場合(※)
省エネ・耐震・バリアフリー住宅 一般住宅 省エネ・耐震・バリアフリー住宅 一般住宅
~平成27年12月31日 - - 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日
~令和2年3月31日
- - 1,200万円 700万円
平成31年4月1日
~令和3年3月31日
3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日
~令和3年3月31日
1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
令和3年4月1日
~令和3年12月31日
1,200万円 700万円 800万円 300万円

※ 消費税率8%の適用を受けて住宅を取得等した場合のほか、個人間売買により中古住宅を取得等した場合

非課税制度の適用を受ける場合の贈与税の申告
この非課税制度の適用を受ける場合には、税額がゼロでも、贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の申告が必要である。

生前贈与加算との関係
この非課税制度により非課税とされた贈与金額は、たとえ相続開始前3年以内の贈与であっても、生前贈与加算の対象とはならない。

他の控除額との併用
この非課税制度は、暦年課税の基礎控除額(110万円)、または相続時精算課税制度の特別控除額(2,500万円)と併用できる。
よって、暦年課税の場合には最高3,110万円まで、相続時精算課税制度の場合には、最高5,500万円までの贈与について贈与税をゼロとすることができる。

(3) 不動産(土地・住宅)にかかる贈与税の控除

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