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2021/12/28

テーマ: 03.海外

タイの家電製品市場とスマート家電製造を通じたスマート産業への適応

タイは、電子・電気製品のサプライチェーンにおいて強固なプレゼンスを有する主要な家電製品生産国であり、世界有数の家電製品輸出国でもある。タイの潜在的な強みと魅力的な投資インセンティブにより、様々な外資系企業が国内企業との提携や外資100%での製造拠点設立などによる投資を行ってタイの電子・電気セクターに参入している。従って、タイには技術移転を発展させて、将来的に先進的かつ革新的な家電製品の世界の製造ハブとなり得る機会がある。

目次

タイの家電製品市場の概要

タイの家電市場

①生産

タイはエアコン、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品の主要生産国であり、タイ製の65~70%は輸出市場向け、30~35%は国内市場向けとなっている。

タイの家電製造業生産指数(MPI)は、2019年の97から1.03%低下し2020年には96となった。要因は、新型コロナウイルスの感染拡大により、国内でも貿易相手国でも購買意欲が減退して国内販売と輸出が減少したことにある。

タイの家電製造企業は、タイ国籍のメーカー(自社ブランド製品を製造またはOEMを供給)、外資のメーカー(グローバルブランド製品を販売)、合弁会社(JV)に分類される。

タイには1,197社の家電製造企業があり、その80%以上が主に国内外の主要メーカー向けの部品・部材を製造する中小企業である。一方、17%はタイを生産拠点とするグローバル大手のメーカーである。

②国内市場

タイの家電製品市場には、国産品に加えて日本、中国、韓国などのグローバル企業からの輸入品も流通している。

2019年に2,970万台だった主要家電製品の国内販売数は、新型コロナウイルス感染拡大による景気減速、製品取り換えサイクル(8~12年)、不動産市況の低迷などにより、2020年には約4%減の2,850万台となった。

全体としては減少した一方、在宅勤務の増加やタイ国内の気温上昇により、エアコン、冷蔵庫、家庭用扇風機の販売数は増加した。

国内で最もよく売れた主要家電は家庭用扇風機で、全体の36%を占めた。次いでコンプレッサー18%、洗濯機14%、エアコン14%となっている。

③輸出

タイは世界でも有数の家電輸出国であり、2020年の輸出額は世界第12位だった。

輸出額は2016年から2020年にかけて年平均成長率0.2%で推移した。2018年に174億9,400万ドルのピークに達した後は減少に転じ、2020年には168億8,400万ドルへと大きく落ち込んだ。

主な要因は、世界経済への打撃となった新型コロナウイルスの感染拡大や製造業におけるグローバル競争の激化にある。

2020年の最大の輸出先は米国で、これにASEAN、日本、EUが続く。

主な輸出品は、エアコン、テレビ・ラジオ、冷蔵庫、洗濯機である。

タイの家電製造サプライチェーン

タイは、高技能人材と強力なサプライチェーンにより、世界有数の電子・電気製品生産国となっている

電気・電子セクターのサプライチェーンにおいて、 タイは部品の生産に強みがある。多くの中小企業が、部品生産(川中)に力を入れ、国内での販売や輸出を行う大企業の生産を支えている。

これら中小企業は、タイに出資する多国籍企業の受託業務における技術移転、生産工程、製品開発の経験を通じて、競争優位を獲得している。

従って、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進においては、中小企業が重要な役割を担っているといえる。既存製品の技術開発やイノベーションのさらなる発展やテクノロジーを駆使したスマート家電製造向けの新たなターゲット製品採用を推進する潜在力と機会を有するからである。

しかし、独自の技術開発能力に限りがあるタイでは、輸入が必要な一部の部品や半導体装置、研究開発、ICを含む製品設計など川上の分野については、依然として外資に頼る必要がある。

タイ電子・電気セクターへの外国投資

高技能人材や強力なサプライチェーン以外にも、インフラ、地理的条件、貿易関係に関わる優位性があることで、タイはグローバル企業にとって投資や製造施設の設置を行う対象として魅力的な存在となっている。

 

最近では、多数の外国企業が外国投資あるいはタイ国内企業とのJVで参入し、タイに製造設備を有している。

タイの電子・電気セクターにおける外資系企業と国内企業の投資案件は、2019年の107件から 2020年には154件に増加し、タイ投資委員会(BOI)に提出された投資申請の総額は552億1,000万バーツに達した。

スマート産業の発展を目指すタイ

日常生活とテクノロジーを結びつけるIoT の普及により、スマート関連のトレンドが世界市場に広まる中、電子・電気セクターに強みを持つタイは、スマート産業に移行する潜在能力がある。

 

スマート関連の電子・電気産業は、政府の開発計画や「タイランド4.0」において、
主要な経済成長のけん引役としてターゲット産業の一つに指定されている。

電子・電気製品製造のサプライチェーン全体の強化につながる高度な先端技術の開発を目指すタイは、魅力的な投資恩典を積極的にグローバル企業に提供している。

タイは、スマート関連の製品製造のハブとなることを目指している。

IoTの普及と動向

IoT(モノのインターネット) は、デジタルトランスフォーメーションを推進し、世界に変革をもたらすゲームチェンジャーである。

世界のIoT市場規模は、2020年の3,090億ドルから23%増加して、2021年には3,810億ドルに達する見込みである。また2021年から2028年にかけては年平均成長率25.4%で推移し、2028年には1兆8,548億ドルに達すると予想されている。

世界のIoT アクティブデバイスの接続数は、2019年には100億台だったが、2025年には309億台になると予想されている。

タイにおける IoT

タイのIoT市場規模は、2018年には36億バーツだったが、2023年には95億バーツに達する見通しである。また2018年から2033年にかけては平均成長率30.18%で推移し、2033年には1,882億バーツに達すると予想されている。
2020年に導入されたタイのIoTアクティブデバイスの接続数は133万台で、2019年から23%増加している。
IoT市場の成長は、主に消費者関連のIoTがけん引している。消費者の行動が変化し、テクノロジーやインターネットへの関心やテクノロジーの利点に対する認識が高まっているためである。

タイランド4.0の取り組みの中で、今後スマート産業を加速させるために、
製造業、小売業、物流業、運輸業など様々な業種でIoTが採用されている。

世界のスマート家電市場

スマート家電が世界中で幅広く普及するのに伴って、世界のスマート家電市場は、2019年の235億4,000万ドルに対して2020年から2025年にかけては平均成長率17.3%で推移し、2025年には市場規模576億4,000万ドルに達すると予想されている。

こうした成長はその40%を担うアジア太平洋地域(APAC)が主にけん引している。

要因としては、IoT の普及でスマート家電製品のカスタマイズ機能や操作性が充実し、顧客の利便性が向上しているということがある。

加えて可処分所得や共働き世帯数の増加およびライフスタイルの変化によって、より多くのスマート家電の購入が可能になっている。

タイのスマート家電市場

世界のスマート家電市場の成長に伴って、 タイの国内市場および輸出市場のスマート家電需要は明らかに高まっており、2019年のタイの市場規模は2億2,400万ドルに達した。

世界市場の主要プレーヤーは、タイ市場においても強力なプレゼンスを誇っている。

政府およびタイ投資委員会(BOI)のインセンティブ

EEC開発計画におけるスマート家電製造

東部経済回廊(EEC)の電子・電気産業

タイは、イノベーション主導経済への転換を目指しており、その実現に向けた地域別開発計画の中で、電子・電気をターゲット産業の一つとしており、同産業への投資、先端技術、イノベーションの促進に力を入れている。

東部3県(ラヨーン、チョンブリー、 チャチューンサオ)を中心とするEECプロジェクトでは、EECa(航空都市)、EECd(デジタルパーク)、EECh(高速鉄道リボンスプロール)、EECmd(メディカルハブ)を含む5つが特定産業投資奨励地区とされている。

EECdでは、先端技術、中でもスマート電子・電気産業の発展に資する様々な分野のデジタルビジネスを推進している。かかる先端技術には以下のものが含まれる。
ビッグデータ・クラウド、IoT、スマートシティプラットフォーム、5G・関連アプリケーション、
サイバーセキュリティ、デジタルエンタープライズ、スタートアップ・インキュベータなど

EECプロジェクトでは投資奨励地区における電子・電気産業の投資に対して、税および税以外の広範なインセンティブを提供する。

今後の事業機会に関わる要因

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<お問合せ先>
山田コンサルティンググループ(株) タイ現地法人
global-support@yamada-cg.co.jp

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