Manual クロスボーダーM&Aとベンチャー企業のEXIT

クロスボーダーM&Aとベンチャー企業のEXIT

クロスボーダーM&Aやベンチャー企業のEXITを目的としたM&Aが増加しています。
それは、M&Aがグローバルな競争力の強化やベンチャー起業家の出口戦略、事業を承継したい中小企業を救済する役割を担い始めているからです。
 

pc
sp
 

◆増加するクロスボーダーM&A

クロスボーダーM&Aが増加しています。イントラリンクス合同会社の調査「イントラリンクスディール・フロー・プレディクター」によると、2018年上半期のグローバルM&A(合併・買収)の取引件数は、2017年上半期に比べて最大で10%増加する見込みとなっています。
同社の戦略ビジネス開発担当バイスプレジデントのフィリップ・ウィチェロ氏によれば、グローバルM&Aが増加する理由には世界規模での経済成長、低インフレ率、低金利、コーポレート・エクイティおよびプライベート・エクイティによる豊富な資金供給があるとしています。
 

また、日本経済新聞(2017年12月28日付)では、2017年は日本企業の関わったM&Aが2006年の2,775件を11年ぶりに上回り、3,000件を超えて過去最多になったと報じました。
特に日本企業による海外企業の買収が活発となり、その背景には空前の金余りがあります。
同記事では、株式会社レコフの調査を引用して、2017年12月27日時点で日本企業が関係するM&Aは前年より14%増えた3,016件となり、日本企業による海外企業の買収は5%増の667件と、前年に続いて最多となっています。
 

◆日本企業による海外M&Aの課題

それでは、日本企業が積極的にM&Aに取り組んでいる理由は何でしょうか。
GCA株式会社が2017年9月20日~10月6日に上場企業と非上場有力企業の経営者もしくは経営企画担当役員などに行った「M&Aに関するアンケート調査2017」の結果によると、「M&Aを検討する上で特に意識する事柄」(3つまでの複数回答)に対して最も多かったのが「事業ポートフォリオの再構築」で70.3%、2番目の「グローバル競争力の強化」も69.6%と僅差でした。
つまり、約7割の回答者がグローバル競争力の強化を意識していると回答したのです。
 

このように、日本企業は積極的に海外企業のM&Aに打って出ています。しかし、そこには失敗も多く、課題も残されています。経営共創基盤(IGPI)取締役マネージングディレクターで「世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?」(中経出版)の著者でもある塩野誠氏は、ビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER JAPAN」(2018年3月13日付)で、海外企業の買収後には想定外の追加投資があるため、その際にまだ使えるキャッシュが残っているように「慌てずに安く買うこと」がM&A成功の秘訣だとしています。
買収のオークションで勝つことを優先して、無理して高値で買ってしまうと「ウィナーズカース」(Winner’s curse、勝者の呪い)に悩むことになるといいます。
 

◆ベンチャーのイグジット(EXIT)としてのM&A

ベンチャー企業の創業者は、資産形成のイグジット(EXIT)としてIPO(新規上場)を目指しますが、これは非常に狭き門です。
米国ではすでに、ベンチャー企業のエグジットとしてはIPOよりM&Aの数が上回っており、近年は8~9割がM&Aになっています。
 

日本でも2014年に、設立から2年しか経っていないキュレーションメディア「MERY」を運営するペロリと、「iemo」を手掛ける設立わずか1年のベンチャー企業iemoが、計50億円でDeNAに買収されました。
2015年にはチケット売買サイト「チケットキャンプ」の運営会社フンザが、設立2年でmixiに約115億円で買収されています。
外国企業による買収も行われています。
2010年には米Zyngaがソーシャルゲームメーカーのウノウを買収し、2013年には米Googleが東大ロボットベンチャーのSCHAFTを買収。
さらに、2015年には米IAC傘下のThe Match Groupがエウレカを買収し、中国Baiduの日本法人が東大発ITベンチャーのpopInを買収するなどの例が続きました。
 

このようなスタートアップ企業が、大企業へ自社を売却する最大の理由は「イグジット(EXIT)」です。
大企業に評価されるだけの企業を創業した起業家は、それに見合った金額を得るために、IPOという狭き門よりも大企業への売却を選ぶようになってきたのです。
IPOは実際とても難しく、最も多かったときで年間200社程度しか実現できなかったのに対して、M&Aは年間2,500社くらいと、IPOの10倍以上成約しています。
一方、買い手にとっても、ベンチャー企業の買収は新しいビジネスモデルや技術、そして優秀な人材を短期間で手に入れることができるというメリットがあります。
 

◆資金のないベンチャーでもM&Aが可能!?

ベンチャー企業が売却される事例が増加する中で、政府はベンチャー企業自体が他のベンチャー企業や中小企業を買収することのハードルを下げ、中小・ベンチャーによる経済の再編を後押しする法改正を目指しています。これには、ベンチャー企業の再編を促すことと、後継者問題で事業承継が困難な中小企業の廃業を防ぐ目的があると考えられます。
そのために、政府は自社株を使ったM&Aのルールを見直し、売り手の売却益への課税を猶予するルールや買収手続きの簡素化を進めようとしています。
 

このことで、現金を持たないベンチャー企業にも、他社の買収のハードルが下げられることになります。
まず売り手の売却益への課税の猶予とは、売却した売り手が相手の株を受け取った際、現在はみなし収入として納税義務が生じますが、すぐには現金が用意できません。
これを、株式を売却するまでは課税されないルールにすることで、売却を決断しやすくします。
 

買収側にとっては、現在はTOB(株式公開買付)による買収にのみ例外扱いとされている株主総会の決議不要の扱いを、TOBによらない一定規模を下回る非上場企業の買収にも適用し、買収手続きを簡素化します。
このような規制緩和を盛り込んだ「生産性向上特別措置法案」および「産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、2018年第196回通常国会に提出予定です。
可決されれば、経済を活性化するM&Aがますます増加することが予測されます。

 
マンガでわかるM&Aの落とし穴10選
 
⇒事業承継税制、持株会社(ホールディングス)化、M&Aのメリット・デメリットとは
 
⇒M&Aとは?企業買収の方法と必須となる基礎知識
 
⇒会社の買収とは | 企業買収の意味と仕組み
 

後悔しないM&A 陥りやすいトラブル事例と、やっておくべき事前の対策

無料 資料ダウンロード M&Aのノウハウが凝縮!! マンガでわかるM&Aの落とし穴 10選

メールマガジン登録

よくわかるM&A

最新M&Aニュース

電話

ご相談・お問い合わせはお気軽に

03-6212-2521

03-6212-2521

受付時間 平日9:00~18:00 (土日祝除く)