Manual M&Aにおける株価算定の方法

M&Aにおける株価算定の方法

M&Aにおいて、買い手・売り手ともに最も関心の高いのは企業価値、つまり企業の売却金額です。
企業価値とは、すなわち会社の値段のことで、「エンタープライズ・バリュー」(EV:Enterprise Value)といいます。
企業価値は、M&Aの最終的な意思決定である買収・売却の判断基準になります。
この判断基準を元に、買い手と売り手が価格の交渉を行います。
 

しかし、企業価値を評価する方法はひとつではありません。
上場企業の場合は、市場で株価が評価されているため、それがひとつの指標になりえます。
しかし、未上場企業の場合には、ほかのアプローチが必要になります。
 

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◆さまざまな企業価値算定方法

企業価値にはさまざまな算定方法があり、業種や規模に応じて、それに適した方法を採用します。
ここでは、そのおもな算出方法をご紹介します。
 

□DCF法

M&Aで最も採用されている企業価値の評価方法が、DCF(Discounted Cash Flow)法です。
DCF法は、企業が将来生み出すであろうキャッシュフローを予測し、適切な割引率により現在の価値に還元して算定する方法です。
この手法では、M&Aによるシナジー効果や経営改善効果を価値に反映させることができるというメリットがあります。
 

しかし、あくまで予測であるため、リスクの見積もり方などで価値が大きく変わってしまい、客観性を担保することが難しいというデメリットがあります。
また、より精緻な分析を行うためには時間がかかります。
 

□収益還元法

収益還元法は、事業計画に基づいて予想した各年度の予想利益から、将来どのくらい収益を獲得できるかを1株あたりの株価に反映させて株式価値を算定する方法です。
ただし、収益還元法では、利益が一定の成長率であると予想して計算するため、予想利益の変動が想定される場合には効果的な評価方法とはいえず、株式評価報告書ではあまり採用されていません。
そのため、将来において、大きな利益の変動が予想されるような場合には、より柔軟な評価が可能なDCF法が検討されます。
 

しかし、収益還元法は、上場企業や財務情報が入手しやすい企業を評価するには低コストであるため、ロングリストから候補企業をしぼり込む際の簡易的な評価方法として利用しやすいなどのメリットがあります。
 

□市場価値方式

市場価値方式は、市場の株価を基準に算出する方法で、不特定多数の投資家がさまざまな情報から将来性も含めて評価した価格を基にしているということで、客観性が高いと考えられます。
非上場企業の場合は、上場している類似会社のPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標を用いて算出しますが、その類似会社の選択理由に合理性があるか問題になります。
非上場で、類似会社が上場していない場合は、直近の類似企業の売買実績を参照して市場価値を推測します。
 

□類似会社比準方式

類似会社比較方式(マルチプル法)は、上場している類似会社を複数選び出し、それらの企業の市場株価と財務指標算出された倍率から企業価値を算定する手法です。
この手法の課題は、類似企業の選び方次第で結果が大きく変わってしまうことです。
また、類似企業が上場されていない小規模な企業の評価には、採用することが難しいという課題もあります。
 

◆M&Aにおける企業価値評価の算出方法

以上のように、企業価値を算出するためにはいくつかの手法があり、M&Aが行われる際に、企業規模やM&Aの目的により適切な手法が採用されます。
ただし、中小企業の算定においては、純資産法に「のれん代」(ブランド力や技術力など目に見えないもの)を加算するという手法が採用される場合もあります。
純資産法では決算書に基づいた純資産額を時価評価します。これに将来その会社が稼ぎ出すであろう利益を営業権(のれん代)として1~5年分上乗せします。
 

□会社の値付けに正解はない

上場企業のように、株式市場で評価されていない企業の価値を算定することは、決して簡単なことではありません。
M&Aで最も利用されているDCF法にしても、将来の事業計画から予測するという段階で、かなり安定成長している企業でもない限り、合理性が高いとはいえません。
そのほか、創業者の思い入れや株主の期待なども客観的な算定を困難にします。
 

とはいえ、現時点で会社が解散したらいくらの現金が残るのかを算定する場合、現時点の時価純資産を企業価値にしたのでは、将来得るであろう利益(実質営業利益)が反映されず、かなり割安になってしまいます。
一方、業績が低迷しているにもかかわらず、その低迷の原因が明らかで、買収後に業務改善を施せば高い収益を上げられると見込まれる場合や、買い手企業が競争力を維持したり高めたりするためにどうしても競合より早く手に入れたい技術やマーケットを持っていたりする場合は、思いも寄らない高値がつく場合もあります。
 

このように、企業価値は評価方法やM&A市場における需要と供給の関係で大きく変化します。
その意味では、企業価値の算定に正解はないといえますが、どの評価方法を採用するのかがとても重要であることに変わりはありません。

 
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