医療機器卸売業者とは、レントゲン装置や吸入器、歯科医療機器等の、いわゆる「医療機器」の卸売を主として行う事業者とされる(日本標準産業分類)。「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く)であって、政令で定めるものをいう(医薬品医療機器等法:旧薬事法第2条第4項)。医療機器の販売を行うためには「医療機器製造販売業許可(第1種~第3種)」が必要であり、また、高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器の販売を行うためには「高度管理医療機器等の販売業及び賃貸業の許可」が、管理医療機器の販売については都道府県知事への届出が必要となる。
注1 出典:経済産業省経済産業政策局調査統計部編「商業統計表 産業編」より、「本支店間移動」(自企業内の本支店間、支店相互間又は自企業の他の場所にある工場などに帳簿上の商品の振替えを行った場合の金額)を控除した金額
注2 出典:各社の有価証券報告書及び日本の企業100万社より、医療機器卸売業界主要企業のうち上位10社と考えられる企業の医療機器卸売業を含む全売上高を集計
国民医療費は毎年約1兆円前後増加しており2014年時点では40兆円を超える市場となっている。また、今後も医療費支出額が多い老年人口(65歳以上の人口)の割合が増加し続ける事により、医療費の増加が見込まれる。こうした医療費の増加に伴って、医療機器卸売業界の市場も2007年から2014年までの7年間で約1兆円増加(年平均成長率:3.5%)しており、今後もさらにこの傾向は続くものと思われる。
大手医療機器卸売業者がスケールメリットによる競争力の強化を図る中で、中堅・中小の医療機器卸売業者の経営環境は厳しさを増している。
そのため、大手医療機器卸売業者の100%子会社となったり、合併等による会社の売却が増加している。
また、競争力強化のために、相乗効果を期待した大手企業同士のM&Aも活発化している。
今後も、これらの要因による業界再編が進んで行く可能性があると考えられる。
売り手のメリット
・有力グループが保有する、医療機関に対する経営改善ノウハウを共有することで、多様化する医療機関のニーズに応えることができる。
・製品ラインナップが強化されることにより、営業力が強化できる。
・有力グループの販売網を活用することにより、自社取扱製品の販売を拡大できる。
買い手のメリット