フィナンシャル・アドバイザー(FA)、企業価値評価(Valuation)、財務デューデリジェンス(財務DD)など、M&Aの意思決定に必要不可欠な調査や助言で、中堅上場企業のM&A案件を強力にサポートするFAS事業部。「オリジナリティが出しづらく、比較されやすい業務だからこそ、より正確で高品質なアドバイスを提供することを心がけている」と、FAS事業部を率いる部長の今井大は語る。データから企業を読み解き、M&Aの成功を支える仕事への想いを聞いた。
就職にあたり、会社経営に近いところで働きたいと考えて監査法人に入ったのですが、監査業務が性に合わない、という思いがぬぐえずにいました。会計士の資格を経営にもっと近いところで活かしたいと思い、転職を検討している中で、M&Aというキーワードを通じて山田コンサルの前身である山田FASの存在を知りました。
山田FASは小さな組織でしたが、それゆえに何でも経験できそうだと思いました。FA、Valuation、DDのいずれかを選任するわけではなく、一通りできることが魅力的で、実際に幅広い業務を経験しています。クライアントは中堅上場会社が中心。コア業務はM&AにおけるFA、Valuation、財務DDで、クロージングまでを担当します。私たちの部署は、M&A案件が立ち上がってそのプロセスが始まるところから参画します。山田コンサル社内からのオファーはもちろんですが、金融機関など外部からの依頼も多数あります。TOB等のプレスリリースされる案件や、PPA(無形資産の評価)や優先株式の評価なども行っています。
2017年から1年間、大手証券会社へ出向したことで、誰もが知るような大企業の案件に関わり、キャリアの幅が広がりました。ディールサイズが大きくなると、M&Aに潜むリスクも当然大きくなります。検討事項が膨大になるため、専門性を発揮して担当業務を徹底的に調査するなど、大型案件ならではの仕事は大変でしたが、とても刺激的な体験でした。
違いは仕事の進め方だけではありません。大企業がM&Aを進めるときには、主に経営企画部門が担当し、業務は計画的かつ合理的、ロジカルに積み上げられていくため、計画が覆されるようなどんでん返しはほぼ起きません。一方、中堅企業の場合は、オーナー社長の意向が強く反映される傾向があり、社長の「思い」で案件が成立することがあります。
出向を通じて、仕事の進め方や規模感の異なるお客様との向き合い方など、その違いを肌で感じられたことは、自分のキャリアにとって大変有意義でした。
最近は、Valuation、DDそれぞれ単発の仕事から、それらにアドバイザーを組み合わせてご依頼いただくケースが増えています。上場会社同士のM&Aも増加傾向にあり、業務に幅が出てきています。加えて、株式評価など会計面寄りの仕事が増えていることから、M&Aに関するFAおよび会計の専門性の高さなら山田コンサルへ依頼するのが確実、との認識が高まっているように感じています。
案件の傾向としては、やはりコロナ禍の影響を避けられずに資金繰りが厳しくなった会社の売却や、資金調達、事業承継を急ぐM&A案件が多くなってきました。今まではオーナー自身も健康で若く、「まだまだやれる、事業承継はあと数年後に考えればよい」と考えていた企業が、決断を早めて売却したいと動いているケースが見受けられます。
中堅・中小企業のオーナーは今、本当にいろいろな思いを抱えていらっしゃるのではないでしょうか? 特に、財務面での不安や悩みは、ご自身で抱え込まずに専門家に話してみることで、解決の糸口が見つかるかもしれません。山田コンサルは、「企業のあらゆる経営ニーズを解決する」専門家集団としての、20年にわたる確かな実績があります。会計系のファームでありながら、事業再生を軸とした経営戦略コンサルで成長してきましたので、お客様の悩みに寄り添いながら企業の成長をサポートすることが得意です。経営課題に対応するための様々なサービスを提供していますので、会社のお困りごとに対して何かしらの解決策をご提案できると思います。
FAS事業部が提供するソリューションは明確で、求められるのは正確な成果と的確なアドバイスです。経営者に寄り添い、着実に仕事を進めるため、一貫して一人の担当者が窓口となって案件に対応します。マンパワーが不足しがちな中堅・中小企業のオーナー社長にとって、会計の専門家が窓口となり、ワンストップで課題に対応できる方が安心だと思うからです。事業計画などコンサルが必要な場合も、社内でチームを組むことができます。複数の会社に依頼する手間や無駄なコスト、コミュニケーションが省けて、効率的です。
FAS事業部の仕事は、他社との差別化をつけにくいので、いかに正確性を担保して、効率よく仕事を進めるかを常に考えています。窓口を一本化してコミュニケーションを大切にし、お客様の負担や不安を解消する手法は、当社独特のやり方かもしれません。「オールラウンダーであれ」は、社内風土の一つです。FAS事業部のメンバーも、様々な課題に対応する能力を身につけています。安心して、ご相談ください。
私自身が大切にしていることは、「誠実さ」です。ある買収案件で、ValuationとDDを担当した結果、対象会社の財務状況や組織風土に問題があることが判明し、買収は見合わせるべきと、アドバイスしたことがあります。結局、買い手企業の意向で買収が成立しましたが、1年後には案の定破談、減損まで計上することになってしまいました。「アドバイスを聞いていればよかった」と嘆くクライアントを鼓舞しつつ、できるだけリスクが軽減できるアドバイスやサポートを全力で行いました。そのオーナーとは、今も良好な関係が続いています。
本来は、案件をクローズさせることが私たちの仕事ですので、案件を止めるアドバイスは難しいものです。不安要素を飲み込んで予定通り進めていけば仕事は楽ですが、将来的に高い確率で問題が生じそうなリスクが見えたとき、素直にそれを伝えられる誠実な姿勢が、この仕事にはとても大切だと考えています。
FAS事業部は小規模ではありますが、常に、より品質の高いサービスを提供していくために、社内では勉強会などを通じてお互いのナレッジを共有し合い、社外とはコミュニケーションを数多く重ねていくことで、能力の向上を目指しています。これからも、クライアントが目的達成するために最短の道筋を示すことのできる、プロフェッショナルなFASチームであり続けたいと思います。
(2020年10月 インタビュー)
資本戦略事業本部 FAS事業部長
公認会計士 今井 大
今井 大 (いまい まさる)
資本戦略事業本部 FAS事業部長 公認会計士
監査法人および会計士事務所にて、監査や決算業務に従事したのち、2013年に山田FAS株式会社(現・山田コンサルティンググループ株式会社 以下、山田コンサル)に入社。M&Aにおけるフィナンシャル・アドバイザー(FA)、企業価値評価(Valuation)、財務デューデリジェンス(財務DD)に従事し、多数のM&A案件をクロージングまで支えている。そのほか、組織再編におけるアドバイザー、裁判における株式価値算定等にも関与。2017年から1年間大手証券会社のアドバイザリー部に出向し、大型案件の知見を積む。